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かね

◎チームワークはスポーツに限らず日常我々の足下にある問題である。
 キャプテンは統率する役目であるし,各メンバーは上下と横にしっかり結びつかねばならない。
 この自覚がなかったら全ての事に推進はおろかむしろ混乱を招いて破滅するに至る事さえある。
 毛利元成は3本の矢で団結の強さを論したと言うが筆者はスポーツで備さにその必要を体験した。
 1プラス1が2である算数の原則も3にも5にもなる場合と逆に零にもマイナスにもなることが屡々ある。
 キャプテンの舵の取り方にもよるがそれにもまして補佐役たる全員の心構えが要請される。

◎鯉はひとたび俎の上にのせられるともうジタバタしないと言う。宿命を知る鯉の諦観かもしれない。家畜の中でも平素弱々しい緬羊がいざとなれば実に従容として死につく。
往生際が良いと言うのだろう。これに反して豚の場合は叫ぶ跳ねるの狂態でもがく。無理もないこと乍らみぐるしい限りである。
 こうした動物の習性を見るにつけ人の処生にも教えるものがある。

◎昨今,農家は全てを挙げて増産へのスタートを切っている。
追放解除,電力値上げの世論よりも何はさておき田植えの時期には理屈もかけひきもない。早朝より日没まで土に挑む農民の姿こそ日本再建の原動力を生み出すものに外ならない。

◎梅雨に至る……。
 四季の変化には待ったがない。各種の産業はよどみなく動かねばならない。
 ああそれなのに!!岡山県政の開店休業は幾久し。
 梅雨空に動きのとれないだるまかな。