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明乳だより

一.気温と乳量

 乳牛は寒気には比較的強いが暑気には極めて弱く梅雨期が終って気温が上昇すると乳量は激減する。「カリフオルニア大学」の試験では

気温 乳量 気温26.7度を100とする
26.7度(F80度) 6.2升 100
35.0度(F95度) 4.2升 68

 備考 気温26.7度から35度に上昇すると1斗産乳した牛は6升8合に乳量を減ずる(西山太平氏)

 上の通りでありますから牛舎は通風をよくしなければならないし同じ牛舎でも牛舎の方向に依って気温は次の通り差異があるとか。
(イ)東面28.9度(ロ)西面32.2度(ハ)東南面30度(ニ)西北面30.6度
 従って西向の牛舎は成るべく避ける可きであって牛舎の西側には樹木や南瓜等を播いて牛舎への日光の直射を防ぐべきです。

二.乳質と家庭

 酪農家の皆さんが汗を流して刈った草や飼料で最後の1滴までもと努力をして搾られた牛乳が毎朝毎朝工場にトラックで搬入されて時を移さず検査される訳ですが検査に立会って見ますと中には2等乳になる乳,種々様々な異物が入っている乳,甚しいのになりますと飯つぶやナメクジ等も入っている事すらあります。私がここで気付いた事は2等乳を出したり牛乳に異物が多く混っている牛乳を出す家庭は家庭内部そのものが乱雑で整理整頓等は及びもつかぬよそごとの様な考えの家が多い様です,反面清潔な牛乳のみ出している家庭は家庭そのものが清潔で人が入っても気持よく整頓された家が多いのは否定出来ない事実ではないでしょうか。
 ですから私は世の人にあえて誇張して言いますのは農家から嫁をもらうなら清潔乳のみ出している酪農家からもらいなさいと……絶対保証つきです。

三.子供に草刈を

 若芽若草は乳牛の飼料に最適です,之等の草を充分利用せずに外に何を利用できましょうか。今仮りに乳牛の体重の1割位の青草を与えたならば体重を維持した他に3,4升の牛乳が得られるのですから冬の様に藁を与える場合より毎日麸が1貫500刄位節約されている事になります。これを金額にすると毎日100円位がプラスになり貯蓄される事になります,然し農繁期は大人は多忙ですから其処で方法として草刈を子供に手助けさせて子供には収穫した草の量に応じて小使を与えるとか増乳した牛乳を飲ませるとか楽しませつつ良習慣をつけたいものです。之は運動教育の上からも又酪農に親しませるにも極めて有意義なことと言えましょう。そうして紫雲英・ソラ豆等は成るべく「サイレージ」や乾草として冬の飼料に貯える位の工夫は是非したいものです。(明治乳業笠岡工場寄稿)