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畜産ニュース

ニューカッスル病発生

 本年3月埼玉,神奈川,及び東京都に発生したニューカッスル病は最近またまた茨城県に発生したので本県でも最近の飼料の動き,輸入鶏卵,雛の動き等より見て侵入の恐れがあったので厳重警戒中であったが遂に7月下旬後月郡県主村に凝似症の発生があったので,家畜衛生試験場中国支場渡辺支場長,井谷技師等が現場の調査を行うと共に各種試験を実施した結果8月2日真性と決定したので,県はニューカッスル病予防規則を定め隣接町村を含む17ヶ町村の移動禁止を行うと共に予防注射班,消毒班を組織して区域内の防疫に全大を尽している。
 本県の産卵箇数は1日30万個以上でこの内大半が阪神市場へ出荷されているのであるが本病の発生と共に移出鶏卵等取扱要項を定め,家畜防疫員の消毒証明書又は健全鶏卵証明書を妻板にちょう付して出荷する様にしたので,県内出荷業者は必ず証明書をちょう付して出荷されたい。尚証明書なしに移出をした場合は家畜伝染病予防法により処罰されるから注意されたい。
ニューカッスル病予防規則,及び移出鶏卵等取扱要項は次の通りである。

◎岡山県規則第63号

家畜伝染病象防法(昭和26年法律第166号)第33条第1項の規定に基き岡山県ニューカッスル病象防規則を次のように定める。
 昭和26年8月2日
    岡山県知事 三木行治

 岡山県ニューカッスル病予防規則

第一条 ニューカッスル病まん延防止のため,当分の間下の区域内の家きん(鶏及びあひるをいう)並びにその死体卵,管理具,飼料包装の容器その他ニューカッスル病の病毒伝ぱの虞のある物品を当該区域内で移動し,又は区域外へ移動してはならない。但し区域内で消毒を受けるために,家畜防疫員の指定する場所へ食用卵を移動する場合はこの限りでない。
 後月郡県主村,高屋町,井原町,西江原町,荏原村,木之子村,小田郡小田町,北川村,新山村,吉田林,笠岡町,金浦町,城見村,大井村,大江村,稲倉村,陶山村

第二条 食用卵及びその包装を区域外へ移動しようとするときは,家畜防疫員の消毒を行った旨の証明(別記様式)がなければならない。
附則
 この規則は,公布の日から施行する。
 別記様式

移出鶏卵等取扱要項

第一条 ニューカッスル病のまん延を防止するため,本要項により鶏卵の消毒証明書及健全卵証明書を交付する。
第二条 鶏卵の出荷とは本病発生地区から県内の他郡又は県外に移動する場合及び無毒地区から県外に移動するすべての場合をいう。
第三条 鶏卵の移動を行うため,第一条による証明書の交付を受けようとするものは別記様式により管轄家畜防疫員に翌月分出荷計画書を毎月25日までに提出しなければならない。
第四条 本病発生地区にあっては,前条による出荷計画書に基き,家畜防疫員は,鶏卵荷造場所に立ち会い完全消毒を確認の上別記様式の消毒証明書を交付す
第五条 無毒地区のみの生産卵を集出荷する場合は,消毒することなく別記様式の健全鶏卵証明書の交付を受けることができる。
2.無毒地区の者で発生地域の鶏卵を集荷するものは岡山県ニューカッスル病象防規則により前条の証明書の交付を受けなければならない。
第六条 証明書は,鶏卵包装容器の要板にちょう付の上,出荷するものとする
第七条 家畜防疫員は,証明書交付後直ちにその出荷実績を県畜産課あて電報又は電話するとともに,直ちに別記様式により出荷実績を報告しなければならない。
3.上報告に基いて,県は出荷先府県に報告するものとする。
第八条 発生には無毒の地区は,岡山県ニューカッスル病象防規則に規定する地区による。
第九条 本要項による措置は,8月2日から本病の終息するまで実施するものとする。

◎昭和26年8月3日
      岡山県経済部畜産課長
 各家畜防疫員殿

ニューカッスル病防疫について

 本病については既に御承知のとおり疑似症が7月25日後月郡県主村に発生しているが8月2日真性と決定したので下記を御留意の上万遺憾のないよう取り計らい願いたい。

一.本病類似疾病の発生及びまん延状況を調査すること。

二.発生時の措置
 1.発生(患鶏及び疑似)の場合畜産課へ直ちに報告すること。
 2.発生鶏舎の鶏は勿論のこと地域内の鶏,あひる及びそれらの雛,卵,飼料袋等の移動の制度,隔離,ふ卵場の監督等自衛組織の結成強化を図るよう指導すること。
 3.病鶏は焼却,埋却すること(家畜伝染病予防法参照)

三.消毒
 1.発生鶏舎,ふ卵器,管理具等はクレゾール石鹸(3%)で消毒すること。
 2.発生地域内移動食用卵はクロール石灰水(クロール石灰5,水95,石灰に除々に水を加える)で消毒すること。
 3.発生地附近の鶏には,飲水として1万倍の過マンガン酸加里溶液の給与を励行すること。
 4.発生地附近のねずみ,野鳥をできるだけ駆除すること。
 5.鶏舎の所々に消毒薬液を設備するよう指導すること。

四.へい死の鶏及びあひるの処置
 地域内にへい死の鶏及びあひるのでた時は直に埋却するよう指導すること。