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アメリカ畜産の横顔

ミヅリーに於て 神尾生産課長

 9月も中旬になりました。今年は残暑が厳しいことと思います。
 筆不精の小生,遠い所からお便りを差し上るも妙な気が致しますが,8月始め東京を出発する前に御依頼を受けておりました「岡山畜産便り」へのお約束をその儘にして参りましたので,多少ともその申訳になればと思って筆をとりました。
 巴里の家禽会議は日程の関係で,遺憾ながら計画しておりましたような活動は出来ませんでしたが,初生雛の鑑別器は非常な反響を呼びました。アメリカ(ニューヨーク)へ参りましたのが8月15日ですから,彼是1ヶ月になります。ペンシルヴァニア・ワシントン・サウスコロライナ・ミヅリーと各地を忙しく,飛行機で飛び廻って8月末日当地へ参りました。
 面倒な調査は到底時間的にその余裕がなく,只畜産についての新らしい施設やら,その実際運営の様子を見て廻っておる程度になって終いました。
 乳牛の人工授精も,能力検定(群検定)と関連して益々普及し,組織的に且つ効果的にやられています。輸送施設が発達していますので,精液の輸送などはその器具は極めて簡単で,日本では余り六しく考え過ぎるのではないかとさえ思われます。
 鶏の改良組織も上手くやられております。只日本と異っておるのは肉鶏,所謂ブロイラーの生産が―勿論需要が多いので―非常に盛んで,昨年の品種別の飼養割合はニューハンプシャが38.8%で最高,次が白レグ21.9%,ホワイ・ロック10.4%,横斑ロック6.3%と言った具合です。
 16日に当地を発ちまして,途中で工藤君(岡崎種畜牧場長)の乗って来る飛行機に乗り込んでロスアンジェルスへ参ります。段々と日程が延びて来まして困っておりますが,10月初めには東京へ帰ることになりましょう。