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かね

◎一としきり,ヤレ豚コレラ。ソラ!!ニューカッスルだ。又流感!!と入れ変り立ち変り家畜の御難続きで痛い目,恐い目の連続だったが漸やく天高き仲秋の好季を迎えてドウヤラ安心して肥れる様になった。
 豊穣の秋。家畜にとっては講和も行政整理もなく只それよりも病気の流行や餌の値上りの方が余つ程深刻に骨味にこたえると言う。

◎新生日本の誕生と言うが何か雑然たる世相に変りはなく街頭には依然として思わくとバクチと犯罪が氾濫し不適者の方が雑草の様な強味を発揮してはびこっている。
 法悦の鐘を聞き,花鳥風月を詩歌に托する時期ではあるがそうした余裕はここ暫らく御預けとある。

◎とりわけ近頃は乏しいものが多いが何よりも財布の中味に及ぶものなく,多すぎて目立つものに人間の数に勝るものはない。
 と言っても乞食が割合少くて結構ノロノロと芋虫の様に働くが如く,働かざるが如き人間が生きて居られるのが不思議な現象だ。

◎八面玲瓏と言う人柄は切れ味の悪い庖丁と解いてよいのか?
 或いは有象無象が寄ってたかって刃をすりへらして切れない様にしてしまうのか。待つ身にもなければ新鮮な味覚の御膳立てがグヅツクと折角の名コックの腕が疑われる。