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一閃

△ある作州の人が自分に向って「津山畜産農場は備中のみから候補種雄牛を買われる様だが折角畜産農場は作州に在るのだから作州地区から候補種雄牛を購買する様にしてほしい」と申された。洵に御尤なことで自分はかくなることを人一倍願ってる。

△由来作州地方は本県における主要な産牛地で飼育頭数も多くその品質も亦優良で全国各地に歓迎されていることは周知の通りである。以前は種雄牛の育成も可なり盛で優秀な技術を持った育成家が居り優良な種雄牛を相当生産されていた様であるが,近年に到っては種雄牛の育成は真庭郡の1部に限られた様な感がありその他には殆んど見られなくなってしまった。

△近年人工授精の技術が逐次進歩し実用化されるに及んで優良な種雄牛を最も効率的に利用するという点から種雄牛を従来より少く飼育することにより和牛の改良増殖の目的を達成することに重点が指向される様になって来たので種雄牛の頭数は漸減の傾向にある。それで将来は従来よりも一層優良な種雄牛でなければいけないことになるのは当然である。

△畜産農場は県の種雄牛政策に則り県が必要とする優良な種雄牛を生産するためこれに適合する候補牛を選定の上購入するのであってこれは………如何であろうか………と首をかしげる様なものは避ける方針である。

△か様な訳であるから作州地区において適当な候補牛が居ればこれを購入するのに決して吝でなく寧ろ当方より御願して譲っていただきたいと思っている。然し現在においてはか様なものが殊んど見当らないことを自分は深く遺憾に思っている。この前の候補種雄牛の購買の時にも適当なものが居れば作州地区から購入したいと思って各郡畜連に御依頼して選定したが内1頭を除いては何れも備中産であった。

△和牛の改良増殖に当っては優良な種雄牛を得ることが何より大切であることは申す迄もないことで作州地区においても将来本県和牛改良の基礎となる優良種雄牛及びその候補牛が出来ることが必要でありこれには指導者生産者一体となり全力を傾注しての努力が要請される。かくして畜産農場の育成する種雄牛に作州産のものが多数見られる日の1日も早からんことを念願してやまない。(26.10.14記)