ホーム岡山畜産便り > 復刻版 岡山畜産便り昭和27年4月号 > 3月県会を顧みて

巻頭言

3月県会を顧みて

惣津律士

 昭和27年度予算案を審議した県議会は3月21日諸議案を可決した。この議会を通じて特に感じられた事は各党共に畜産の積極的施策を要望する声が従来に増して強く発せられた事である。
 畜産なくして今後の農村振興は期し得られないと絶叫する議員各位に対して我々畜産関係者は感慨一入であった。
 新しい農村は畜産振興を基礎としたものでなくてはならないとの理念が一般農村に強く浸透し,更に国民からも支持を受けるようになった事は何んと言っても有難い事であり,畜産課としてはその要請に対して心から応ずる気がまえを一層強くした訳である。まさに我が意を得たりの感がして限りない喜びにひたった。
 本議会ではかねて懸案の県営競馬場の移転改築も実現を見る事となったし,更に有畜農業創設事業と牧野改良事業は国からの資金及び補助額の確定を待って追加予算に計上される事が約束された。
 随って27年度の事業は従来の奨励事業の外に,右の極めて重要な施策が加わる事となり,本県畜産界は力強い而も新しい歩みを進める事となった次第で,私としてはその責務の重大を特に痛感して居る。
 春,春,誰れでも浮き立つ候である。桜花の下,畜産農民各位は想をあらたにして,本県畜産進展の為に一層の御精進あらん事を切望して止まない。