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編集室より

◎軍馬が居なくなって,「愛馬の日」が無くなったが,それに代るものとして「動物愛護の日」が出来た。春分の日を選んだのはお彼岸と結びつけて仏教思想より仏心を出して,せめてこの日位は動物を可愛がってやりましょう,と言うつもりらしい。無いよりはましであるが効果の程は疑わしい。
◎軍隊華かなりし頃,上官より小言を喰うとそれが次々と部下へ行き,最後の2等兵は当る処が無いので馬へ持って行き罪も無いのにいじめたものである。
◎同じ様なことが家庭にもある。主人が勤め先で上司からやられるとそれを部下へ持って行って当り散らす。その余波が家庭へ持ち帰られて家族の者がやられるので,子供達はそのうつ憤を犬や猫に持って行って当り散らし,叩いたり,水を掛けたり,犬や猫こそいい迷惑である。
◎家畜は主人の気質をそのまま写すものである,たまに仏心を出して動物を可愛がってやっても,平素の取扱いが悪ければ動物の性質は悪変するばかりである。家畜は平素から可愛がってやる必要があることを再認識されたい。
◎有畜農家創設維持事業の反響は大きなものがある。希望者は多いが中金の手持資金では貸す方と借りる方で単協自体の経営が確実なものでなければ借りられないことになる。直言すれば借りたい希望のものには貸して貰えないし借りたい無い者には貸してやろうということになりそうである。真に借りたい者に融資出来るように強力な措置が願いたい。
◎家畜保健衛生所が20ヶ所,支所が5ヶ所,それに三種畜場を加える人工授精施設は相当完備されて来た。有畜農家創設と共に和牛の生産県である本県の人工授精の使命は大きなものがある。受精率を向上し空腹を解消して大いに生産に努め,全国の要望に答えなければならない。