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岡山県酪農振興座談会(その二)

【牛乳取引】

牛乳の県営検査を

明朗な取引のため

(第50号の続き)
【日高=明乳笠岡工場】前回の大会において牛乳の県営検査が決議されていた筈であるが実施されていない,酪農振興のため不明朗な点のない笑った取引という点から県営なり公営なりの検査を実施することを決議して欲しいと思う。
【大橋】原則的には賛成で現在の形では買入機関の一方的検査であるから,当然公営が必要である然し費用は県費でやるようにし生産者に過重な負担がかかるということは困る。
【座長=奥山】一昨年の大会で決議されていたが,予算面で行き詰ったわけであるが県の意向は。
【惣津畜産課長】も少し他の方の意見をききたい。
【エツチヴンターリッヒ=ネッスル社西大寺工場支配人】問題は経費の点でこれが解決されれば問題はないと思う,現在県営検査を実施している香川県から集乳しているが,問題がなくなった,この県でもし行われるというならば全面的に協力したい。
【船橋】問題は手数料でこれが隘路となって実施出来ないのが現状であるが,これは生産者と業者とが懇談して歩み寄ることが必要と思う。
【水口=国分商店児島酪農工場工場長代理】私の方も香川県から入れているが,香川県の県営検査の場合費用は県と生産者と会社の三者が分担し合っている,所によっては会社が生産者の分を負担しているところもある。
【惣津畜産課長】もちろん懸案となっているわけで遅れて申し訳もないが,早急に具体化するよう努力したいと思う。
【座長=奥山県酪会長】牛乳は乳幼児,病人の主食故米麦の検査同様公営検査を是非ともお願い致したい,この点国及び県に強く要望する。
【窪田全酪副会長】牛乳の検査制度も大切と思うが,それのみならず牛乳の取引制度を確立する必要があると思うがどうか。
【日高】全面的に賛成で乳価評定委員会のようなものを作ったらどうか。
【座長=奥山県酪会長】牛乳の取引制度も大切で国でも考えて欲しいし我々も充分考えていきたい。

【改良増殖等】

優秀種牡牛の購入を

酪農家も極力支弁して

【工藤】優秀種牡牛の購入をお願いしたい,大いに基礎牝牛を入れていきたいが県で助成は出来ないか,人工授精所のよいものを多く造って欲しい,高等登録の能力検査につづいて雑種牛の能力検定も考えて欲しい,又種畜場の積極的活動を強くお願いしたい,その意味で現在の種畜場のは無理だと思う。
【惣津畜産課長】種牡牛の購入はいろいろ努力しているが思うようにいかない,基礎牝牛の助成は50頭程度の輸送費を助成する位で貸付事業も現在研究中である,人工授精所は県営のものを25造る計画で,これは民間のものを圧迫しないよう努力する能力検査もなるべく広範に実施したい,種畜場の独立採算打破は私も同様の考え方で斯次改善されてきているが,議会等の関係もあるので,極力皆さんも輿論を換気して頂きたい。
【中村技官】全国的に見ると種牡牛は最高3,000頭位であったが現在は人工授精の普及につれて2,200頭位に減少している近日も全国に照会した処400頭程度で間に合うと思う,本県の場合も津山の試験場に3−4頭,県種畜場に4頭もいれば間に合うと思う,極力種牡牛はへらしていくべきである,基礎牡牛は本年は全国で60頭程度貸付出来ると思うが,よいものを数少く貸付する方針である,人工授精所の強化として27年度は200万円の予算がとれたので500ヶ所に対し冷蔵庫と輸送箱を助成する考えである能力検定は26,27年度予算が取れなかったが,28年度は強く要求したいと思っている。
【蔵知県技師】畜産局にお願いしたいが種牡牛の貸付については地方の系統を十二分に勘案して欲しい。
【座長=奥山県酪会長】只今の要望は民間側も同一の要望であることを申し上げておきたい。
【大橋】種牝牛の貸付は厳選主義の由であるが,只今のお話の如く地方の系統も充分考慮して欲しいその意味で予算の枠をお示し願って,その範囲内で貸付先の希望も充分きいて最高級のものを貸付するようお願いしたい,県に対しては種牡牛の購入をお願いしたい経費については酪農家も極力支弁してそれに県費を加えて設置するようにすべきで県の酪農協会にもこの点希望する,そうして先進地に遅れないようにしたいと思う。
【座長=奥山県酪会長】その点充分県酪としても考えたい。
【惣津畜産課長】大いにむち打たれる思いで充分努力したい。
【中村技官】貸付牛は現在の予算技術面からいって県に任せるというわけにはいかない,この代案として農林省が貸付牛を購買する時立会ってもらって希望を聞かして頂くのがよいと思う。
【森】最も必要なのは技術指導で本県にも兵庫県の如き酪農講習所を造って欲しいと言う。
【座長=奥山】県の畜産審議会でも決議されているがそのままで是非お願いしたい。
【惣津畜産課長】近い内に出来ると思うが,民間の方からも大いに輿論として出して欲しい。
【大橋】国及び県の酪農の在り方なり,振興計画をお進め頂いていることは承知しているが官民一致の線で推進したいと思う考え方は熾烈だと思うので,本日のいろいろの意見を具体的に進めるため推進組織を作る必要があるのではないか,我々の輿論が大きく出ることが最良の道と思う,その意味で酪農振興会議を作って組織化し凡ゆる人材を結集して強力に推進するようお願いしたい。
【田口=北部酪協参事】現在最も困っている問題は酪農課税の問題で県指導連が中心となって種々折衝しているが乳牛維持経費として3万円控除され生産経費として40%控除されその残が所得金額と見做されているが,この控除額が如何なる算定基礎に基いているかも公表されず一方的な形で重税が課されている状況である。
【秋山=全酪主事】酪農課税は今迄全酪として地域により軽重があり,余り騒ぐと反ってヤブ蛇になることを懸念して全国的な形でとりあげなかったが最近各地で御指摘通り相当問題が出ており,先日も関信越国税局管下の各県が強力に要望したが,遂に物別れという形で,これはどうしても全国的な線で進まなければならないと思うので近く開催の全国酪農大会に重要なる議題として提出する考えである。
【窪田全酪副会長】政府に対し又県に対しそれぞれ要望すると共に自分達自身でやり切る熱意を持つことが必要と思う,例えば草の問題にしても余りむずかしく考えすぎるきらいがある,いい草だけを刈り取るだけでなく,悪い草を併せて刈り取る必要があるわけで皆が一致してやることでなければ成功しない。又アマ二粕やコブラ粕のような安く使えるようなものを酪農家が使わないため資金面より輸出するというような状態である税金の問題についても全酪より各会員に対してその状況を問い合わしても何等の反響もないという状況で,連絡協調の必要性を痛切に感ずる次第である,乳牛の改良増殖にしても,千葉県では民間が率先して系統繁殖を狙って精液の販売を考えているこの点生産側として充分考え県内だけでなく他県とも連絡してなるべくいい種を受ける方法を考えるべきである,ともあれ牛乳取引の問題にしても全て民間の団体が自らの力でやって行くという風にして真の協力態勢を整えることが最も根本であると思う。 (座談会終)