ホーム岡山畜産便り > 復刻版 岡山畜産便り昭和27年5月号 > 編集室より

編集室より

 ◎萌え出た緑が眼にしむ頃になると緑の羽が町に流れて,心よい春の動きを感じさせる。子供達も大空に,晴れやかに唱う。
 かえれつばくら うみをこえて
 あがれひばりよ くものうえに
 けうこそうしれき よみがえりの日ぞ

 ◎「許可なしくて生える草を雑草と言う」と誰かが言った。一粒の草の種も処を得て成長すれば牧草となり,処を得ざれば雑草として捨て去られる。雑草に対する関心は深いが,さて野草となると人々の関心は薄らいで行く。家畜を飼っている人々さえ野草に対する心づかいが無いのに驚く。
 乳や肉を知っている人も,それが家畜と言う高等機械を通して造られることには無関心である。原材料である草を放置して,製品である乳肉のみを希望する人間のむしの良さを家畜共が笑っていることであろう。

 ◎有畜農家創設事業の融資の県別枠が決定した。農林省はもっともらしい計算の基礎を説明したが,各県の枠を比較してみると,発言地に厚く,北厚南薄である。真面目に計画を出した県も,大雑把に机上集計で計画を出した県も大差の無い割当を見ると何か割り切れないものが残る。

 ◎ともあれ1,490単位,2,840戸の有畜農家が創設されることになれば飼料資源の開発造成に努力しなければならない。10,600町歩の草地(畦畔,堤塘,道路等)の草生改良を実施して,安定した有畜農家を創設し,安価な畜産物を供給するようにしたいものである。
 草生改良の為めに「緑の羽」のような全国的運動の展開されんことを祈る。

 ◎20箇所の家畜保健衛生所と5ヶ所の支所が活動を開始した。一線の強化は畜産人にとっても有難い話である。病気の対策ばかりでなく飼養管理の指導を徹底させ,飼養失宜による損耗を防止してほしいものである。