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畜産ニュース

喉を売るカナリヤ
応じ切れぬ注文に悲鳴

 最近我国輸出畜産物で一躍海外に名声を博し相手方の注文に応じ切れず,真実嬉しい悲鳴を挙げているものに,主として米国向けであるが「カナリヤ」がある。これは一昨年の秋頃より輸出産業として非常に有望視されて来たものであるが,果してこの鳴声のみの名声は今後何時まで続くものであるか,農家副業を前提としての将来性及び現在の輸出,生産状況を,畜産局では次のとおり発表している。

一.輸出状況

 25年8月から26年4月頃までの注文約8万羽に対して実際輸出された数はわずか3万羽のみであったが,今シーズンは10万羽の注文に対してやはり満たされず約8万羽程度が輸出されつつある。現在の生産羽数は約25万羽といわれているが,国内飼育熱が相当ミまって来たため種禽用として相当数が動いている。
 ところが来シーズンの注文は米国1商社だけでさえも約20万羽を申込んでいる様な状態で文字どおり引っぱりダコ,放って置けば争奪戦をもやりかねない凄じさで国内商社は断るのに汗ダクの体である。そこで来シーズンは一体幾等輸出する可能性があるかという,せいぜい気張って15万羽が関の山である。ところで輸出される「カナリヤ」の種類は大部分が「オレンヂローラーカナリヤ」となっており,輸出され始めた当初は殆どが雄に限られていたのが最近相手国に於て,鳴声を聞くだけではあきたらず,鳥の自然な状態が好まれる傾向が見られ前シーズン頃より雌雄番いて輸出され始めた。今シーズンは総輸出量の内約3万羽が雌で占められているといわれる。なお輸出シーズン中最も活発に出る時期はクリスマス前で,この時期が「カナリヤ」輸出産業では書入れ時となっている。

二.輸出相場

 輸出相場は畜産局の調べに依ると今シーズンは3ドル20セント平均と見ている様であるが一方国内相場は生産者団体を通じての場合と,そうで無い場合とは大分庭先相場には開きがあり,次のとおりである。

(1)生産者出荷団体を通じない場合
輸出業者の買値を100%とすると,集荷業者のこれに対する売値は78.7%となっており,生産者の庭先相場は69.4%となっている。これを金額で表すと
 輸出業者の売値FOB 1,080円
 集荷業者 850円
 生産者庭先相場 750円

(2)生産者団体を通じた場合 
輸出業者の売値を100%とすると,生産者団体の売値が78.7%で,これに対する生産者相場は75.9%となっている。金額に直すと生産者売値は820円の高値となっている。

三.農家副業としての利点

 農家副業中に「カナリヤ」生産を取入れた場合農家は果して採算が合うかどうか。……@労力は殆んど必要としない。A飼料を特別に誂える必要がなく有合せの菜種子,菜葉等で間に合う。B1羽当りの生産費が最高200円で終る。などの利点があるが,1つの問題として次のような欠点もある。

四.現在の取引状況

 現在の取引は僅かな貿易商社に限られているため極めて複雑である。例えば@中間マージンが多額である。A先シーズン等は先物契約が行われている。B輸出検査の場合検査までの輸送費及び不合格の返送費等現在生産者自信が出費する様な不利などがあるとして一部関係者間で取引改善運動が開始されている模様である。一方岡山を中心とした生産者間において強力な生産団体設置に奔走中であると言われているが,何れにしろ農家副業と名の付くものは前例から推し殆んど投機的な傾向を示す様で,この防止策には生産者自体の結束が要望される。