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めん羊の離乳

 仔めん羊は生後3ヶ月を経過しますと十分飼料のみで発育できるようになり,母めん羊から離すことができます。しかしこれは母仔の栄養状態を考えて適当な時期を定めるべきで,大体生後3ヶ月から5ヶ月位が普通のようです。
 哺乳期間が長ければ長いほど仔めん羊の発育は良好でありますが,余り長すぎますと母めん羊の疲労が甚だしく,次の蕃殖に悪い影響を及ぼします。よく農家でいつまでも母仔を一緒にしているのを見受けますが,この場合母めん羊の栄養は不良で,次の種付期を失しています。離乳の方法は単に仔めん羊を母めん羊から離して別居させればよろしいが,仔めん羊は離乳当時一時発育が停止するためなるべく良い飼料を多く与えて,毎日の発育状態に細心の注意を払ってやらなければなりません。離乳当時は特に消化器の障害が多く,飼養管理の過失のため思わぬ失敗を見ることがしばしばあります。離乳後20日から30日もしますと発育はだんだん良好となりますから,これに応じて飼料も考慮しなければなりません。
 仔めん羊の発育は飼料と運動によって左右されます。ですから飼料については種類や品質や数量を検討して,滋養に富んだ粗飼料を主体として,だんだん増量すると同時に十分な運動を行って,胴体が延びた,骨格のがっちりしためん羊を育成しなければなりません。母めん羊は哺乳を中止するために乳房炎を起しやすいから,これを防ぐため1日に1回から2回搾乳してだんだん乳の出が少くなりついに止まるようにして下さい。なおいかに優良な雌めん羊でも,仔めん羊の発育中は栄養状態の衰えるのはやむを得ないことでありますが,このまま再び種付しますと,栄養はますます衰えて,胎児が十分に発育しないために虚弱な仔めん羊を生産したり,あるいは泌乳が不足して折角出来た仔めん羊の哺育も不十分となり,離乳から次の種付までの間の体の休養期間に雌めん羊の栄養と元気を十分に回復するよう,飼養管理に最善の努力を払わなければなりません。要しますに翌年の分娩と育成の不良は,離乳後の飼養管理の要を欠いだ結果に外ならないのですから,以上申しました点に細心の注意を払って,めん羊の増殖を計ると同時に衣生活の改善,農家経済の一助として下さい。