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畜産ニュース

鶏のコクシジウム病

 今年の春出ました雛は皆様方の愛の手に守られてすくすくと育っていることと思いますが,幼雛時代から,中雛時代にかけてはコクシジウム病が発生し易く,この時代は特に病気に対する抵抗が弱い為思わぬ被害を受けることがありますので,コクシジウム病の予防と治療について述べてみたいと思います。
 この病気は一種の眼に見えない原虫が小腸又は盲腸に寄生して起る伝染病でありまして,病状種々違いますが,急性のものは出血し下痢で血便をするのが特徴で羽毛を逆立て,頭を垂れ,居眠りをして,急に衰弱して短期間にたおれます。稍成長した雛では経過が長びいて,丁度羽織を著た様な恰好になり,次々とたおれてゆきます。孵化後1−3ヶ月の雛が本病にかかりますと約5日後に突然血便を出し,多くは2日位の経過で死亡します。
 現在のところ適確な治療法はありませんが,最近サルファ系の薬品が非常に効果があることが明らかにされましたがこれを

 2−3週間雛に1羽1日50r
 3−4週間〃 65〃
 4−5〃 85〃

又フラシン系の新薬が発売されていますがこの薬品はサルファ系やペニシリンと共に,創傷,化膿病等に応用され,サルファ剤よりも値段が安く,効きめが大きいので評判が良ろしい。然し一般には治療はなかなか困難でありますから,予防を完全にして発生を未然に防ぐ事が大切であります。予防上注意しなければならない点をお話しますと,コクシジウムのオオチスト(寄生虫の卵に相当する者で糞便と一緒に体外に出ます)は鶏の体から一度出ますとなかなか死滅しません。陰温な運動場などでは1年以上も生きていて,毎年害を与えます。このオオチストは消毒に対しては大変強く,普通の消毒剤で消毒しても効果はありませんが,熱に対しては極めて弱く,摂氏70度の熱湯で死滅しますから消毒薬を使用される場合も熱液にして使用されると効果があります。一番大切なことは糞の取扱い処理を厳重にすることでありまして,飼料箱や飲水器に雛の糞が入らない様に,又脚を踏み込まないようにすると共に糞は安全な場所に取除いてよく消毒するように致しましょう。