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巻頭言

家畜の事故防止について

惣津律士

 毎年の事とはいえ又蒸暑い夏が訪れて来た。夏と言えば人間の伝染病と共にここ2,3年家畜の伝染病が新聞紙上を賑かして居る。私達畜産関係者はこの嫌な病気にはニリニリしているのだが,新聞記者の方では私を訪れてくる度毎に記事になるような伝染病は発生しないかとの質問である。まことに苦笑せざるを得ないが,内心は極めて不安である。伝染病云々の声を聞く度毎にあの猛烈だった牛の流感其他を想い出し身震を感ずると共に本年こそ無事故であってほしいと念願するのは私一人ではあるまい。
 7月からいよいよ有畜農家創設計画に依る各家畜の導入が実施される事となった。従来の成績を見ると他府県からの導入家畜の事故は輸送中よりも寧ろ農家に到着してから大体2週間内外が多い模様であり,取りわけ緬山羊については極めて高率に及んでいる事はこの際,関係者として真剣に警戒を要する事項である。
 折角融資を受けて導入した可愛い可愛い家畜がかような飼養管理其他の失宜に依って罹病斃死するほど悲惨な事はない。導入農家が今まで家畜を飼育した事の経験のない無畜農家が今回は相当数に上るものと思われる関係上,この危険性は充分に予想されるものであって,県,団体の技術者の指導の下に飼養管理に万全を期して戴きたいものである。
 家畜に対する保健衛生思想の向上は従来から十二分に唱導指導されて来ているものの,各農家に於ては案外関心が薄い事は事実である。この思想の欠除は実に恐るべき事であり,これと飼養管理の失宜と相待って,家畜の損耗を来す事は一般の通念である。
 今年こそお互に飼育家畜の健康を保持したいものである。