ホーム岡山畜産便り > 復刻版 岡山畜産便り昭和27年8月号 > 乳牛登録審査講習会開催

乳牛登録審査講習会開催

 去る7月9日,10日の両日にわたり,岡山市牧石中学校及び種畜場において岡山県酪農協会,県共催で乳牛の登録審査講習会が開催された。両日とも雨天であったが地区農業改良普及所,地方事務所,郡畜連,酪農組合,家畜保健衛生所,岡山大学,種畜場,県等の畜産技術者をはじめ民間人を含めた100余名が2日間にわたり熱心に受講した。講師は日本ホルスタイン登録協会,加藤純之輔氏を始め,小林事務局長,辻技師の3氏であり,第2日目の午後より乳牛の実地について説明を受け多大の収穫を治めて盛会裡に終了した。講習会の要旨は次のとおりであるが,当日の加藤氏の「乳牛の審査」の項については「畜産技術講座」に登載し,同じく同氏の登録の手続については紙面の都合上省略した。

乳牛の登録

日本ホルスタイン協会
小林事務局長

 登録が家畜改良に一番大切な方法であることは私から申し上げることはないと思う。乳牛は能力のよい,進んだものが経済的である。これは外国の文献を見てもまちがいない。最近のように日本が狭くなった意味でも酪農を進展させなければならない。ホルスタイン協会は昭和23年8月から仕事を始めた。乳牛の登録は明治44年から開始されている。これを全農が引きつぎ,その後現在の形になったのである。ホ協会はホルスタイン種の純粋の登録を仕事としているが,この外ジャージー,ブラウンスイスなどの改良のためにも登録の仕事を当会で実施している。ジャージーはホルスタイン種に準じて行い,ブラウンスイスについては要綱が定められている。又ホルスタイン種系の乳用牛の登記も行っている。大体協会の仕事は以上のとおりである。その外系統蕃殖の研究も行っている。
 全国でホルスタイン種を飼育しているものが1万4,000から1万5,000名位で,これらの人を正会員という。ホ種系は1,000名内外である。
 外国においても,米国,カナダでは登録が行われオランダでも団体がある。これらの純粋種は日本においても同等に取扱われる。現在日本における登録牛の累計は13万−14万であり,血統登録が26年で1万2,500件行われ,証明書を発行した。これには北海道支局関係が含まれているが,内地のみでは9,500件位である。
 高等登録は26年度中に1,282件で,体格審査のもの3,300頭であるが,能力検定はまだ行っていない。3,300頭の内,合格2,500位であり,この外登録移動が6,000件である。
 純粋血統登録については雌は殆んど実施し,雄はもちろん登録されないものは処分される。血統登録は改良のために正確であることが第一の条件である。このため今般事務局の組織を改めた。登録第一課,登録第二課,調査研究課を作った。
 日本の血統登録は親が登録牛であれば,仔が登録牛となるが,ここにある種の選択をすべきであると思う。高等登録は30日検定では駄目で,10ヶ月或は1ヶ年の長い検定にかわって行き,本当の能力をみるべく御指導願いたい。
 米国においては一生涯にどれ位の能力を表わすかの見方に変っている。米国の高等登録は体格の点数に入っておらず,能力のみであるが,最近級別を加味するようになってきた。日本では体格,能力で行われ,まちがわれていなかった。体格も必要であるが,能力も良くなければならない。そこで体格のみで測断するという傾向におち入り安い。北海道においては体格よりも乳の記録の方も重要視している。現在の処日本での能力検定は発達していない。後代検定により種雄牛を用いるのがよいといわれているが,能力検定のあまり行われていない今日ではむつかしいが,後代検定により種雄牛の改良を行わなければならないと思う。今後人工授精の普及について,種雄牛の遺伝を考えて行かなければならない。