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編集室より

◎暑中御見舞申上げます。
 例年の事乍ら備前の夕凪には全く閉口である。「言うまいと思えど今日の暑さかな」と誰かが吟じたが,全くその通りである。日本人は挨拶にまで天候を持ち出すと言って外国人は笑うけれども,瑞穂の国であってみればお天気次第で豊作にもなれば凶作にもなるのであるから自然お天気が気になるわけである。と言うわけでもあるまいが然し暑い時には暑くないと何となく気になるものである。梅雨が長かったんだから,照る方も亦相当でないとお米が出来ないことになる。ここでお米の出来が悪いと折角統制を廃止しようとする自由党の公約も駄目になるので選挙戦を前にして政府の面々も気になることであろう。それにしても天候を気にしないでやれる畜産は有難いものである。こんな処で有畜農家も大きな顔が出来るのである。と威張ってみても暑い時は矢張り暑いのである。

◎「進歩とは変化を求めることなり」と誰かが言った。毎日同じ仕事を繰り返していたのでは退歩である。畜産界も変化を求めて,新しい角度から新しい方法と計画に基づいて進歩しなければならない。農業経営にプラスとなる畜産であるために,変化のある仕事がしたいものである。

◎ドン,ソン,と言う言葉がある。
 花火大会が各地に大流行で何10万,何100万円と掛けて夏の夜空に威勢のいい花を咲かせている。日本人の気前のいい処を見せるにはこれ位ピタリと来るものは無いが,復興途上の日本であってみればドン,損,ドン,損と空費する金は何となしに胆に響くことであろう。尤もこの花火を製造してもうけている人間もあるんだから,考えてみれば「誰にも悪く吹く風は悪い風である」と言う西洋のことわざは此処にも適用するわけである。
 涼風を求めて花火見物に出て人波にもまれて汗を流す人も多いのだから世は様々である。