ホーム岡山畜産便り > 復刻版 岡山畜産便り昭和27年9月号 > 牧場便り

牧場便り

津山畜産農場

 憐れを思わすミンミン蝉の鳴声ウダル様な今日此の頃の暑さにモー君ブー君メー君達も全く閉口したらしく巨体に似合わず苦しく喘いでいる。
 朝露の中からサクサク歯切れの良い音滴るばかりの牧草が畜舎に運ばれる日灼けの半裸体に汗と埃にまみれた場員達の慈愛に満ちた家畜の世話が始まる。朝6時30分から午後5時30分迄運動に手入,搾乳,飼付,放牧,畜舎の掃除と寸断を許さない単調な毎日の業務の中に場内の整備,建設,開墾,調査研究さては年内の最盛を思わす人工授精や診療と夏季の家畜の世話は一層骨が折れる。
 又終業後の一時,囲碁,将棋さては柔道の練習に明日への糧を求め多忙な中にヤングマンのレクレーションの1コマが演ぜられる。

△夏季畜産技術研修会開催

 「働く農場,県下農家の道シルベ」スローガンを掲げて昨年度総合的な畜産技術研修会を開催したが本年度も作州地域より農村の中堅青年及婦女子を当場に参集を願い猛暑を凌いで汗を流して畜産技術の研修をなすべく第1次和牛,第2次乳牛第3次和牛,第4次乳牛と各々の畜産技術研修会を開催し既に第1次第2次第3次を終了し其の概要を述べれば下記の通り

◎第1次和牛研修会

 会期は7月22日より同25日迄で参集人員6名(苫田2名,真庭,勝田,英田,久米各1名)と場内畜産技術練習生,研究生5名,合計11名を対象に朝6時30分より夜9時迄和牛の改良審査飼育管理,調教嬌角削蹄,飼料作物,人工授精等和牛の必修事項の実務について研修すると共に畜舎実習草刈等の作業を施し極めて熱心に終始した。講師は場職員及県畜産課加本技師が担当した。

◎第2次乳牛研修会

 会期は7月29日より8月1日迄で研修員14名(真庭2名,苫田6名,勝田1名,久米5名)と練習生,研修生を併せて19名を対象に乳牛に関する搾乳犢の育成,酪農経営,自給飼料,乳牛の審査,人工授精其の他一般飼育管理の基礎的知識の実務について研修し更に草刈,畜舎実習等の作業を施し,職場員及県畜産課蔵知技師を中心に朝6時30分より夜9時迄熱心に研修が続けられた。

◎第3次和牛研修会

 研修員19名(真庭3名,苫田3名,勝田2名,英田2名,久米9名)更に「オブザーバー」として勝田郡豊並村より4名の畜産農民の参集があり第1次和牛と同様の日程により実施し研究課目以外の事項についても質疑応答があり熱心に終始せられた。

◎第4次乳牛研修会は8月20日より同23日迄作州地域の婦女子概ね10名に対し酪農経営,搾乳及製品の利用其の他飼育管理の一般について県畜産課蔵知技師,県酪連奥山会長,苫田地区農業改良室,富岡技師を中心に研修が行われる予定。(昭27,8,10記)