ホーム岡山畜産便り > 復刻版 岡山畜産便り昭和27年9月号 > 編集室より

編集室より

◎「上を見よ,下を見るなかれ」と言う言葉がある。顧照脚下を対象として面白い言葉である。絶えず無限の大空に思いを馳せ,宇宙の真理を探究することも意義あることである。下界の雑音の渦巻く中に,あくせくと働く人々に天来の妙音を聞かせたい。町の夕涼みは岡山名物の1つである。町を狭ましと並べた椅子に横たわる人々が夜空を眺めて宇宙の神秘を思うのも,時の妙薬である。天を仰いでうつ憤を嘔き出して新しい大気を呼吸し,明日への活動力を養って貰いたいものである。

◎牛乳の消費は暑さと共に鰻上りに登った。昨年の約倍50石位にはなったらしい。牛乳の消費が増えることは酪農家にとって朗報である。然し底流は矢張り秋の製品ストックを見越しての原料乳価の値下げの声である。菓子原料位にしか使えない加糖煉乳を製造して,倉庫に積込むとは工場にとっても迷惑な話である。然し途は拓けると思う。学童給食は大きな消費量を持つものである。酸変した2等品の脱脂粉乳を使うより安い新鮮な脱脂乳を直接消費したらお互いに利益も大きいものがある。県の産業奨励の立場からも大きく考えて,種々な問題はあるとしても大乗的見地から協力が願いたいものである。

◎有畜農家創設は益々複雑になり,益々困難である。貸し方と借り方とでは自ら立場も異るし,考え方も違うのは己むを得ないが,もう少し何んとかならないものかとは皆の声である。真実の声は取り上げてほしい。

◎台風期が近づいて来た。又,今年も被害報告を聞かなければならないことである。一面には金へん景気で川底異変を来し,とんでもない時に被害が出ている。台風期が来れば更にその被害は大きいことであろう。個人の利益しか考えない人間が多いことは,それだけ社会が害われることになるのである。公衆道徳の訓練をもう少し徹底してやってほしい。大人が駄目なら子供達だけでも学校を通じて行ってほしいものである。