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池田夫妻さいわいの住む牧場へ
畜産岡山の誇

 去る10月10日結婚された池田隆政氏と厚子夫人が,お国入りの16日は前日の雨がカラリと上ってあたかも新夫妻の将来を祝福するかのような秋日和,新夫妻歓迎のための1ヵ月ばかり前から地下道フォーム出口,構内建物など塗りかえ修繕をして明粧なった岡山駅下り1番ホームに三木岡山県知事,蜂谷同議会議長,横山岡山市長など歓迎の在岡官民代表約60名が待つうち新夫妻の一行を乗せた下り急行「筑紫」は午前11時14分岡山駅にすべり込んだ。
 駅頭から出口前,駅前広場,電車通りは押しかけた人,人で埋めつくされ,一行の車はこの約1万人の人波の熱狂的な歓呼と祝福の嵐のなかに包まれてしまった。夫妻はやっと車上の人となったが押しあい,へしあいモミクチャの人波で100m余の市電乗場まで行くのに30分あまりの時間を食うという熱狂的歓迎ぶりであった。ここから柳川交叉点までの沿道もザット2万人の人波,お国入りのこの日夫妻全くモミクチャにされた形だった。
 柳川交叉点から南方――新居の間も先生に連れられた小学生,女学生,一般歓迎者がギッシリならびこれに応えながら車は予定より1時間おくれて午後零時22分新居へようやく到着した。
 牧場事務所横で車からおりられた池田夫妻は「おめでとう。まあ!きれい!」の歓迎の声をうけられながら新居へ入られた。小憩の後応接間で夫妻おそろいで記者団の注文に心よくポーズをとられ写真のフラッシュをにこやかにお受けになり,引続いて新居の庭で牧場到着の御感想を記者団にのべられた。午後3時から記者団の注文に応じてポーズをとられ写真におそろいで御入りになった。かくして御国入りの1日は暮れて行った。
 17日は厚子夫人はいささかお疲れがでて記者会見も取りやめになり18日の祝賀会も延期されたが,数日にして全快された。すっかり元気になられた厚子夫人を中心に夕食に団らんのひと時を過されていた20日午後7時ごろの岡山市京山山麓の池田邸は時ならぬ提灯行列に囲まれた。この夜同所尾針神社の秋祭りに岡山市内22町の老人,子供達約2千名が提灯を手に歓迎祝福に集まったもので食事を中止され隆政氏とともにテラスまで出られて,手にした提灯を高くあげて行列に答えられた。
 21日は三井造船玉野造船所のデンマーク国メルスク・ライン社のオイルタンカーの進水式に,22日は朝県からの乳牛贈呈に,市内3ヵ所の祝賀式にそれぞれのぞまれた。

御国入りされた池田夫妻

県からお祝いに乳牛1頭を贈る

 順宮様と池田隆政氏の御結婚をお祝いして県から乳牛を1頭贈呈することになり去る10月7日畜産課藏知係長が静岡県へ購買のため出張中であったが,田方郡函南村丹那で優秀な仔牛を発見購買した。この牛は静岡県が基礎牛として残していたもので母牛は全国乳牛共進会の3等賞2席で高等登録牛であり,乳量1日最高2斗6升,体格審査で80点をもっており,父牛は名誉高等登録牛で娘牛中40数頭の高等登録牛を出している第六S・N・S・ドン・オームスビー・ピーターチエ号である。両祖父は有名なキングベッシー,ドン・オームスビー号であるので,ダブルクロスになっているので面白い成績が得られるものと考えられている。
 この仔牛は昭和26年10月6日生れで,チュンキー・レークサイド・ドン・ポールホルム号といい10月15日朝岡山駅に到着,直ちに岡山種畜場で飼養されていたが去る10月22日午前9時半,三木県知事,蜂谷県議会議長,惣津畜産課長らの手によって池田氏夫妻に贈られた。

県から贈られた仔牛

農林大臣からお祝の鶏を贈る

 順宮さまと池田隆政氏の御結婚を祝って,農相から去る9月26日午後,農林省兵庫種畜牧場産の単冠白色レグホーン12羽(オス2羽,メス10羽)が大臣代理の田内同種畜牧場長から目録とともに池田牧場へ送られた。この鶏は本年3月兵庫種畜牧場で孵化し育てられたもので優秀な血統のものである。

農相から贈られた鶏