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和牛牡1等1席山榮号
去る10月6日から9日まで,吉備郡総社町家畜市場において,第8回岡山県種牛共進会が開催された。
一部に懸念された,牛の流行性感冒の発生もなく,なお本年度より,有畜農家創設事業や,牧野改良事業が国策として強く推進されるという,正に畜産にとって最良の秋,地元総社町は勿論,吉備郡全町村挙っての協賛により盛大に開催され,予期以上の成績をあげ得た事はまずもって,目出度い限りである。
今回の出品は,牡・牝1部,同2部あわせて142頭という,共進会始まって以来の多数出品となり,審査陣を少々まごつかせた。将来はせいぜい6,70頭に止めたいものである。
審査は惣津畜産課長を審査長とし,本年始めての試みとして各ブロック別に団体技術員6名を加え下記陣容で行った。
なお,特に県下畜産主任者会議で決定された審査方針を重視したが,頭数の多いにもかかわらず昨年より一段とよく揃い,上位入賞牛の等級判定には相当腐心されたようである。詳細は別記審査報告のとおりである。
審査長 惣津畜産課長
牡及牝第1部
部長 馬渡津山場長
県畜産課 渡辺技師
千屋種畜場 嘉寿技師
御津郡畜連 森安技師
上房郡畜連 尾坂技師
川上郡畜連 池田技師
英田郡畜連 松本技師
牝第2部
部長 梶並千屋場長
改良課 佐々木技師
津山畜産農場 渡辺技師
阿哲郡畜連 石垣技師
苫田郡畜連 三木技師
今回の出品は例年に比べまして甚だ多数にのぼり総数142頭に達して居ります。之を産地別に区分しますと,阿哲,真庭,苫田,川上等のものが,合計115頭であり,今回の総出品頭数の実に8割余に達しております。
その中でも,更に阿哲産のものが64頭で過半数であることは,県内畜牛の特色を示しているものと思います。
又出品郡別に分類しますと,当地元の吉備郡が35頭で最も多く,比較的主催地に近接している,都窪,阿哲,上房,小田等の各郡が比較的多く,遠隔の各郡は2−3頭程度に止まっていることは,やむを得ない事情があると存じます。
以上の各郡の出品の結果を申上げる前に,本年の審査方針について簡単に申述べておき度いと存じます。
この審査方針は本共進会の開会式に於て,既に申上げましたが,審査に当っては,従来の黒毛和種の審査標準に則ってやる外に,特に,岡山県産牛の美点を維持し,欠陥を補う意味で次の諸点を特に重視致しました。即ち
1.品位に富むこと
2.資質の良いこと
3.体積に富むこと
4.乳徴のよいこと
この4点については,予め審査上,特に考慮を払ったものであります。
過去の共進会を追憶してみまして未だ改良の実績があがらなかった時代におきましては図抜けて立派なものが出る代りに,又相当悪いものがありました。
つまり不揃いであったと言えます。それが近来非常に揃ってきたことであります。これは次第に改良が進むにつれて,全体のレベルが向上してきたことを物語るものでありまして,従ってそれ丈に審査序列の決定が困難となってくるものであります。
昨年の共進会でもこの全体のレベルが向上したことを指摘致しましたが,本年は,更に,昨年の頭数の5割も多いにも拘らず目立って欠陥の,あるものがなく一段と向上していますことは誠に同慶の至りと思います。
一般の飼養管理の諸点や牛に対する熱情に於ても,何れ劣らず極めて真けんに愛情をこめた取扱いの結果,すべて栄養もよく手入れもよく行届いており,又調教訓致も大多数は立派に出来ていると感じた次第であります。
只出品を通覧して,先にも述べました通り地域的にみて備中産のものが,圧倒的に多く作州の出品が割合に少なかったことは開催地の立地的関係によるとも思われますが,逐年作州のものも特色をもった改良の実績が認められます。備中に劣らず,量質共に一段と改良を向上して出品されん事を希望いたします。
次に細部に亘る諸点について述べます。
体型上は,牝,牡ともに体の均称特に中躯は良く一般に甚だしい欠陥はありませんが依然として肩と後躯に難点が残っております。
品位の点は概ねよろしいが〔牡〕は牡らしく堂々とし体全体が緊実していると言う品位は今少し研究をお願いします。〔牝〕も牡と同様概ねよろしいが少数例に種牛としては,過肥に過ぎている為,体全体にしまりを欠いでいるものがありました。
資質乳徴については特に関心をもってみましたが牡に於ては,何れも格段の進歩があるとは言えません。この点には今後よく改良上の注意を払って頂きたいと思います。
牝にあっては,資質はやや改良されて程度がよくなりつつある傾向が認められます。この点は産地別にみて苫田産が比較的良く,川上,真庭産には,この点に特に留意をしていただきたいと思います。
なお,乳徴については,最近大いに関心を払われて来ましたが,良いものがある割に悪いものも目立っております。希くば全体的に向上することが将来の本県産牛の仔牛の発育の面で声価を挙げることになるので,一般に注意を払って頂き度いと思います。
発育体積は厳重な測尺によって検討しましたが牡においては概ね体各部の発育は平均以上に達していますが,中に優秀なものでありながら若干発育の劣っているものが少数ありました。牝については,一般に牡に比べて発育の悪いものが多く体高の標準に照して見ても成牝牛の部は総数のほぼ7割が発育の中以下であり,胸巾ではその4割5分が充分でない。これは今後詳しく検討したい問題でありますが,牡と若い牝牛が発育が良いという点を対照的であることは考えなければならないと思います。
牡18号と11号を比較しますと,その何れも種牡として優秀な素質をもつことは御覧の通りであり,均称,体積,品位何れも甚だしい差は認め難いが,欠点としてどちらも肩つきと後躯に若干の難点はありましたが特に18号を優位として所以は仕上りの優れていることでありました。
牝の1部
11号と15号を比較した場合は何れも均積体積,品位は良い代りに11号の歩様には難点があり,15号の後躯後肢に難点があり何れを首位とするかに相当議論がありましたが結局11号を首位とした所以は,中,後躯の均称が良好で,牝らしい品位に優れていたところをとったものであります。
牝の2部
上位にした32号,40号,51号について見ますと基礎牝牛として品位,資質,乳徴共に何れも大きな差はなく,本県の代表的種牛として挙げられます。32号は尾根部に難点がありましたが,均称,体の緊り,極めて良く,之を40号,51号に比べたとき僅かに優位とするに適当と認めた結果によります。
授賞状況表
郡別授賞点数 | 産地別授賞状況 | 郡別 得点 |
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郡別 | 授賞区分 | 1等 | 2等 | 3等 | 4等 | 計 | |||||
1等 | 2等 | 3等 | 4等 | 計 | |||||||
御津 | 1 | 1 | 2 | 4 | 5.25 | ||||||
赤磐 | 3 | 3 | 2.5 | ||||||||
児島 | 2 | 2 | 2 | ||||||||
都倉 | 3 | 7 | 10 | 20 | 12.95 | ||||||
浅口 | 3 | 3 | 2.5 | ||||||||
小田 | 8(1) | 8(1) | 3 | 3 | 5.5 | ||||||
後月 | 1 | 1(3) | 2(3) | 1(1) | 1(1) | 4.1 | |||||
吉備 | 2 | 1 | 6(2) | 20(4) | 29(6) | 1 | 1 | 19.87 | |||
上房 | 6 | 2(3) | 8(3) | 5 | 2(1) | 7(1) | 8.136 | ||||
川上 | 1 | 2(1) | (3) | 3(4) | 1 | 4(1) | 3(3) | 8(4) | 6.64 | ||
阿哲 | 1(2) | 3(4) | 1(6) | (3) | 5(15) | 3(2) | 7(4) | 11(8) | 21(8) | 42(22) | 15.5 |
真庭 | 1 | 2 | 2(2) | 5(2) | 1 | 4 | 14(6) | 19(6) | 6.21 | ||
苫田 | 1 | 3 | 2 | 6 | 2 | 4 | 8 | 14 | 6.5 | ||
勝田 | 2 | 3 | 5 | 2 | 4 | 6 | 4.7 | ||||
英田 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | ||||||
久米 | 3 | 3 | 1 | 4 | 5 | 2.5 | |||||
合計 | 3(2) | 11(4) | 31(9) | 63(19) | 108(34) | 3(2) | 11(4) | 31(9) | 63(19) | 108(34) |
備考 括弧内( )数字は牡牛の頭数とする。
将来本県産牛特に注意を払わねばならない点は,昨年の共進会に触れて置いた様に,体型資質の点は勿論でありますがそれよりも仔出しを支配する遺伝因子の問題であります。特に牡では系統的に不良因子を持つものは例え如何に体型資質は良くとも,之を育成することは差控えることが必要であります。改良に特に影響がどれ程大きいかということはここで申上げるまでもないので,特に産地としては産牛の改良方針を樹立して種牝の選択配置には格別慎重なる配慮としていただきたいと思います。そしてこの上改良方針として挙げている諸点を加味して本県産牛の声価を一段と確立することを念願して止まない次第であります。
以上3日間に亘り慎重審査の結果下のとおり選定凝償しました。
牡においては,1等2点,2等4点,3等9点
牝1部において,1等1点,2等2点,3等5点
牝2部において,1等2点,2等9点,3等26点
登録資格別区分
牡 | 牝1部 | 牝2部 | 計 | |
登録牛 | 10 | 10 | ||
高等登録資格牛 | 18 | 12 | 20 | 50 |
準高資 | 10 | 1 | 17 | 28 |
登録資格牛 | 6 | 8 | 40 | 54 |
授賞目録
和牛牡の部(1部,2部) 1等賞 農林省賞状(首位) 岡山県賞状並金牌 全国畜産販売農業協同組合連合会賞状並賞品 全国和牛登録協会賞状並賞章 中国和牛協会賞状並優勝旗1旒(首位) 日本畜産協会賞状 日本家畜商協賞状並賞品 岡山県畜産販売農業協同組合連合会賞状並賞章 第8回岡山県畜産共進会協賛会賞旗 |
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出品番号 | 種類 | 名 号 | 生年月日 | 産地 | 資格 | 血 統 | 出 品 人 | |
父 | 母 | |||||||
18 | 黒毛 和種 |
山栄 | 26・3・1 | 阿哲 神代 |
登 資 | 豊 常 本黒二,一七二号 |
第二ふじをか 予岡八,五九八号 |
阿哲郡石蟹郷村 藤井 利丈 |
11 | 同 | 清 | 26・4・28 | 阿哲 豊永 |
準高資 | 第二後藤 本黒二,五三一号 |
ふ み 黒七,七〇三号 |
阿哲郡神代村 牧 護 |
2等賞 岡山県賞状並銀牌 岡山県畜産販売農業協同組合連合会賞状並賞章 第8回岡山県畜産共進会協賛会賞旗 |
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出品番号 | 種類 | 名 号 | 生年月日 | 産地 | 資格 | 血 統 | 出 品 人 | |
父 | 母 | |||||||
28 | 黒毛 和種 |
沖津七 | 26・1・3 | 阿哲 野馳 |
高資 | 平 高 本黒一,三三一号 |
まんざい 本黒三,六一四号 |
阿哲郡野馳村 沖津 連一 |
10 | 同 | 清谷 | 26・4・29 | 阿哲 神代 |
準高資 | 豊 常 本黒二,一七二号 |
ふくみづ 本黒九五五号 |
阿哲郡野馳村 沖田 洋美 |
4 | 同 | 新屋 | 26・6・20 | 阿哲 熊谷 |
登資 | 第三佐々木 本党二,一四〇号 |
しまをか 予岡一三,一六一号 |
阿哲郡刑部町 柴田 勇 |
2 | 同 | 長尾 | 26・7・9 | 阿哲 美穀 |
高資 | 第六熊滝 本党七一九号 |
ふじかく 本党一,七四二号 |
阿哲郡上市町 阪井 留吉 |
和牛牝の部 1部(12ヶ月以上−18ヶ月未満) 1等賞 農林省賞状 岡山県賞状並金牌 全国畜産販売農業協同組合連合会賞状並賞品 全国和牛登録協会賞状並賞章 日本畜産協会賞状 日本家畜商協賞状並賞品 岡山県畜産販売農業協同組合連合会賞状並賞章 第8回岡山県畜産共進会協賛会賞旗 |
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出品番号 | 種類 | 名 号 | 生年月日 | 産地 | 資格 | 血 統 | 出 品 人 | |
父 | 母 | |||||||
11 | 黒毛 和種 |
やまさき一 | 26・6・4 | 阿哲 丹治部 |
高資 | 小 林 本黒二,一一七号 |
さゝき 本黒三,七三三号 |
吉備郡総社町 佐野民三郎 |
2等賞 岡山県賞状並銀牌 岡山県畜産販売農業協同組合連合会賞状並賞章 第8回岡山県畜産共進会協賛会賞旗 |
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出品番号 | 種類 | 名 号 | 生年月日 | 産地 | 資格 | 血 統 | 出 品 人 | |
父 | 母 | |||||||
15 | 黒毛 和種 |
第五みつよ | 26・5・18 | 苫田 奥津 |
高資 | 春 山 本黒二,〇八八号 |
第三みつよ 黒三,六三二号 |
苫田郡奥津村 難波 高義 |
9 | 同 | はなたに二 | 26・6・8 | 苫田 久田 |
高資 | 松 山 本黒七七五号 |
はなたに 予岡一〇,四七七号 |
御津郡横井村 桐山 甚吉 |
和牛牝の部 2部(18ヶ月以上−36ヶ月未満) 1等賞 農林省賞状(首位) 岡山県賞状並金牌 全国畜産販売農業協同組合連合会賞状並賞品(首位) 全国和牛登録協会賞状並賞章(首位) 中国和牛協会賞状並優勝旗1旒(首位) 日本畜産協会賞状 日本家畜商協会賞状並賞品 岡山県畜産販売農業協同組合連合会賞状並賞章 第8回岡山県畜産共進会協賛会賞旗 |
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出品番号 | 種類 | 名 号 | 生年月日 | 産地 | 資格 | 血 統 | 出 品 人 | |
父 | 母 | |||||||
32 | 黒毛 和種 |
よしの | 26・2・20 | 阿哲 丹治部 |
登 資 | 第三池田 本黒二,〇九八号 |
第一つねまつ 補阿二五六号 |
阿哲郡丹治部村 新木 義男 |
40 | 同 | 第二おがわ | 26・1・23 | 阿哲 新砥 |
準高資 | 丹 船 本黒二,一三八号 |
第一おがわ 予岡一六,二〇九号 |
吉備郡日近村 川崎 寿一 |
2等賞 岡山県賞状並銀牌 岡山県畜産販売農業協同組合連合会賞状並賞章 第8回岡山県畜産共進会協賛会賞旗 |
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出品番号 | 種類 | 名 号 | 生年月日 | 産地 | 資格 | 血 統 | 出 品 人 | |
父 | 母 | |||||||
51 | 黒毛 和種 |
第二みやもり | 25・12・5 | 真庭 美甘 |
準高資 | 広 民 本黒一,一六九号 |
みやもり 本黒二,八三〇号 |
真広郡美甘村 河井 健一 |
79 | 同 | さくらや | 25・8・6 | 阿哲 丹治部 |
登 資 | 第三池田 本黒二,〇九八号 |
みとよ 予岡二,四三四号 |
吉備郡真備町 大隅 貞一 |
70 | 同 | ふくへ | 25・9・2 | 阿哲 上刑部 |
登 資 | 大 茶 本黒一,〇四五号 |
ふくさかへ 予岡九,三三二号 |
阿哲郡刑部町 柴田 勲 |
65 | 同 | ふじい二 | 25・9・15 | 阿哲 豊永 |
登 資 | 前 田 本黒一,一六二号 |
むねみや 予岡九,六一三号 |
倉敷市水江 平松 利夫 |
100 | 同 | つるみ | 25・3・3 | 阿哲 新砥 |
登 資 | 第十七光本 本黒五〇八号 |
第二まるみ 予岡五,七七六号 |
阿哲郡新砥村 山本 義明 |
36 | 同 | 第一ふじ | 26・2・1 | 阿 哲 新 砥 |
高 資 | 野 本 本黒二,〇九二号 |
第拾にしま 本黒三,六九一号 |
阿哲郡新砥村 遠藤 貞一 |
71 | 同 | 第二かわかみ | 25・9・1 | 阿 哲 石蟹郷 |
準高資 | 第三中屋 本黒二,〇九五号 |
第一かわかみ 本黒二,〇六五号 |
倉敷市新田 安田 薫 |
75 | 同 | たんふく | 25・8・13 | 阿 哲 丹治部 |
高 資 | 奥 森 本黒一,〇三八号 |
第二とよまつ 本黒六,二二六号 |
倉敷市中島 大橋 和一 |
108 | 同 | まつだ | 25・1・5 | 川 上 平 川 |
高 資 | 中屋敷 本黒二,二九三号 |
第二かわい 予岡三,二九九号 |
川上郡大賀村 川上 久一 |