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昭和28年 回顧と抱負

中家畜

めん羊

 昭和27年から実施している有畜農家創設事業により農林省から本県への割当は県外導入600頭,県内導入200頭,計800頭で,11月末現在で割当頭数に対する導入頭数は次表の通りである。

県   別 割当頭数 購入頭数
山形県 300頭 260頭
福島県 200〃 180〃
群馬県 100〃 93〃
県内 200〃 137〃
800〃 670〃

更に之を郡別,頭数別に分けると次のとおりである。

頭 数 導   入   郡
 20頭 御津,赤磐,児島,川上,上房各郡,倉敷市
40 都窪,阿哲,苫田,久米各郡
50 吉備郡
60 小田,後月郡
80 苫田,勝田郡

 以上の如く割当を完全に消化出来なかった理由としては,融資を受ける手続が大変複雑であったことと,導入単位頭数が20頭と規定せられたるによるものであって,若し融資手続が簡単であり,又単位が10頭であるならば割当は消化が出来たことと思われる。
 又種雄めん羊は昭和27年度に於て農林省より6頭の貸付を受け,県有種雄めん羊9頭を福島より購買し,計15頭を邑久郡3頭,小田,後月各郡2頭宛,吉備,勝田,久米,和気,真庭,苫田各郡と倉敷市へ各1頭宛貸付し,又津山畜産農場へ1頭保換転管したが,これらの種雄めん羊の種付成績は将来相当の結果をもたらすものと大いに期待をかけている。
 ここ数年間は有畜農家創設事業により継続的にめん羊が毎年1,000頭前後を導入する計画であるから,羊毛の処理及び繁殖の関係上出来る丈け集団的に飼育を奨励したい。
 又,導入されるめん羊は大部分雌めん羊であるため,種雄めん羊の不足を来たすので,県有種雄めん羊を逐年増加貸付し共同種付により繁殖成績の向上をはかると共に,登録事業を実施して大いに改良増殖をはかりたい。

山羊

 県下の山羊飼育頭数は1万1,000頭を突破し,之れを飼育していない町村は殆ど皆無の現状である。
 主な飼育郡は勝田,久米,苫田,真庭の諸郡である。
 27年度に於て種雄山羊は農林省より5頭の貸付を受け,又県有種雄山羊9頭を長野県より購買し,計14頭を倭文宇垣,長浜,福渡,周匠,和気,落合,豊国,豊野,中川,西江原,大原等の各家畜保健衛生所へ繁養し,又津山畜産農場へ保換転管した。
 来年度に於ても本年同様家畜保健衛生所へ種雄山羊を繁養したい。県下26ヶ所の同衛生所へ種雄山羊を配置することは理想的であり,損耗が非常に少く,又人工授精の実施により繁殖成績が非常によい。本年度に繁養しなかった保健所に対しては,来年度において種雄山羊を繁養する計画である。
 又種雄山羊の貸付と同時に登録を実施して大いに改良増殖をはかり,将来先進地のみの依存でなく,岡山の山羊として県内の需要を充すと共に中国地方に於ける山羊の供給県としたい。

 県下の飼育頭数は約4,700頭であって,主な飼育地帯は,小田,浅口,吉備,都窪各郡の概ね平坦地で都市近郊である。
 豚は繁殖率が非常に旺盛である反面濃厚飼料の消費が激しいため,よく飼料計画を樹立して飼育しなければならない。
 又価格の変動も激しく,豚の価格の暴騰により無計画に飼育し,反面下落すれば種豚迄も買却してしまうというやり方はさけなければならない。
 1−2頭豚を飼育している農家に於ては種畜場又は加工場で委託加工し,随時必要時に還元を受けるようにしたい。又大量出荷の場合は,共同出荷の形態にもって行くことが望ましい。
 次に県外から優良種豚を導入し,種畜場において繁殖育成し,生産仔豚を配布すると共に養豚地帯の家畜保健衛生所に種雄豚を配置して,人工授精により改良増殖をはかりたい。
 28年10月広島市に於て中国連合共進会が開催されるので,前回の共進会に於て中家畜の成績は芳しくなかったが,今回は汚名を挽回し好成績を得る様に努力したい。