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巻頭言

県内飼料の増産確保について

惣津律士

 自給飼料の増産が畜産の振興と共に益々その重要性を加え,政府に於ても昨年あたりから真剣に措置する態度に出て来た事はよろこばしい事である。
 昨年牧野の改良に対して補助の道が開けて,長年荒廃にまかされていた牧野の改良が漸く緒につき,農林省では本年は更にその施策を一段と強化する決意のようであるが,一方地方庁側としても草地農業振興法の制定を要望し,畜産の進むべき新しい分野の開拓を要請している。
 優良なる粗飼料資源の確保については前記の牧野の外に,飼料作物の作付面積の増加,畦畔,堤塘,道路其他草地の草生改良,サイロの増設に依るエンシレージの増産があげられるが,相当の効果が急速に期待し得るのは何人と言っても飼料作物の増産であろう。
 本県では現在3,500町歩の作付面積があるが,これの計画的増反は畜産農民の熱意に依って解決し得るものである。更にサイロは現在約4,000基があり,率直に言って利用が必ずしも充分とは言い得ない現状である。政府は本年からこの設置に対して,融資をする事となって居るので,飼料作物の増産と相待って,これが増設及び利用の高度化について関係各位は真剣に努力して戴き度いものである。
 畦畔,堤塘等の草生改良については従来県に於て牧草種子の配付を行って来たが,引きつづきこれを強化する考えである。
 一方購入飼料については飼料の統制解除以来,その価格及び量に於て安定を欠ぎ,酪農及び養鶏等では相当憂慮すべき事態であったが,今般飼料需給安定法が制定され,輸入飼料の確保についての手が打たれた事は何よりの朗報である。更に県に於ては製粉工場の誘致に積極的に乗り出して居り,前記の資質優良なる粗飼料の増産と共に県内飼料の確保に明るい見透しが見えて居るが,我々畜産人としては畜産振興の基幹である飼料について,もっともっと真剣に取りくんで,特に自給飼料の増産に依る畜産経営の安定化に一段と進みたいものである。