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〔共進会〕

第3回
岡山県肉牛共進会
岡山市で開催

 年末もおし迫った去る12月20,21日の両日に亘り岡山市家畜市場に於て,第3回岡山県肉牛共進会が開催され,非常に盛会裡に終始したことは,関係者は勿論,一般大衆のかん心の深さを示すものとして注目された。
 今回の出品は,去勢牛3頭,牝牛44頭計47頭であって,その成績については,詳細は別記審査報告のとおりであるが,総体的には,昨年のものに較べよく粒も揃い,一段と向上のあとが認められたが,尚肥育不充分と思われるものが相当数見受けられたことは,利に敏い本県斯業の底流をうかがう点で,興味ある問題であるが,今一歩肥育して利用することが,肥育事業を一層有利に導くものと思われる。この点は審査報告でも指摘されていることで,当業者各位の留意を望む次第である。
 今回の審査に当っては,兼ねてより検討されていた,肉牛審査標準が,12月10日京都市において漸く決定を見た直後のこととて,肥育事業並びに肉牛審査の上から,本県の指針を把握する意味において,特に斯界の権威である,中国農業試験場畜産部長石原博士を特別審査員として来県を願い,下記陣容のもとに,別表肉牛審査標準に基づいて行った。
 審査終了後は,殊に石原先生から肥育事業並びに肉牛の現況と審査についての講評を願い,当業者は勿論一般参観者に多大の感銘を与えたことは,斯業推進の上から非常に喜ばしいことである。
 共進会終了後に行われた,せり売についても,全頭売買成立という好成績を収めた。
 尚この内数頭のものは,幸い岡山屠場で屠殺されたので,その成績は,出品牛の測定成績と併せ参考までに別表,第1・2表に収録した。

特別審査員
 中国農業試験場畜産部長 石原 盛衛
審 査 長   畜産課長 惣津 律士
   審査員 畜産課技師 蔵知  毅
       〃     加本 一久
       〃     渡辺 明喜
     農業改良課技師 佐々本 寿
             小野 実男
    全国和牛登録協会岡山県支部 技師 佐野 正民

肉牛審査標準

体躯広く,深く,体積豊かで,長方形を呈し,均称宜しく,肉付なめらかに厚く適当に緊り,均等に附着し,皮膚柔軟被毛繊細,骨細く,角蹄の質良好,肥育完成時における年令は牝では満3−6才,牡又は(あん)では満2−3才にして次の如き体重及び大きさをもつこと

  牡又は(あん)(満2才)
体 重 525 − 635s(140 − 170貫) 500 − 600s
体 高 125 − 130p(4.13−4.30尺) 127 − 132p
胸 囲 200 − 225p(6.60−7.42尺) 190 − 205p
管 囲 15.5−17.0p(0.51−0.56尺) 18.0−20.0p
均称体積 体躯広く,深く,胴伸びよく体上体下線平直で,長方形を呈し,頭頸体躯,四肢の釣合のよいもの 15
肥育程度 満肉にして,腱下部及び乳房部に脂肪の充分に廻っているもの,ただし過肥におちいっていないもの 15
肉及び脂肪の附着状態 肉付及び脂肪の附着は均等で,厚くなめらかにして適当に緊りとくに背腰と後躯の肉付のよいもの 15
皮膚被毛 皮膚は柔軟で弾力にとみ,厚さ適度なもの被毛は細く,柔らかく,密生したもの 10
角蹄 角はその質緻密で光沢があり,細く形のよいもの蹄は良質で形のよいもの 7
肢と尾杖との骨の細いもの 8
頭頸部 頭部軽く,顔の長さと幅の中等なもの,額は緊りよく耳は中等大で,眼の温和なもの頬は豊かで,頸は強く,口先の大きいもの,頸は厚く短く肩への移行宜しく胸垂の適度なもの 4
前躯 肩は緊密に附着し,き甲厚く,肉付なめらかで肩後のよく充実したもの,胸は広く,深く,胸前と肘後とはよく充実し,胸底平らなもの 5
中躯 背腰は広く,長く平直で,肉付厚くなめらかなもの肋はよく張り深く,肉付はなめらかで厚いもの腰はゆるくなく下腱部のよく充実しているもの 13
後躯 十字部は平らで,腰角は突出せず,腰角間の広いもの尻は広く,長く平らで,尾枕のないもの腿は上腿下腿とも厚く,広くよく充実したもの 8
満点 100

一等 一席 てる号

一等 二席 あき号

審査報告

今回の共進会の出品は全部本県産の黒毛和種で,牝44頭,去勢3頭,計47頭であります。これを郡別にしますと,都窪21,岡山11,赤磐5,児島4,御津3,邑久,上道,浅口各1頭となっています。
審査はかねて肉牛審査標準作成委員会に於て研究中の処,去る12月10日委員会決定をみた肉牛審査標準に基づいて行いました。
出品を概観しますと昨年の共進会の出品に比して非常に肥育程度が進んで居りましてこの点進歩の跡歴然たるものがありますことは,出品者各位の平素の御研鑽の賜と考え深く敬意を表する次第であります。体型資質の点では,深い中躯,巾のある後躯,質のよい角等は全部に共通の美点だと思います。併しその半面今後改善を要する点も多くあるのであります。
先ず第一に資質について申しますと成程,角,蹄の質は良いのでありますが,被毛の粗剛なもの,皮膚の厚いもの,骨緊り骨味の宜しくないもの等が多いのであります。
第二に体型について申しますと,成程中躯の深みと後躯の巾とには富んでますが最良の肉を蔵していて肉牛として最も大切な背と腰との巾が不充分であり背線が悪くて腰の落ちた牛が相当見受けられました。又後躯の形状のよろしくないものもかなりあります。肋の肉付きももっとあって欲しいと思います。
第三に肥育程度について申します成程昨年の共進会の出品に較べて格段の進歩ではありますが出品の約3分の1が肥育不充分であります。これを体重について検討しますと,出品牝牛の総平均は144貫余でありますがその内約半数に近い22頭は肉牛審査標準に示されている最低体重たる140貫に満たないものであります。
第四に牛の大きさについて申しますと,牝の体高の総平均は126.1pでして大体これくらいでよいのでありますが123pにも満たないものが7頭いすまし130pを遥かに越す大きい牛も見受けられたのであります。
第五に管理の面に於きましては,中には手入れの行届いたものもありますが,大部分の牛が,手入不充分でありまして,これは目には見えないでしょうが,肥育能力に相当影響していると考えられます。又,肥育牛では蹄の形は余りやかましく言いませんが,急激に増加する体重を支えるためにも蹄は大切なのですから肥育に入る前に削蹄をしておくことも肝要かと思います。
即ち,今後改善を要する点を要約しますと,被毛皮膚骨緊のよい素牛を選ぶこと背腰の巾に富み後躯の形のよい牛を選定すること,体高の過大や過小の牛を避けること,少くとも,135貫か140貫迄は肥育すること,肥育期に入る前の削蹄と毎日の手入れとを励行すること等であります。
尚,今回の出品中,去勢牛が3頭出陳されました。生産される牛の半数を占める牡牛を有効に肉用として利用するには何といっても去勢牛の肥育を盛んにすることが,国家的見地からみて非常に重要な課題だと考えます。去勢牛の肥育は全国各地とも甚だ未熟なのですから,今後各位に於かれましてもこの面についての御研究をもお願いする次第であります。
 今般肉牛審査標準が作製され,今後の我国の肉牛の向うべき方向も示されたのですから,この標準をよく吟味咀嚼されまして,よい牛を,経済的に,生産し以て本邦の食糧問題の解決に寄与されんことを切に希望する次第であります。
以上審査の結果,一等賞2点,二等賞6点三等賞17点を擬賞しました。

告辞

 本日ここに第3回岡山県肉牛共進会審査を終了し褒賞授与式を挙行されるに当り所懐の一端を述べる機会を得ましたことは私の喜びとする所であります。
 御承知のとおり講和後我が国農業は所謂世界農業の一環としてあらゆる面で自給自足体制の確立を強く要望されているのでありまして特に食糧の自給と国民栄養保健の向上の上から畜産物の利用は益々その重要性を加えて参りました。就中和牛は古来農業経営に不可分の関係にあるのみならず食肉資源として最も重要な地位を占めるものでありますが本県は幸いに全国的に和牛の産地としての名声をかち得ていると共にその利用部門に於ても県南部地帯を中心に肥育事業は逐年隆盛化していることは御承知のとおりであります。
 こうした傾向は国民の食生活が向上されるにつれ益々発展するものでありますが,一面消費面から言えば良いものが安価に提供されることも要望されるところと存じます。
 このような経済的な問題は産業発展の基本として技術的な課題と相関連して研鑽されなければならないことであります。
 こうした意味に於きまして本共進会は極めて適切にして有意義と考えるものであり,この機会に各位におかれましては今回の審査成績に鑑み今後肥育牛造成のあり方について篤と研究工夫され以って栄養資源の確保と本県肉牛の消費宣伝の上に一層寄与されるよう切望するものであります。終りに本共進会に対する各方面の御協讃に深甚なる謝意を表する次第であります。

昭和27年12月21日
岡山県知事 三木行治

授賞目録

一等賞

 農林省賞状(首位)
 岡山県賞状,賞牌,賞品
 全国畜産販売農業協同組合連合会賞状並賞品(首位)
 日本畜産会賞状
 畜産技術連盟賞状並賞盃
 全国飼料協議会賞状
 全国家畜商協会賞状
 岡山県畜産販売農業協同組合連合会賞状並賞品(首位)
 岡山県常設家畜市場畜親会賞旗

出品番号 種 類 名  号 年 令 出     品     者
33 黒毛和種 てる 4才 倉敷市三 田  山地 輝男
41 あき 6才 倉敷市白楽町  渡辺 章夫

二等賞
 岡山県賞状,賞牌,賞品
 岡山常設家畜市場畜親会賞旗

出品番号 種 類 名  号 年 令 出     品     者
40 黒毛和種 さとう 6才 都窪郡吉備町  佐藤 寿太
21 第六あさひ 4才 児島郡興除村  原田 常吉
7 なを 5才 岡山市大 野  中野  直
25 しか 6才 倉敷市三 田  守屋 鹿蔵
43 かめやま 5才  〃 羽 島  龜山幸太郎
4 くろだ 6才 岡山市青 江  黒住 保太

(第1表 い)

番号 出 品 郡 年令 測    定    成    績 等 級 価  格 備  考
体  高 体  重 胸  囲 管  囲 ( )内は席次
1 岡山 6 127.6 161 204 16.5 3(4) 170,000
2 6 129 141.3 192 15.6 98,000
3 6 125 144.6 200 16.5 110,000
4 6 130 140 213 15.7 2(6) 146,000
5 6 126 132.2 195.5 17 3(8) 121,000
6 6 124 125.4 187 15.5 88,000
7 5 125.4 150 210 16.7 2(3) 150,000
8 4 124 132 195 16.4 3(9) 114,000
9 5 129 144 199 18.5 3(12) 95,000 スキ(あん)
10 6 141 170 205 20.5 106,000
11 御津 6 126 147 192 16.5 116,000
12 5 130 134 195 16.4 3(13) 179,000
13 6 117 102 175 14.7
14 赤磐 4 131.4 125 189 18 89,000 (あん)
15 4 123.8 118.4 188 16.4 85,000
16 3 122.2 123.5 190 16.5 93,000
17 4 114.6 120 190 15.6 89,000
18 3 125.4 134 195 16.4 3(10) 107,000
19 邑久 6 125.8 138 198 16.3 110,000
20 上道 5 119.8 128 191 15.3 95,000
21 児島 4 130.4 154.8 210 16.5 2(2) 147,000
22 5 127.6 140.8 211 16 3等賞(1) 131,000
23 6 129.9 136.3 198 16.5 102,000
24 5 125.2 137.4 192 16.8 93,000
25 倉敷 6 132.6 173.2 208 17.1 2(4) 173,000
26 6 123.6 133.8 199 16.3 3(6) 123,000
27 6 125 152.4 200 16.7 3(16) 130,000
28 5 125 128.4 190 16.4 102,000
29 4 129.4 148 206 16.7 3(14) 131,000
30 5 126.4 125 194 15.8 93,000
31 6 124.8 133.6 198 16 3(2) 120,000

(第1表 ろ)

番号 出 品 郡 年令 測    定    成    績 等 級
( )内は席次
価  格 備  考
体  高 体  重 胸  囲 管  囲
32 倉敷 6 128.6 154.8 200 16.8 3(11) 130,000
33 4 128.6 164 209 17.3 1(1) 158,000
34 6 122.8 143.2 194 16.7 105,000
35 6 119.8 137 195 15.4 106,000
36 6 122.6 138 194 17.1 3(15) 108,000
37 6 128.6 141.4 197 17.4 99,000
38 5 130.8 158 209 17.2 3(5) 147,000
39 都窪 5 127.1 157 197 17.4 3(3) 145,000
40 6 128 140.4 203 16.5 2(1) 132,000
41 倉敷 6 126.2 161 215 17.2 1(2) 157,000
42 6 130.1 155.6 205 17.1 3(7) 131,000
43 5 126.6 144 200 16.5 2(5) 130,000
44 6 129.9 147 198 17 130,000
45 5 125.4 133.4 194 16.4 3(17) 114,000
46 浅口 6 136.8 189.4 221 19.5 155,000
47 岡山 5 125.8 130.6 196 17 105,000

(第2表)

出品
番号
入賞
等級
せり価格 生体重 枝肉量 歩留% 肉    牛 枝単価 備    考
さしの状 態 脂肪の質
41 Tの2 157,600 161 103 64 152 生体量は12月20日,測定枝肉量は
12月23日より25日までに屠殺測定した。
4 Uの6 146,000 140 90 65 黄   色 162
43 Uの5 130,000 144 87 60.4 150
21 Uの2 147,000 154 90 58.4 163
40 Uの1 132,000 140 81 59.3 159
1 Vの4 170,000 161 98 60.9 中上 厚クテ黄色 174
5 Vの8 121,000 132 78 59 中上 中黄色 155
33 Tの1 158,000 164 98 60 極上 160
22 Vの1 131,000 140 83 59.6 上中黄色 157