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飼料需給安定法成立

 第13国会以来続けて来た飼料需給調整の立法化促進運動は総選挙後の第15国会では,小笠原,広川両大臣の意向もあって一時は危殆に瀕するに至ったが,全国畜産農民の熱意は遂に全国会議員を動かし去る12月23日衆議院農林委員会畜産小委員会において反対議員の修正案を入れて野党との調整成り,翌24日修正案は農林委員会に付議可決せられ,同日の本会議を通過,直ちに参議院に回付せられた。同案は25日既に年内一切の議事を終っていた参議院農林委員会に急遽付託され,同日午前中から午後2時まで休憩もなく熱心な討議が進められた結果全員賛成可決,翌26日昨年最後の参議院本会議の劈頭上程可決せられ,ここに目出度く成立を見たのである。

飼料需給安定法

(目的)
第1条 この法律は,政府が輸入飼料の買入,保管及び売渡を行うことにより,飼料の需給及び価格の安定を図り,もって畜産の振興に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この法律において「輸入飼料」とは,輸入に係る麦類,ふすま,とうもろこしその他農林大臣が指定するものであって飼料の用に供するものと農林大臣が認めたものをいう。
(飼料需給計画)
第3条 農林大臣は,毎年,輸入飼料の買入,保管及び売渡に関する計画(以下「飼料需給計画」という)を定める
(飼料の買入)
第4条 政府は,飼料需給計画に基き,食糧管理法(昭和17年法律第40号)第11条第2項の規定により大麦及び小麦を買い入れるの外輸入飼料(大麦及び小麦を除く,以下本条において同じ)を買い入れることができる
2 前項の規定による輸入飼料の買入は,入札の方法による一般競争契約によらなければならない。但し,政令で定める特別の事由があるときは指名競争契約又は随意契約によることができる。
(飼料の売渡)
第5条 政府は,飼料需給計画に基き,その買い入れた輸入飼料を売り渡すものとする。
2 前項の規定による輸入飼料の売渡は,入札の方法による一般競争契約によらなければならない。但し,政令で定める特別の事由があるときは,指名競争契約又は随意契約によることができる。
3 第1項の規定により輸入飼料の売渡をする場合の予定価格は当該飼料の原価にかかわらず,国内の飼料の市価その他の経済事情を参酌し,畜産業の経営を安定せしめることを旨として定める。
4 第1項の規定による輸入飼料たる大麦及小麦の売渡しについては,食糧管理法第4条の3第1項の規定を適用しない。
(売渡の附帯条件)
第6条 政府は前条の規定により輸入飼料を売り渡す場合には,その相手方に対し,売渡に係る輸入飼料(これを原料又は材料として製造した飼料を含む)譲渡又は使用に関し,地域又は時期の指定,価格の制限その他必要な条件を附することができる。
2 政府は前項の規定により条件を附されて輸入飼料の売渡を受けた者が,その条件に違反したときは,当該違反者に係る輸入飼料の売渡価格に農林大臣が定める割合を乗じて算出される金額に相当する額に違約金を徴収することができる。
3 農林大臣は,第1項の規定により条件を附されて輸入飼料の売渡を受けた者が,その条件に違反したときは,その後2年間第4条第2項又は第5条第2項の規定による入札の方法による競争に加わらしめないことができる。
(飼料の需給がひっ迫した場合の特例)
第7条 政府は,国内の飼料の需給がひっ迫し,その価格が著しく騰貴した場合において,これを安定させるため特に必要があると認めるときは,飼料需給安定審議会にはかり,その所有に係る小麦を売り渡す場合において,その相手方に対し,その小麦から生産されるふすまの譲渡又は使用に関し地域又は時期の指定,価格の制限その他必要な条件を附することができる。
2 前条第2項及び第3項の規定は,前項の規定により条件を附されて小麦の売渡を受けた者につき準用する。
(売渡の価格等の公表)
第8条 政府は,第5条第1項の規定により輸入飼料を売り渡したとき又は前条第1項の規定により条件を附して小麦を売り渡したときは,省令の定めるところにより,遅滞なく,売り渡した輸入飼料の価格,品目,数量,条件その他必要な事項又は前条第1項の規定により附した条件を,買受人別に,公表しなければならない。
(報告の徴取等)
第9条 農林大臣は,この法律の目的を達成するため特に必要があると認めるときは,省令の定めるところにより,輸入飼料の輸入業者,倉庫業者,販売業者若しくは加工業者又は第7条第1項の規定により条件を附されて小麦の売渡を受けた者から,輸入飼料又は条件を附されて売渡を受けた小麦から生産されたふすまの在庫,販売の数量,価格その他必要な事項に関し報告を徴し,又は当該職員に事務所事業場,倉庫その他必要な場所に立ち入って調査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入調査を行う場合においては,省令の定めるところにより,その身分を示す証票を携帯し,且つ関係人の請求があるときは,何時でもこれを呈示しなければならない。
3 第1項の規定による立入調査の権限は,犯罪調査のために認められたものと解釈してはならない。
(飼料需給安定審議会)
第10条 この法律の適正運用を図るため,農林省に飼料需給安定審議会(以下「審議会という」)を置く。
2 審議会は,農林大臣の諮問に応じ,飼料の需給及び価格の安定に関する重要事項を審議する。
3 審議会は,飼料の需給及び価格の安定のために必要な事項に関し,その議決により,農林大臣に随時意見を述べることができる。
4 審議会は,農林大臣及び委員30人以内をもって組織する。
5 委員は,下に揚げる者とする。
 1 衆議院員のうちから衆議院が指名した者  5人
 2 参議院議員のうちから参議院が指名した者  3人
 3 関係行政機関の職員のうちから農林大臣が任命した者  5人以内
 4 飼料に関し学識経験のある者,農業者の団体を代表する者,飼料の消費者を代表する者,その他飼料の関係者のうちから農林大臣が任命した者  17人以内
6 審議会に会長を置き,農林大臣をもって充てる。
7 会長は,会務を総理し,審議会を代表する。
8 会長に事故があるときは,会長があらかじめ指定した者がその職務を代行する。
9 委員は,非常勤とする。
10 前各項に規定するものを除く外,審議会の組織及び運営に関し必要な事項は,政令で定める。
(委任事項)
第11条 この法律において政令に委任するものの外,この法律実施のための手続その他その執行について必要な事項は,農林省令で定める。
附則
(施行期日)
1 この法律の施行期日は,公布の日から起算して120日をこえない期間内において,政令で定める。
(食糧管理特別会計法の改正)
2 食糧管理特別会計法(大正10年法律第37号)の一部を次のように改正する。
 附則に次の1項を加える。
 飼料需給安定法(昭和27年法律第●号)の規定による飼料の買入,売渡,保管又は検査に関する一切の歳入歳出は当分の間本会計の所属とする。この場合において第2条,第3条,第6条第1項及び第6条の5中「食糧」とあるのは「食糧及飼料」と読み替えるものとする。
(農林省設置法の改正)
3 農林省設置法(昭和24年法律第153号)の一部を次のように改正する。
 第4条第38号の次に次の1号を加える。
 38の2 飼料需給安定法(昭和●年法律第●号)に基き飼料需給計画を定めること。第4条第47号の次に次の1号を加える。
 47の2 輸入飼料の買入,保管及び売渡を行うこと。
 第34条第1項の表中
 「中央作況決定審議会
 農作物の作況決定に関する重要事項を調査審議すること」
 飼料需給安定審議会
 飼料需給安定による飼料の需給及び価格の安定に関する重要事項を審議することに改める。