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2才乳牛の種付適期

明乳笠岡工場生 荒 靴 生

 後何ヶ月で種付をするかということは酪農経営の得失に大きな関係をもつことは皆様お気付きの事と思います。併しこれにはいろいろと異見があってなかなかむつかしい問題であります。アメリカではどんな風にやっているか諸州の有力酪農家の意見をきいて参考にいたしましょう。(ホーズ,デーリーマン誌より)

第1問 生後何ヶ月で種付をしているか,最少限度は何ヶ月か

S氏.(ニューヨーク州)平均15,16ヶ月。15ヶ月以下では1頭も種付したことはない。
A氏.(ミネソタ州)平均17,18ヶ月。最少限度は14,15ヶ月
F氏.(ワシントン州)18ヶ月迄に種付をするが16ヶ月以下ではやらない。
W氏.(ウィスコンシン州)16,17ヶ月。最少16ヶ月
C氏.(南カロリナ州)15から18ヶ月の間
N氏.(イリノイ州)17,18ヶ月,最少15ヶ月
M氏.(ミゾリー州)同上
B氏.(ニューヨーク州)大部分は20ヶ月から22ヶ月の間,若し特別に身体が大きければ14ヶ月でも種付する。
R氏.(ミシガン州)平均21ヶ月,最低15ヶ月
H氏.(アイオア州)16,17ヶ月,最低15ヶ月

第2問 年令よりも体躯の大きさの方に重きをおいて種付するか。種付期の2才牛の体重は何貫位であるべきか。

A氏.然り。特に発育のよい2才は生後15ヶ月で種付してよい。ゼルシー種ならば種付期で6,70貫はある筈。
F氏.我々はよく飼うから18ヶ月になって種付できないような小さい2才はこれまで1頭もなかった。
W氏.否。我々は勿論2才の発育には十分気をつけるが種付の年令になっても当然なるべき大きさに達しないものは結局淘汰することにしている。
R氏.然り。我々は牛のからだの大きさに関心があるので時の経つのは問題にしない。目方は計ったことはない。
H氏.両方共考慮に入れる。
S氏.然り,ホルスタイン種なら少くとも90貫はあるべきだ。

第3問 種付前の2才を計量するか

 全員 否。

第4問 2才の種付には種牡牛の年令と大きさを考慮するか

W氏.否,我々は人工授精のみであるから種牡牛の年令や大きさを全然気にせずに種付をする。
C氏.然り。
K氏.否。
B氏.我々はいつも2才には若い種牡牛をかける。その方が受胎率がよいから。

第5問 四季の内どの季節が2才の種付によいと思うか。

W氏.2才が種付の適期になれば季節の如何を問わず種付する。
C氏.我々はミルクプラントで沢山乳の欲しい秋に分娩するよう12月か1月に種付したい。こうすれば又,よりよい記録が出せる。
M氏.11月か12月に種付したい。その理由は秋生みの方が5石から7石程多く搾れるし,乳価もその時期が高いから。経産牛の分娩は1年を通じて定った時期がないから2才はつとめて秋生みさせるようにする。といっても24ヶ月未満でも又30ヶ月以上でも分娩はさせない。
R氏.我々はどの季節にも種付する。そして牛群が各月平均した牛乳を生産するようつとめている。
H氏.別に季節を選ばない。
S氏.私は秋産みをするよう種付したい。冬期の牛乳生産量をなるべく多くするため。
F氏.2才が適令になればいつでも種付する。但し7月と8月に分娩するのは避ける。この2ヶ月は牧草の最も貧弱な時であり,蠅の最も多い時期だから。

第6問 種付期の2才の給餌法如何?

K氏.放牧して生草を食わせると同時に良質の乾草を与えたい。
M.種付期の2才には粗飼料のみを給与する。我々は2才にはその胴の深みを増し食い込み能力を大ならしめるために濃厚飼料を与えない。
B.2才が充分発育するよう多量の粗飼料を与える。
R.冬期は多量の玉蜀黍サイレージと乾草を,夏期は多量の生草を与え,之に加えて年中,500匁の玉蜀黍と燕麦を食わせる。
F.牧草の豊富な春の3ヶ月以外は1日2回濃厚飼料を与えいつでも自由に乾草と水とが食えるようにしておく。2才用の濃厚飼料の配合は次の如くである。即ち麩30貫,つぶし燕麦30貫,粉砕玉蜀黍5貫,ビートパルプ5貫,2%の石灰,2%の食塩,この配合を1日500匁づつ与える。

第7問 発情を如何にして発見するか

B.乗りかかる仕草をする外,粘液の排出と陰門の膨脹が見られる。
W.じっとしていない,叫ぶ,のりかかる等の表示があるが,若しない場合も日に1回気をつけて陰部を見ておれば陰門の脹れや粘液の排出で容易に発見できる。

第8問 発情期間のいつ種付するか

B.特に注意は払わない。
H.発情の最初の徴候があってから10時間後
S.発情の末期
F.発情のまさに終らんとする時
K.発情末期の数時間
M.我々は時期にとんちゃくせず発情がわかったら種付する。

第9問 妊娠かんていをやってもらうか

R.大抵
S.2ヶ月後やってもらう。
A.我々は自分でやる。
F.種付後少くとも90日迄には必ずやってもらう。
W.やってもらう。
C.自分でやる。
K.45日から60日の間に必ず。

第10問 受胎しにくい場合はどうするか

H.獣医に診てもらってそのすすめる処置をとる。
A.発情が不規則な場合はダイエチール,スチルベステロールの注射を2本うつ。若し発情が規則的である場合はホルモン注射を打つ。
F.極めて衛生的な方法で人工授精を自分でやるから受胎の悪いような事は殆んどない。最初から3回の授精で受胎しないような2才であれば,獣医に診てもらう。
W.若し2才に4,5回授精しても規則的な発情がある場合は新らしい稀釈しない精液を入れる。

第11問 受胎のおそい2才をいつまで辛抱して飼うか

S.満2年迄。或いは不姙牛とわかる迄,平均して受胎迄に2回種付せねばならぬようである。
A.若し良い血統のものなら30−33ヶ月迄。私とこの受胎率は1949年から50年の間は種付1.4回に受胎1であったが次の1年間には種付2回に受胎1という割合になった。
F.よい牛なら30ヶ月迄おく。うちでは2才は90%迄1回の人工授精で受胎する。
K.第1回目の種付後6,8ヶ月迄。うちの種付回数は受胎に対し1.6−1.8である。
M.私とこでは種付の悪いものはなるべくおかないようにしている。若し種付の悪い系統のものなら淘汰する。普通私とこの2才は1回の種付で受胎するが,たまには2回若しくは3回することもある。
B.牛の価値如何によってちがう。2才の場合私とこの受胎率は授精1.5回以下である。

第12問 2才に与える配合飼料はどんなものか。諸君は濃厚飼料過給と受胎不良とは関係があると思うか。

A.私とこでは牧草の多い時は濃厚飼料は常用しない。若し食わすとすれば蛋白質14%の配合で玉蜀黍,燕麦に大豆粕と亜麻仁粕を加えたもの。濃厚飼料をあまり多く与えることはたしかに受胎率を悪くするであろうが私とこの2才はめったに脂肪過多にはならない。
W.濃厚飼料は与えないが良い牧草期でも乾草は与えている。私とこでは種付期の2才には今まで濃厚飼料を与えたことはない。
K.若し濃厚飼料を与える場合はその配合は挽いた燕麦を主としこれに少量の麩と蛋白質飼料を加えたもの。2才に濃厚飼料を多くやると受胎がはっきりと悪くなる。
M.私とこでは生後12ヶ月から初産分娩の直前までは全然濃厚飼料を与えない。分娩6週間前から搾乳牛なみの飼料を与える。濃厚飼料多給は受胎をおくらせると思う。
註 広い放牧場があり,良質の飼料がうんと作れ,1戸で少くとも50頭以上も飼養しているアメリカの酪農家達の意見ですから,どうも我々にはピッタリきませんが,良い乳牛というものはどうして作られるかということ,又これがよりよき酪農経営にどう結びつけられるかということは汲み取っていただけるように思います。