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編集室から

◎畜産農民待望の飼料需給調整法が昨年参議院本会議の最終日12月28日に飼料需給安定法となって通過した。第13国会以来全国畜産農民の熱意は遂に国会議員を動かし,野党との調整もなり,衆,参両院を通過したことは何んとしても目出度いことである。至誠天に通ずと言う処か。何にしても畜産政策上の一つのエポックを作ったものと言える。

◎岡山県では酪農振興計略が大きく取り上げられた。終戦後酪農問題は相当論議されたし,一部の有識者間では将来の農業経営は酪農以外では成り立たないとまでの持上げようであった。その声に釣られて立地条件も何も考えないで猫も杓子も酪農に手を出したが,酪農即牛乳屋式飼い方は決して何処にでも酪農を発達させることにはならないで相当の落伍者が出来てしまった。この様な脱線した酪農を軌道に乗せ,正常運転を行い,酪農家の方向を示し後押をするのがこんどの酪農振興計画である。県も惜しみなく予算を出して酪農を伸ばしてほしいものである。

◎国も県も財源難で新規事業は枕を並べてチョン切られ,陽の眼を見たものは難産の末やっと生れたものばかりである。然し国の方では牧野関係は大きく通る様である。牧野改良と草生改良は飼料資源開発の第一歩であるし,総てでもある。牧野関係が伸びたことは飼料需給安定法の通過と共に慶ばしいことと言わなければならない。

◎五風十雨,三寒三温と自然の妙味を感心していたらもう2月号の発行になってしまった。正月号を出してホット一息して正月気分を味ったのもつい昨日のこと,松の内がまだ終らないうちにもう次の発行に追われている。これが編集同人の苦労であるが本誌もどうやら第4年目に入り畜産人にも親しまれて来た。経営は困難であってもより良いものを発行したい。御後援をお願いする。