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動物愛護週間
3月18日−24日

 終戦前は毎年4月7日を愛馬の日として特に軍馬を讃えいつくしんできたのであったが,終戦以来この日がなくなり,これにかわるべき何か動物を愛護する記念事業が要望され,自然を讃え,生物をいつくしむ日として春分の日を選び昭和24年に第1回の「動物愛護の日」の催しを行い,そして3月21日には第5回目の記念すべき日が廻って来たのである。この21日を中心として前後1週間の18日から24日迄を動物愛護週間として,動物愛護に関する行事が行われ,動物愛護の日は失われたものを呼び起す動機となる貴重な日となったのである。
 最近都会でも農村でも生活改善が呼ばれ,食生活に衣生活に畜産製品は目覚ましい発展をした。文化の度が向上すれば向上する程畜産製品は人間生活に深く入って来るものであり,牛乳の消費量がその国の文化の程度を示すと迄言われている。
 しかし畜産自体が農業経営の中でもいたってジミな縁の下の力持ち的な存在で岡山県の産業全般から見れば大きな収入を挙げているにもかかわらず,季節的に派手な産業に圧えられて,黙々とした牛の歩みを続けていたのである。しかし,昨年から行われた有畜農家創設事業によって,一般人にも家畜に対する認識を深めた。又第13国会以来続けて来た飼料需給調整の立法化促進運動は1時は危殆に瀕するに至ったが,全国畜産農民の熱意により昨年末にいたり全国会議員を動かし,飼料需給安定法が成立し,ますます畜産の認識を深めたわけである。このときにあたり,畜産が生活と結びつき吾々が家畜から受ける恩恵の多いことを思い浮かべて,動物愛護の日は何か家畜に感謝する気持を表わし,物言わぬ家畜達の人類への奉仕を感謝の気持ちで汲みとりこれに報いたいものである。

  物言わぬ家畜へ愛の虫下し