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巻頭言

酪農関係予算について

惣津律士

 昭和28年度畜産に関する予算は3月県会で議決された。この予算の内で特に酪農の振興を図ることが,明年度県政の大きい施策として取り上げられた事は本県畜産振興上誠によろこばしい事である。
 酪農については年と共に各方面に於て色々と検討が加えられ,漸次根強い基礎を農村に植えつけつつあるが,本県に於ても之が堅実なる普及発達に依って名実共に明るい農村を現出しようとの知事の方針に基き,今般酪農振興計画なるものが樹立せられたのであって先ず本県の酪農発展の経過を回顧して現在の状況を詳細に調査し,従来からの本県酪農の弱点を探究し,これ等を基礎として,立地条件が真に酪農の将来性を有し而も酪農に依って農村振興が期待し得られる地帯を選定して,酪農振興上必要とする各般の施策を重点的に施行する事とし,頭数については過去の飼養実績と各製酪工場の能力,市乳の消費能力等を考慮し,更に有畜農家創設事業及び牧野改良計画等ともにらみ合わせて10ヶ年後に6,000頭に達せしむると共に産乳量を年8万8,000石に増産するを目標とした。
 これが為めの施策としては改良増殖対策,技術指導対策,経営の合理化対策,牛乳及生産物の利用増進対策,乳牛の保健衛生対策,飼料対策等があげられるが,28年度に於ては,その内特に重要であり而も従来からとかく等閑視されていた部落活動の中心指導者の養成を目途とする酪農講習所を津山畜産農場に設置する事が決定された事は注目すべき事項である。これが設置について格段の御協力を賜わった津山市当局,県下酪農関係者及び中央諸団体等に対してはただただ感謝,感激の外はない。
 尚主なる事業としては集乳所の増設,自給飼料増産のための優良牧草種子の配付其他があげられ,更に有畜農家創設事業に伴う乳牛導入頭数の枠の増加も考慮されている。
 以上予算面に於ては極度に逼迫した県財政の折柄であるので,充分とは言えないが,併し酪農振興が大きく取り上げられた事は特筆すべき事であって,我々関係者としては団結の強化を一段と図り,各々の力を最大限に発揮して斯業の堅実なる発展への努力を傾倒しなければならない事を痛感するものである。何はともあれ,我々はお互に明朗な気持で,明るい農村の建設に一歩々々進むべきであって,各位の御健闘を祈って止まない。