ホーム岡山畜産便り > 復刻版 岡山畜産便り昭和28年4月号 > 岡山県鶏の飼育羽数最高位を示す

岡山県鶏の飼育羽数最高位を示す
年間産卵量263万貫

 岡山県下の養鶏熱は飼料の出廻り,特需などの需要増に加え農家の現金収入への魅力も手伝って26年ごろから急速に盛んとなり,農林省岡山統計調査事務所が去る1月23日公表した養鶏調査では産卵量全国第6位となったが,再度2月下旬集計した調査によれば県下の鶏の飼育羽数は26年12月現在では137万7,000羽(別表産卵鶏の移動と産卵数量参照のこと)となり,岡山県始まって以来の最高位を示した。これによれば27年1ヵ年間に263万貫が生産されたことになり,岡山県下の大きな収入源である。
 なお1月23日公表された調査概要及び全国養鶏調査概要(2月16日発表)を参考のため登載した。

産卵鶏の移動と卵数量
(昭和27年)

月  別 産卵鶏羽数 産 卵 量
1月 869,500 184,400
2月 856,600 179,743
3月 823,500 220,200
4月 916,300 258,657
5月 929,100 262,200
6月 920,100 244,843
7月 894,400 226,507
8月 891,300 210,257
9月 1,243,800 228,031
10月 1,320,000 213,385
11月 1,377,000 203,730
12月 1,377,000 200,000
2,631,953

調査方法の概要

 本調査は農林省岡山統計調査事務所が出張所を通じて月別県下の養鶏業者及び養鶏農家を対象として小数統計理論に基く標本の方法を以て調査を実施した。
即ち
(1)まず県内の市町村をその養鶏業の実態により次の3地帯に階層分した。
 (T)専業養鶏地帯 成鶏50羽以上養鶏業者ほぼ10戸以上でその養鶏業者の飼養羽数がその市町村のほぼ5分の1以上を占める市町村
 (U)副業養鶏地帯 成鶏20乃至50羽の飼養者により副業的な養鶏業が行われている市町村
 (V)自給養鶏地帯 20羽未満の自給的な養鶏業が行われている市町村
(2)調査の種類を次の如く2種類に分けそれぞれ推計を行った。
 (a)大羽数養鶏業者の調査
  専業地帯では100羽以上の成鶏めす飼養者其の他の地帯では50羽以上の成鶏めす飼養者について調査した。
 (b)小羽数鶏飼養者の調査
  専業地帯では99羽以下の成鶏(生後6ヶ月以上)めす飼養者其の他の地帯では49羽以下の成鶏めす飼養者について調査した。
(3)調査方法
 (a)大羽数養鶏業者の調査
  大羽数養鶏業者の中から50戸を標本養鶏業者として羽数階層別に抽出し,この標本養鶏業者につき毎月中旬10日間の成鶏めす飼養羽数産卵量過去1ヶ月間の移動羽数及び販売先別卵量の記帳調査を行った。
 (b)小羽数鶏飼養者の調査
  @ 成鶏めす飼養羽数調査
   40ヶ市町村を地帯別及び農家1戸当り平均成鶏めす飼養羽数階層に分けて抽出し,更にこの各市町村より5調査群(鶏を飼養しない農家を含めた1群10戸)県下総計200群,即ち2,000戸を抽出しこの標本農家につき5ヶ月に1回(調査月,2月・5月・8月・11月)15日に統計調査事務所出張所職員が成鶏めす飼養羽数過去1ヶ月間の移動羽数産卵量及び販売先別卵量をききとり調査した。
  A 産卵率調査
   羽数調査における各標本市町村より1小学校ずつ即ち県下40校を抽出し600人の生徒を地帯別及び市町村の1戸当り平均飼養者羽数階層別の総成鶏めす飼養羽数に比例して,標本小学校に割当て(1標本校14〜16名)この選定せられた生徒につき,毎月第3週の1週間自家に飼養している成鶏めすの飼養羽数及び産卵量の記帳調査を行った。

結果の概要

(1)岡山県の月別成鶏めす飼養羽数産卵率及び産卵量
(昭和27年1月〜8月)

 1月に比較すると成鶏めす飼養羽数は2月は1.5%,3月は5.3%とそれぞれ減少し,4月は5.4%,5月は6.8%,7月は2.9%,8月は2.5%とそれぞれ増加しているが,4月,5月は,昭和26年秋生産した雛が此の時期に主として成鶏となったために増加を示し,6月下期より淘汰斃死等により漸次減少に転じた。
 産卵率(月間産卵量を,月間延羽数で除いた百分率)は,1月に比し2月は5.8%,3月は26.1%,4月は37.5%と逐次増加し,此の4月を最高とし5月は32.0%,6月は29.6%,7月は19.4%,8月は11.0%と,次第に低下している。
 産卵量は,1月〜8月の8ヶ月間の合計は,1億2,507万5,000個で之を月別にみると,1月に比し2月が,2.5%減少して,外は3月19.4%,4月40.3%,5月42.2%と5月まで増加の一途をたどったが,この5月を最高として,6月は32.8%,7月は22.8%,8月は14.0%と漸減を示している。これは主として前記の季節的な産卵率の増減が大きく原因している。

月  別 成鶏めす飼養羽数 産   卵   率 産   卵   量
実  数 1月を100 実  数 1月を100 実  数 1月を100
とした割合 とした割合 とした割合
1月 869,500 100 47.9 100 12,908,000 100
2月 856,600 98.5 50.7 105.8 12,582,000 97.5
3月 823,500 94.7 60.4 126.1 15,414,000 119.4
4月 916,300 105.4 65.9 137.5 18,106,000 140.3
5月 929,100 106.8 63.7 132.9 18,353,000 142.2
6月 920,100 105.8 62.1 129.6 17,139,000 132.8
7月 894,400 102.9 57.2 119.4 15,855,000 122.8
8月 891,300 102.5 53.2 111 14,718,000 114
1〜8月合計 125,075,000

 上記の結果を更らに飼養羽数別(大羽数,小羽数)にみると,次の様になる。尚羽数においては毎月15日現在である。

大     羽     数 小     羽     数
成鶏めす羽数 産 卵 率 産 卵 量 成鶏めす羽数 産 卵 率 産 卵 量
1月 89,900 49.5 1,380,100 779,600 47.7 11,527,900
2月 83,850 53.9 1,310,400 772,750 50.3 11,271,600
3月 77,950 62.7 1,515,900 745,550 60.1 13,898,100
4月 62,950 65.4 1,235,100 853,380 65.9 16,871,300
5月 94,590 68.3 2,002,800 834,540 63.2 16,350,300
6月 87,960 63.9 1,186,200 832,140 61.9 15,452,900
7月 79,350 59.1 1,453,800 815,000 57 14,401,100
8月 76,590 52.9 1,256,000 814,750 53.3 13,462,100
(2)全国統計と岡山県の比較

成鶏めす羽数

全     国 岡  山  県 割     合
1月 26,120,200 869,500 3.3
2月 25,892,500 856,600 3.3
3月 25,639,400 823,500 3.2
4月 26,060,100 916,300 3.5
5月 26,198,100 929,100 3.5
6月 25,997,900 920,100 3.5
7月 25,513,700 894,400 3.5
8月 25,604,700 891,300 3.5

 羽数による岡山県の全国順位は,4〜6月までは,愛知,北海道,長野,千葉,埼玉,静岡に次ぎ第7位,6〜8月は愛知,北海道,長野,埼玉,千葉,静岡,茨城に次ぎ第8位である。
 尚1月〜8月の産卵量合計に於いて,岡山県が占める順位は表の如く第6位である。

産卵量

全     国 岡  山  県 割     合
1月 324,976,000 12,908,000 3.9
2月 341,670,000 12,582,000 3.7
3月 423,578,000 15,414,000 3.6
4月 462,748,000 18,106,000 3.9
5月 479,678,000 18,353,000 3.8
6月 442,711,000 17,139,000 3.9
7月 411,804,000 15,855,000 3.9
8月 385,009,000 14,718,000 3.8

(表)産卵率

全   国 岡 山 県
1月 40.1 47.9
2月 45.5 50.7
3月 53.3 60.4
4月 60.5 65.9
5月 59.1 63.7
6月 56.8 62.1
7月 52.1 57.2
8月 48.5 53.2
(3)成鶏めす飼養羽数産卵率及び産卵量の前年(昭和26年)対比
成鶏めす飼養羽数 産   卵   率 産   卵   量
26年 27年 26年 27年 26年 27年
5月 749,730 929,100
(123.9)
63.9 63.7
(99.7)
14,860,770 18,353,000
(123.5)
6月 720,890 920,100
(127.6)
61.5 62.1
(101.0)
13,307,020 17,139,000
(128.8)
7月 674,650 894,400
(132.6)
57.7 57.2
(99.1)
12,060,030 15,855,000
(131.5)
8月 653,600 891,300
(136.4)
54.3 53.2
(98.0)
11,012,000 14,718,000
(133.7)

備考 括弧内は昭和26年を100とした指数である。

 前年(昭和26年)に於いては5月より調査を実施したので,5月〜8月のものにつき比較してみれば,前年に比し
一.成鶏めすの羽数は5月23.9%,6月27.6%,7月32.6%,8月36.4%と,各期の羽数が約2割〜3割以上の増加となっている。
二.産卵率は,6月の1%増加以外は,5月0.3%,7月0.9%,8月2%と,それぞれ僅かに減少している。
三.産卵量は,5月23.5%,6月28.8%,7月31.5%,8月33.7%と各月ともいずれも増加している。

(4)成鶏めす飼養羽数累年比較
年   次 成鶏めす
飼養羽数
昭和5年を100
とした指数
 
昭和5年 583,537 100
 〃  6年 635,147 108.8
 〃  7年 683,716 117.2
 〃  8年 614,785 105.4
 〃  9年 643,185 110.2
 〃  10年 639,164 109.5
 〃  11年 617,345 105.8
 〃  12年 613,742 105.1
 〃  13年 569,680 97.6
 〃  14年 584,779 100.2
 〃  15年 725,858 124.4
 〃  16年 487,513 83.5
 〃  17年 541,626 92.8
 〃  18年 447,226 76.6
 〃  19年
 〃  20年
 〃  21年
 〃  22年 464,222 79.6
 〃  23年 445,462 76.3
 〃  24年 534,796 91.6
 〃  25年 536,077 91.9
 〃  26年 720,890 123.5
 〃  27年 920,100 157.7

 昭和5年以降過去の最高値を示した昭和15年当時の72万6,000羽に比し,昭和27年(6月)の92万羽は,約27%の増加であり,前後最低値を示した昭和23年当時の44万5,462羽に比し2倍以上の増加となっている。

全国養鶏調査の概要
─昭和27年9,10,11月分─

 農林省統計調査部では昭和27年9,10,11月分の成鶏めす飼養羽数及び産卵量について2月16日概要を次のように公表した。

一.全国の成鶏めす飼養羽数産卵率及び産卵量(9,10,11月)

 成鶏めすの飼養羽数は1月の2,612万200羽に比して9月は9.2%,10月18.3%,11月24.7%とともに増加している。これは昭和27年産の春雛がこの時期に主として成鶏(6ヵ月以上)となったためである。
 なお産卵率は1月に比して9月は3.2%の増加となっているが,10月は9.5%,11月が14.2%と漸次減少し,1月から11月迄の間で最低を示している。また産卵量は1月の3億2,497万6,000個に比して9月は8.9%,10月7.1%,11月3.5%と増加しているが,1月〜11月における産卵量は5月の4億7,968万7,000個を最高として漸次減少している。

全国成鶏めす飼養羽数産卵率及び産卵量

成鶏めす飼養羽数 産   卵   率 産   卵   量
実  数 1月を100
とした割合
実  数 1月を100
とした割合
実  数 1月を100
とした割合
(1月) (26,120,200) (100.0) (40.1) (100.0) (324,976,000) (100.0)
9月 28,511,300 109.2 41.4 103.2 353,811,000 108.9
10月 30,908,900 118.3 36.3 90.5 347,926,000 107.1
11月 32,566,300 124.7 34.4 85.8 336,211,000 103.5
3ヵ月合計 91,996,500 1,037,948,000

二.成鶏めす飼養羽数,産卵率及び産卵量の前年対比

 前年に比較すると昭和27年の成鶏めす飼養羽数は9月は前年同月の2,153万9,900羽に比べ32.4%,10月は同じく2,274万1,700羽に比べ35.9%,11月は同じく2,483万3,900羽に比べ31.2%といずれも増加しているが,産卵率は9月は7.8%,10月4.5%,11月3.1%と低くなっている。しかし産卵量は9月は前年同月の2億8,736万7,000個に対し,23.1%,10月は2億6,802万4,000個に比べ29.8%,11月は2億6,419万3,000個に比べ27.3%増加している。又9月〜11月分の合計では前年の8億1,958万4,000個に比べ27年は10億3,794万8,000個で約27%近く増加している。
 さきに公表した1月〜8月までの調査結果と,今回公表の9〜11月分の産卵量を合計すると全国の総産卵量は43億1,013万1,000個で,前表に見られるように9,10,11月分の産卵量は1〜11月分の約23%にあたっている。

三.地域別産卵

 次に全国産卵量に対する地域別産卵量の割合を見ると,9,10,11月の産卵量103万7,948個に対する各地域別の割合は(括弧内は1〜11月分産卵量に対する割合),関東地方が19万1,724個で約18.4%(19.4%)を占め,これについで東海地方の14.3%(12.5%),九州地方12.8%(13.4%),中国地方の10.8%(10.5%)が目立っている。
 さらに都道府県の産卵量について見ると,9〜11月分の産卵量は(括弧内は1〜11月分産卵量)愛知が8万2,048個(27万0,188個)で全国産卵量の5%以上を占め,静岡の4万7,053個(18万1,214個),長野4万4,550個(21万2,207個),北海道4万0,715個(17万4,917個)がこれにつぎ約4〜5%の産卵量を示している。さらに岡山,埼玉,千葉,茨城,新潟,福岡の各県が3〜4%の産卵量を示し,兵庫,香川,広島,福島,群馬,岐阜,宮城,栃木,鹿児島,愛媛,東京,神奈川,三重,山口等が2〜3%の産卵量を示している。