農林省統計調査部では乳用牛調査結果にもとづいて，昭和27年８月〜10月における牛乳生産量及び乳製品（れん乳，バター，チーズ）生産量にいて，２月５日概要を次のように発表した。

一．牛乳生産量

　第１表に見られるように８月〜10月の３ヵ月合計の牛乳生産量は，全国で81万0,609石（月平均27万0,203石，１日平均8,811石）となり，前年同期の統計と比較すると32.5％の増加である。また１月〜10月の10ヵ月間の累計では，258万9,282石（月平均25万8,928石１日平均8,489石）となり，前年同期間に比べて34.2％の増加である。
　８月〜10月の月別生産量は，８月が１月以降の最低を示しているが，９月より増加し，10月は過去10ヵ月の最高量となった。
　地区別にみると，３ヵ月合計では関東地区が全国の26.21％で最も多く，これについでは北海道が25.41％でこの両地区の合計は全国の過半量の51.62％をしめる。都道府県別に全国に対する割合をみると，北海道についで，神奈川県の7.5％，千葉県の6.1％の順位となり，以下５％以上の長野県，４％以上の東京都，埼玉県，３％以上の兵庫県，愛知県，静岡県，岩手県を加えた１道１都８県の生産量は全国の約３分の２である。
　このように牛乳生産量の増産は著しいものがあるが，乳牛の飼養頭数も急激に増加し，２才以上のめすが戦前16〜17万頭であったのが，昭和27年２月１日の調査には19万2,358頭，同年７月31日には19万3,980頭（内搾乳頭数13万2,691頭68.4％）に増加している。現在乳牛の飼養頭数（２才以下のめすも含む）は約27万6,000頭に上っている。

第１表　全国の月別牛乳生産量（８月〜10月）

備考（１）昭和26年は農林省食糧庁の調査
　　　（２）牛乳の単位換算は１石＝50貫＝0.1804キロリットルとする

第２表　全国の乳製品生産量（８月〜10月）

　備考　乳製品の単位函は加糖れん乳397ｇ×４ダース（19,066�s）無糖れん乳411ｇ×４ダース（19,723�s）

二．乳製品（れん乳・粉乳・バター・チーズ）生産量

　８月〜10月の３ヵ月の月平均生産量はれん乳11万1,508函（加糖れん乳10万3,259函，無糖れん乳8,249函），粉乳10万0,666函（全粉乳３万4,574函，加糖粉乳１万8,333函，調製粉乳４万7,759函），脱脂れん乳35万4,017£，脱脂粉乳41万1,804£，バター73万2,812£，チーズ９万7,123£となり，前期調査結果（４月〜７月分）と比較すると，全粉乳，脱脂粉乳が増加しているほかいずれも減少しているが，特に脱脂れん乳，加糖粉乳の減少が顕著である。なお８月〜10月の期間中乳製品の生産を行った工場数は全国で267工場で，これを月別に見ると８月243工場，９月，250工場，10月256工場となっている。