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緬羊の剪毛は桜の満開時が好適

 剪毛は緬羊飼養管理の中では重要な仕事の一つである。この技術の良否は直接収毛量に影響すると同時に緬羊の体にも損傷を与えることがあるから大いに熟練を要する。
 剪毛を行う時期は其の地方の気候によって多少の相違があるが大体4月中で一番よいのはその地方の桜の満開時期である。
 剪毛を行うには剪毛鋏を用い,剪毛方法に就いては実地により収得する外ないが簡単に表示すると別表通りである。
 剪毛の際注意すべき事項を列挙すると
一.晴天の日を選び雨天又は冷温の日は之を避けること。
二.なるべく板の間で行い剪毛の場所は清潔にすること。
 たたき,コンクリートの上で剪毛するときはテント,アンペラ等を敷くとよい。
三.剪毛前には緬羊に異常のないことを確めて行うこと,若し病気其の他異状のあるものは延期するがよい。
四.満腹させて剪毛すると緬羊が苦しむことがあるから,剪毛前の飼料は全廃すること。
五.緬羊保定の方法に注意し鋏を正しく使うこと。
六.毛は根本から剪り二段剪りしないこと。
七.皮膚を傷付けないこと。若し誤って傷付けたら『木タール』を塗布しておくこと。
八.雄緬羊では陰嚢,雌では乳頭,陰唇を傷付けやすいから特に注意すること。
九.緬羊があばれたら鋏を持った手を後に引き静まってからまた剪ること。
一〇.保定の姿勢を変える時には剪毛鋏を一旦床の上において姿勢が整ったら又鋏を持って剪る。
一一.剪り取った羊毛は丁度一枚の毛布のように剪り口を外側にしてひろげて後丁寧にたたみ,決してバラバラにしないこと。
一二.剪り取った羊毛は塵埃などの混じらないように注意し,販売すると加工するとを問わずなるべくすみやかに処分すること。

緬羊の剪毛方法

剪毛順位 剪 毛 時 の 保 定 法 前毛方法
一.腹部剪毛 羊体の左側を下にして横に保定し剪毛者は羊体の背部に位置し両膝にて肩胛部と腰角部とを軽く押えて緬羊の起き上がらぬ様にする。 右手に鋏を持ち左手で緬羊の皮膚を手前に引き延して右腹側部の腋の付け根から鋏を入れて一直線に腋の下まで剪り開き之に並行して腹部の剪毛をする。
二.左腹部
の剪毛
羊体は臀部にて起たしめ剪毛者は羊体の背部に立ち両膝に羊体を支える。 羊体の左腋下より剪り始め下腹部に左側に至るまで上より下へ剪り進めておく。
三.下頸部及咽喉部の剪毛 羊体を稍々斜にして緬羊の背を剪毛者の方にして左の膝を立て之に緬羊の頭部を載せて支えて左手で保定する。 右の肩先の処から右耳の付根に向って一直線に剪り進めて次で下頸部咽喉部を剪る。
四.頭部及頭背部の剪毛 羊体の位置は前のままにし剪毛者は左足を現位置のまま起立し右足を緬羊の腹面より左側に廻して跨ぎ羊体と向合せになり両膝を付けて両肩胛部を支え漸次後退して左手にて頸部を支う。 前額をより剪り進め後後頭部を剪り更に左肩部を剪り前脊及び右肩部まで剪って置く方が便である。
五.左脊部及左臀部の剪毛 剪者は羊体の右側に位置し両肢間に緬羊頸を挟み膝にて肩部を支え漸次横臥位となす。 左肩部の下より左側背部及左臀部に向って剪り下した後更に左後肢及び尾部等を剪り置く此の際背線を越えて右側まで剪り込んでおく。
六.右背部及右臀部の剪毛 前同様保定するも此際は緬羊の左側腹部を下にする。 右肩部より右背部及右臀部右後肢を剪毛して終る。
備考 要は緬羊の皮を剥ぐ様な気持を以って右側部より始め腹頸頭部を経て順次左側に及び体を一周して剪り終る。