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めん羊の離乳と其の後の飼養管理

 仔めん羊は生後100日位経過すると飼料だけで発育するようになるもので,適当の時期に離乳を行わなければ母めん羊は何時迄も栄養を恢復せず,次回の種付に影響する。
 勿論出来れば1日でも長く哺乳させて置くことは仔めん羊の発育の為には良い事であるが,母めん羊にとっては余り感心したことではない。
 離乳の時期は仔めん羊の状態にも依るが生後100日位経ったら適当と思われる時(体重7貫以上位)に離乳を行わねばならぬ。離乳は母めん羊から仔めん羊を離せばよいので,此の場合母めん羊は仔めん羊を探し,仔めん羊は母めん羊を慕うけれども数日経てば両者共忘れてしまう。
 仔めん羊は離乳当時は一時体重も増加しない様なこともあるから良質の飼料を充分に与え体力の維持増強を図らねばならない。母めん羊は急に哺乳を中止するために乳房炎を起し易いから一時濃厚飼料を減じ,毎日乳房を検査し1日1回位は搾乳をし,乳房炎の発生を未然に防ぐことが大切である。
 泌乳中は母めん羊は相当量の乳を分泌するので栄養もかなり衰えて居るが,是れを速かに恢復して置かないと秋の種付に思わぬ失敗をすることがある。栄養が良好であれば双仔,三仔と多産であることは良く謂われることであり,此の離乳から種付迄は牝めん羊の栄養恢復と休養の時期であるから充分にその処置を考えねばならない。
 離乳後の仔めん羊は1ヶ月に2回位は体重を秤ってその発育状況を調べることも肝要である。離乳後間もなく是を販売する様になるのであるから完全に発育させて置かないと値段も安く損である。
 仔めん羊の発育は飼料と運動によって左右されるから飼料については種類や品質や数量を検討して滋養に富んだ粗飼料を主体として,だんだん増量すると同時に十分な運動を行って,胴体が延びた,骨格のがっちりしためん羊を育成するよう努めなければならない。