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国産羊毛販売処理要領決まる

 4月21日の発表によれば,農林省では昨年度に引続き昭和28年度においても,国内産原毛の適正な価格を維持するため次の要領に従って国産羊毛の処理対策を実施することとなった。
なお昨年度の実績は取扱目標10万貫に対し,数量的には僅か1万貫の取扱量しか見なかったが,価格面においては剪毛期の市価が汚毛1貫匁当り,1,800円〜2,000円前後であったが,本要領に従って加工販売を委託した農家は,仮渡し金1,600円のほかに約1,200円が還元され,実質的には汚毛1貫匁について2,800円の販売収入が得られ非常な効果があった。

一.目的

 国産羊毛の出荷最盛期は,剪毛期の関係から海外市場の終了する春に限られ,常に価格の低落を招来するので,その適正価格を維持して緬羊飼育事業の安定を図るため,生産羊毛の加工販売の委託を希望する生産者に対しては,農業協同組合の系統金融を活用して羊毛を集荷し,加工販売の委託を受ける業者のうち信用あり且つ農業協同組合に密接に結びついている者に対しては,加工販売に要する資金の融通を図るものとする。

二.目標

 昭和28年剪毛期における羊毛推定生産量は,100万貫(830万ポンド)で,このうち,50万貫は自家加工及び委託加工による自家消費が予想され,残り50万貫が原材料として販売を予想されるが,従来の紡績業者の国産羊毛買付等を勘案して,販売量の20%に相当する10万貫(82万ポンド)を目標として対策を講ずるものとする。

三.実施要領

(一)生産者がこの要領により販売を希望する羊毛の取扱いについては,委託の方法によるものとし農業協同組合が集荷を行い,これを羊毛の加工及び製品の販売を行う者(以下受託者という。)に委託して加工の上販売するものとする。
(二)羊毛の受渡し,製品の製造並びに販売,及び生産の方法等は農業協同組合及び受託者間においてとりきめるものとする。
(三)農業協同組合は,必要に応じ,自己資金又は系統機関より融資を受け,集荷した羊毛を担保として生産者に対し,過渡金の融資を行うものとする。
   汚毛1貫匁に対する過渡金の標準額は(十)の委員会で決定するものとする。
(四)この要領による受託者になろうとする者は,羊毛の委託を受けようとする都道府県ごとに,受託希望書を当該都道府県に提出するものとする。
(五)都道府県は,(四)の書類の提出を受けた受託者につき,生産者及び農業協同組合の意見を聴いて,次の規準に適合する者の中から,受託者を選定するものとする。
 (イ)原則として,専ら農家の自家用委託加工及びこの要領による委託販売を業とする者であること。
 (ロ)羊毛の取扱実績及び受託見込数量が都道府県の占める一定数量以上であること。
 (ハ)羊毛の加工及び販売に要する資金の融通を受けるに足る十分な信用力を有する者であること。
(六)都道府県は,農業協同組合が生産者に対する仮渡金の融資を受けようとするとき,及び選定した受託者が加工及び販売に要する資金の融資を受けようとするときは,その斡旋に努めるものとする。
(七)農林省は,都道府県から申請があった場合には,必要に応じ,前項の資金の融通について,更にその斡旋に協力するものとする。
   但し,受託者が必要とする資金の融通については,(五)の規準の外次の規準に適合する受託者に限る。
 (イ)羊毛の受託見込の都道府県が数都道府県に亘っていること。
 (ロ)羊毛の取扱実績及び受託見込数量が農林省が定める相当数量以上であること。
 (八)生産者に対する代金の精算は受託者の製品処分後速かに行うものとし,特別の事情のない限り昭和28年12月31日までに終了し(十)の委員会に報告するものとする。
(九)融資金の償還は,必要に応じ,製品販売からの販売代金の代理受領委任状の農林中央金庫への差入れによるか,又は受託者の農林中央金庫口座への販売代金の振込みによらしめ,生産者に対する代金については農林中央金庫から信連,農業協同組合を通じて支払わしめ,引落しの方法等によるものとする。
(十)農林省,金融機関,生産者及び羊毛の委託加工販売の経験者をもって連絡調整の機関(国産羊毛販売処理委員会)を農林省に設置し,本対策の円滑な運営について協議するものとする。
(十一)この要領によって処理する羊毛は,昭和28年7月31日までに産地を出荷したものに限るものとする。

 この要領の国産羊毛販売処理委員会の第1回は4月24日農林省三番町庁舎でひらかれ次のような各代表(7名)が集って汚毛1貫匁について仮渡金の最高標準額を2,000円と決定した。

農林省代表  金融課長 林田悠紀夫
       畜産局経済課長 昌谷  孝
生産者代表  日本めん羊協会副会長 渡会 隆蔵
       全販連農林部長 坂井 治吉
全融機関代表 中金第一業務部長 一楽 照雄
加工販売経験者代表
日本めん羊株式会社常務 鈴木  修
 東鐘羊毛株式会社専務 木下 忠雄