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農林漁業金融公庫発足に伴う畜産関係施設に対する融資

 農業生産力を増大し,又その経営の改善安定を期するための基本的な条件の改良,諸施設の整備を計るための資金は,極めて多額を要求するものであるが,翻ってかかる資金供給源を農家経済に求めるとするならば,家族労力を主とする零細な農家経営においてかかる多額な,しかも農業の収益性の低いことから必然的に長期でなければならない資金の蓄積は極めて困難であることを承知するのである。
 殊に低米価政策と食糧価格(闇価格も含めて)を凌駕するに至った生産資材価格の高騰は結果としてかかる必要資金の調達を農業内部に期待し得ない。
 一方において,何にもまして国内食糧増産が経済再建方策の基本と考えられこのため強力な財政投資が政府において考慮され,色々の変遷を経て昭和25年に農林漁業資金融通法に基き農林漁業資金融通特別会計の方式により長期低利資金が土地改良,造林,漁港,畜産共同施設等農林漁業の基本的な施設に対して融資されることになったのである。
 この制度は戦後試みられた農林漁業長期金融に一転機を画するものであったが恒久的な独自の金融機関設置を目標とした政府の最初の構想から言えば矢張り過渡的なもので今回の農林漁業金融公庫の誕生において初めて長い間の構想が陽の目を見たわけである。
 昭和23年度における「農林漁業復興資金融通制度」の創設以来見返資金特別会計による直接私企業投資,農林漁業資金融通法に基く農林大蔵両省による直接投資を経て新たな段階に入ったこの公庫は,農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期且低利の資金で農林中央金庫その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的としている。が簡単に言えば,この公庫は従来の農林漁業資金融通法による業務を踏シュウするもので,又その機構は中央機構のみを差し当り設置し,大部分の業務は従来通り農林中央金庫に委託して行わせるのである。