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農林漁業金融公庫はどんな事業に融資するか

 処で問題はどんな事業に融資するか,又どの様な融資手続を必要とするかの2点であろう。

融資対象事業

 畜産関係のみに限定して記せばその大要は別表の通りであるが,多少夫々の事業内容にふれることにする。

農林漁業資金の貸付対象事業,貸付を受ける者及び貸付条件一覧表

貸付対象事業 貸付を受ける者 貸  付  年  利  率 償還期限 据置期間 1件当り
貸付金の
最低金額
補助事業 非補助事業
災害復旧 その他 災害復旧 その他
牧野の改良,造成又は復旧に必要な資金 農業又は畜産業を営む者
農業協同組合
農業協同組合連合会
6分 6分5厘 4分5厘 5分 15年以内 補助事業
 5年以内
非補助事業
 3年以内
10万円
畜産共同施設の改良造成復旧又は取得 
(1)酪農共同施設羊毛加工,家畜市場,緬羊種付所,孵卵育雛等施設 農業協同組合
農業協同組合連合会
7  分 7分5厘 15年以内  2年以内 10万円
(2)簡易と場及び食肉加工施設 上 同 7  分 7分5厘 15年以内  2年以内
(3)食鳥共同処理施設 上 同 7  分 7分5厘 15年以内  2年以内 25万円
(4)鶏卵共同処理施設 上 同 7  分 7分5厘 15年以内  2年以内 20万円
(5)人工授精施設 上 同 7  分 7分5厘 15年以内  2年以内 単位施設
150万円
サブステーション
40万円
(6)サイロ施設 農業協同組合
都道府県開拓農業協同組合連合会
7  分 7分5厘 大型
10年以内
小型
7年以内
 1年以内 大型
20万円
小型
10万円

牧野

イ.土地改良的事業(障害物除去,土壌改良,灌漑排水施設の新設及び補償)
ロ.土地保全的事業(牧野樹林の造成,飼肥料木の植栽,優良多年生草の導入)
ハ.利用施設の新設,改良(障害物の新設補修,牧索道の新設,補修,水飲場の新設,追込厩舎の新設)

共同施設

1.酪農共同施設

(山羊乳処理施設を含む)
(イ)集乳所,(ロ)市乳処理施設
(ハ)乳製品製造施設
 これらの融資対象施設については集乳量,送乳量,送乳時間,酪農立地,等についての一定の条件が附されている。

2.孵卵育雛施設

 これについては貸付最低施設能力が孵卵場では孵卵器2台以上,育雛場では育雛器(500羽入)5台以上となっている。

3.人工授精施設

 1件当り貸付金額又は最低施設能力
  単位施設 150万以上(又は授精頭数200頭以上)
  サブステーション 40万以上(又は授精頭数150頭以上)

4.サイロ施設

 融資対象選定の基準
  融資対象選定に当っては左の基準を考慮して行う。
(イ)対象家畜
 特に乳用牛に重点をおいて集団的な設置を奨励するよう留意すること
 1.乳用牛
 2.めん羊
 3.豚及び鶏(いも類の充填を主とするもの)
 4.その他の家畜
(ロ)施設の規模及び施設利用家畜の頭数
 乳用牛を対象とする場合を標準として,大型サイロは直径9尺深さ18尺程度,小型サイロは,直径5尺深さ10尺程度を標準とする。
 施設を利用する家畜の頭数は,小型サイロの場合で乳用牛その他の大家畜については1基について1頭,中家畜については1基について3頭,鶏については,1基について100羽を標準とする。
融資対象施設の種類及び範囲
(イ)サイロの建設
 大型1件当り 5基以上
 小型 同   10基以上
(ロ)サイレージカッターの購入
 大型小型各5基について1台とし,サイロ施設の申込に含まれるもの。
(ハ)事業費は資材費及び工事費とする。
保証人及び担保
 原則として当該組合役員及び利用者又はその代表者の連帯保証とする。

5.その他の施設

 1.緬羊種付所
 2.羊毛加工施設
 3.簡易と場及び食肉加工施設
 4.家畜市場
 5.食鳥共同処理施設
 6.鶏卵共同処理施設
 以上項目のみに止める。

融資手続

 これら事業についての融資手続は,まことにおどろくべき書類を必要とする。勿論金を貸す側に立てばこの位のものを求めなければならないのだろうが。
 詳細の手続内容について触れることは紙面の都合で許されないが,借入申込に際しては,申込書,申込添付書類,組合の定款,事業報告書,試算表,借入についての総会の決議録写等を農林中金岡山支所へ提出することになっている。特にサイロ施設については地方事務所,各団体に関係資料を配付しているから参照されたい。又信連及び同支所,農林中金,県畜産課へ連絡願いたい。