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酪農放談(三)

◎『バケツ酪農』という新語が出来た。工場が近くにあるので輸送缶に入れなくても,搾乳バケツのままで工場に持ち込みの出来る,有利な酪農地帯の意味である。その工場の前を素通りして振り売りに行く酪農家があるのだから困ったものである。健全な酪農地帯を作るために努力するものは排拆され,1銭でも高く売った者が英雄視される世の中となった。工場と酪農家とは共存共栄でなければならない,足並を揃えたいものである。
◎保安隊の演習地や基地問題は各地に大きな話題を提供している。その是非はしばらく置くとしても,接収予定地に新酪農地帯が多いことは,酪農人として考えさせられる点が多い。知事は蒜山地区の酪農振興を強力に行う様に指示されている。大山出雲地区の綜合開発の関係から見ても,岡山大学の綜合調査の結論から見ても蒜山地区の将来は酪農が最適であるそうである。日本原地区も酪農地として発達して来ている。然し両地区とも演習地として話題に上っている。産業か国防かと大きなことを言ってみても農家にとっては土地は生命の次であり,土地を失っては農業は成り立たないのである。
土地問題を簡単に考える人間が多くて困る。もっと大地を踏んで土地の恵みを感謝し,安心した農業経営が出来るようにしてほしいものである。(胖生)