ホーム岡山畜産便り > 復刻版 岡山畜産便り昭和28年7月号 > 顧照脚下

顧照脚下

◎先日知人が結婚して新らしい人生のスタートを切った。結婚は2人3脚の様なものであって2人の足を硬く結んでおかないと調子がとれなくなって足並が乱れてしまうものである。酪農家と製酪工場もこれと同じであって両方が勝手な方向に進んだのでは共倒れである。お互いが硬く結び合った処に生きる途があるのである。結ばれた紐を解かないで進みたいものである。
◎次亜塩素酸ソーダを主成分にした強力殺菌消毒剤が活用されて来た。熱消毒に代る新消毒剤として食品衛生面より歓迎されている。
 2等乳の時期になったが消毒殺菌と低温保存が励行される所には2等乳は無い筈である。由来酪農人には知識人が多いものである。2等乳が出てからあわてても遅い,2等乳が出たつもりで薬剤を使用して完全な牛乳を送りたいものである。科学に立脚した処理こそ酪農人のほこりであると考えたい。
◎草生改良がやかましく言われだしたが一般の草に対する認識はまだまだ低調である。草生改良と言えばどうも外国牧草を入れなければならないような気持ちになって,やれレッドクローバーだのオーチャードグラスだのと言うことだが,足下にはカラスノエンドウあり,ヤハズソウあり,メドハギあり,クズがある。土地に合った在来の野草こそ手近かな優良牧草である。牧草に対する認識を新たにしてほしいものである。(胖生)