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雑音録

 機械文明が広まって来ると正比例して雑音が多くなって来る。条例で雑音を取締っている都市もあるそうであるが,多少の効果はあっても雑音を無くすることは出来ないことである。然し雑音は何事にも付きものの様である。世の中が進歩すればどうしても雑音が高くなるものとすれば,いちいち雑音を気にしていたら仕事にならないかも知れないが,雑音にも種類があって有像無像がやかましいことである。そこで有畜農家創設事業に対する雑音を拾って御紹介する。

◎御承知の様に有畜農家創設事業には政府割当の枠があって,この枠の範囲内で仕事をしなければならない。従って県もこの枠を取る為に苦労するし,町村は更に県のこの枠の中に入れて貰う為に苦労するのである。決められた枠を高度に活用して枠一杯の仕事をして少しでも有畜農家を創設して行こうと苦心しているのであるが,町村の中には枠を貰う迄はとても熱心であるが枠だけ取ってしまったら後はもうしめたとばかり,てんで書類を出さない組合があって困る。特に報告物はとんと出て来ない。これは日本人共通の欠点であるかも知れないが取纏めをする者にとってこれ位困ることはない。困るのは県ばかりではなく,農林省も困るとみえて県からの報告物には総て期限をつけて採点をしていて遅れるとそれだけ減点している。そしてそれが次の枠の割当に影響して来るのだから大変である。報告を出す県の方では気が気ではない。いくら枠を増して貰らおうと思ってもお前の県は報告物が何点だから駄目だとやられてはたまったものではない。これがつい町村に迄響くのであるが,町村の方は馬耳東風である。やきもきするのは県の係員ばかりである。

◎お偉方を動員して陳情迄してやっと枠を取って,さて実施と言う段取になって,県の認承も,中金の決定も終ってから中止する組合が出来て来る。どんな気持ちか知らないが,係員だけでは鳩の豆鉄砲である。折角苦労して種々な調査をして認承書を出してホット一息した処でこれである。あれだけ面倒な書類を作って苦労した皆の努力がふいになるのである。労力の無駄と用紙の無駄と無駄,無駄,無駄の累積である。尤も如何に融資であっても,結論は借金であるから,借金は御免だと言われればそれ迄である。然し借金を承知で食いついておいて今更嫌とはどうにも認承しかねるのである。