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二等乳の防止

 夏は牛乳が腐敗しやすくなり,ともすれば二等乳を出すようになりますから,夏乳の取扱いについては特に注意して頂きたいと思います。今更申し上げるまでもありませんが,二等乳を出しますと農家の損失が大きく,又一番牛乳消費の多い時期ですから少しでも多く生産して需要を満たすように努めて頂きたいと思います。
 二等乳の防止のためにはまず牛乳の取扱いを衛生的に行わなければなりません。健康な牛を衛生的に完備した蚊や蠅の居ない畜舎に繋養して清潔に搾乳し,搾乳された牛乳は直ぐに短時間で冷却することです。暑さがはげしくなりますと家畜の生活機能が一般に弱くなり身体の抵抗力が少くなったり,食欲が減って参りますからいつも牛を健康にそだてておくことです。健康にそだてますには毎日よい粗飼料とよい水を充分与え,運動に気をつけ,手入を行い,カルシウムを補給して,牛乳の酸度が高くならないようにすることです。第2に牛舎はいつも清潔で明るく風通しをよくして床藁は短時日で取り替え,牛の体が塵埃や糞尿に汚れた場合はよくふきとったり,洗っておくことです。第3は清潔に搾乳することですが,搾乳前に乳房の部分や下腹部はよくぬれたタオルなどできれいにふいて最初の1,2条の乳は搾り捨て,搾乳は短時間に行い最後の一滴まで搾り込むことです。搾乳者は搾乳前よく手指を洗って決して搾乳中指に水や乳をつけないように心掛けねばなりません。
 又搾乳中に他人と話をしたり途中でやめたり畜舎の中を掃除したりしますと,乳の中に細菌や塵埃が入るおそれがありますから注意して頂きたいと思います。
 搾乳後は乳房部をきれいにふいて保護を加えておかなければなりません。又搾乳した乳は直ぐに濾過して冷却しますが,この場合前回に搾乳した乳と混合しないようにして下さい。もし混合しなければならない場合はよく冷却して同一温度になった後に一緒にして下さい。
 搾った牛乳の保存温度は摂氏10度以下が理想ですが,現在の酪農家では困難と思われますので冷めたい井戸水を利用される場合が多いと思いますが,この場合は度々水を取り替えて牛乳をいつも同一温度に保つようにして下さい。又保存中や輸送中など輸送缶には直射日光を当てないようにしましょう。