ホーム岡山畜産便り > 復刻版 岡山畜産便り昭和28年8月号 > 鶏病便覧

鶏病便覧

白癬
(黴性伝染病)

原因 白癬菌(黴)による接触感染。
症状 肉冠,耳朶,内髯,羽毛が白色灰白色の黴で掩われ,白い粉をふりかけた様になり,冠は萎縮する。重症のものは衰弱死する。
治療 患部を微温加里石鹸液で洗滌軟化させて後,沃度チンキ,硼酸ワセリン(1.50)石炭酸軟膏(1.50)等を塗布す。

脚弱症

原因 飼料配合の不適
 イ.カルシウム   ニ.ビタミンD
 ロ.ビタミンB1  ホ.マンガン
 ハ.ビタミンB2(リボフラビン)
 の不足
換気不良,育雛温源の出すガス中毒(共に雛に多い)直射日光の不足等によって歩行困難,起立困難となり,雛は趾が曲ることがある。
予防 治療
 @直射日光の導入をはかる。
 A換気をはかる。
 Bカルシウム不足にはカキ殻,カルシウム製剤を与える。
 C緑餌の多給イロハ
 D良質の魚粉,乳製品の配合イロハニ
 EビタミンDの補給に良質肝油を飼料に対し0.5%を加えることもある。

カンニバリズム
 毛喰い(豚血癖)

原因 @飼料配合の不適
 蛋白質の不足,食塩の不足,繊維の不足,カルシウムの不足
A疾病に継続するもの
 脱肛に続いて被害を受ける,虱,ダニの寄生
B環境の不良によるもの
 密飼育,日照不足
予防 原因を除去する
治療 既に被害を受けたものは,タール,メンソレータム,サロメチール等を局所に塗る。

食滞

原因 飼料配合の急変。羽毛,敷藁等不消化物の過食。給餌の不規則。体の衰弱。中毒,高熱病の一症状として現れる雛の食滞は過食,低音,換気不良によることもある。
症状 元気沈衰,食欲減退し,ソ嚢膨大となり,内容は硬固となる。
呼吸困難を来すこともある。悪臭液又はガスを吐出することもある。
治療 @原因の除去
A内容の除去
 茶匙一杯の油をのまして,ソ嚢を圧迫し吐出せしめる。
 3%重曹水を注入し,ソ嚢洗滌を行う吐出不能の場合は切開する(切口は一寸以下)術後1日絶食(水のみ給与)1日後より軟飼料を与う。
Bひなの場合
 飲水中に重曹水(1.50)を入れて給与し,程度に応じて飼料を控える。予防の為には飲水を充分に給し,夕刻遅くの給餌は,育雛初期には控える。

消化不良

原因 不良飼料,中毒,伝染病の一症状,飼養失宜等によって起る。
症状 食欲の欠除と筋胃食滞,下痢又は便秘ソ嚢拡大
治療 @水一升に対し瀉利塩を70グラム加えて給与する(食滞及便秘に対して)
A食滞,胃酸過多には温水2号5勺に重曹2匙を溶かした液をソ煎へ注入して吐かす。
Bゲンチヤナ根末1羽当0.5グラムげんのしようこ20匁の煎汁(100羽1日分飲水代用)の給与。

卵秘症

原因 輸卵管後部の炎症,通過困難な大卵,体躯の充実不完全等によって起こる。
症状 不安,焦燥,巣箱にしばしば入る,肛門上部を指で押せば卵を触知出来る。脱肛を来すこともある。
治療 グリセリン・ワセリンを産道に塗り,腹部を圧して卵の産出をたすける産出困難なものは卵殻を破壊して取出し後,冷水を注入して炎症を防ぐ。

脱肛

原因 軟弱なる体躯。
卵秘症に継発する。
若雌に多い。
症状 肛門が外部に飜転し,直腸部又は膣部を露出するに至る。
括約筋の緊迫と努責により炎性充血を来し,汚物の附着により糜爛し壊疽に陥いる。
僚鶏の指向するところとなり,啄血の被害を受けること多々あり。
治療 グリセリン又はオリーブ油を塗った手指で整復し,冷水を灌注する。タンニン酸2%明礬水を塗布する。
習慣性のものは肛門両端を排糞,排卵に差支えない程度に縫合する。

卵墜症

原因 輸卵管の故障やショックにより卵が輸送管外に転出し腹膜炎を起す。
症状 冠は変色し,暗赤色又は紫,黒色を呈する。皮膚は鬱血を来して紫色となる。滲出性腹膜炎を起せば俗に言う腸満となる。
剖見 いろいろな型の腹膜炎と,変性した卵片を認める。
肝及び腎には多く中毒症状を来し,肝の硬変,脂肪浸潤乃至変性,腎の溷濁腫脹等を認めることが多い。
予防 飼養管理に注意し,鶏体の衰弱を防止するとともに,ショックを与えないこと。
治療 手術,ペニシリン注射等があるが殆んど治癒の見込がないから処分する。

趾瘤病

原因 趾の傷口へコリヌバチルスその他の雑菌が侵入して起る。
或はビールス・アレルギー性の疾患とも言われる。
症状 趾底下面,側面の腫脹,化膿を来し,重いものは上部屈健にまで波及し跛行を呈す。
予防 過湿や角張った小石のある鶏舎床や運動場には多発し易い,鶏舎の消毒と豊富な敷藁が必要である。
治療 初期の発赤程度には焼烙する。化膿したら熟膿を待って切開排膿し,沃度チンキ5%石灰酸,イスラビンの洗滌,モナフラシン軟膏の塗布,モナフラシン5,000倍局所注射等を行う。

腸蛔虫症

原因 糞,土壌,鶏舎床,緑餌中の鶏蛔虫卵の啄食によって起る。
寄生衰弱したものは,鶏痘等の伝染病に罹り易くなる。
症状 発育不良,衰弱,産卵低下,貧血,腸カタル,肉様便排泄,時には跛行(ビッコ)することあり。
予防 鶏糞は堆積醗酵又は充分腐熟後使用のこと。
中雛時代は40日令,90日令,初産前後,成鶏年間3−4回以上駆虫剤投与のこと。
駆虫 ◯駆虫剤
ヘルミノツク  テレメス
ネオパラダウン  フエノチアジン
等のフエノチアジン製剤の純分を体重kg当0.5g即ち成鶏1羽当1g,中雛1羽当0.5gを1回に投与する。
◯用法
 何れも10時間位飲水のみ与えて絶食し,薬剤だけ(小麦粉ダンゴ等にして)1羽づつ定量を与え,投薬後も数時間絶食を続け,赤色糞の出た後,給餌を始める。

盲腸虫症

原因 盲腸に寄生する微細なる寄生虫で糞,土壌等の啄食によって起る。
本虫によって黒頭病の病原体(原虫)が伝播されるから注意が肝要である。
症状 少数の寄生では変化が見られないが,多数の寄生により栄養障害を来す。
駆虫 駆虫は蛔虫症と同じ方法で行う。その外,綿実油,ヘノボジ油を肛門から注入するのもよい。

條虫症

原因 蟻,家蠅,蚯蚓,蝸牛,なめくじ等の中間宿主を鶏が食べることによって起る。
症状 食欲,体重の減退,腸カタールを起し,腸に結節が出来る。
予防 中間宿主を生のまま鶏に喰わせないこと。
糞の清掃,鶏舎の消毒
駆虫
1羽当
 @檳榔子末   1−3g
 A綿馬エキス  1−2g
 Bテレピン油  1−2匙
 C四塩化エチレン 1g投与の後,カマラ1−2g投与

羽虱

原因 各種虱の寄生による。頭部基底軟毛基底,腹下部,肛門周囲に多い。
症状 羽毛或は垢を食し,鶏体は掻痒を感じ,産卵,受精の低下を来すこともある。
駆虫 DDT・BHC粉剤,除虫菊粉末等を羽毛中に擦込む。
硫酸ニコチンを棲架,糞受台へ糸状に滴下する(わくも,蚊の予防にもなる)
砂浴場にDDT・BHC粉剤を混入する。

壁蝨(わくも)

原因 わくもは昼間鶏舎の柱,破目板棲架の隙間に潜伏し夜間になると鶏体に寄生し血液を吸う,元来白色であるが吸血後は赤色となる。
症状 強烈な掻みを感じ睡眠不足による疲労,吸血による貧血,産卵低下を来す。
鶏舎の清掃,通風を図る。
柱,破目板,棲架,糞受板の隙間に軽油クレオソート混合物(3.1)DDT・BHC油剤を撒布,硫酸ニコチンの塗布を行う。

消毒薬

鶏舎の消毒
 クレゾール石鹸液 30倍
 クレオリン    30倍
 ロジール     50倍
鶏体に適用
 石灰酸      50倍
   皮膚又は傷口の消毒
 過マンガン酸カリ 1,000倍
   ジフテリヤ脱肛等の消毒防臭
          10,000倍
   飲用,飲水器伝染を防ぐ。
   連用すると消化器を傷めるから1週間続けたら1週間休む。

健胃整腸剤。強壮剤

ゲンチヤナ根末  1羽当0.5グラム
当薬末      〃
げんのしようこ〔煎汁〕
         100羽につき20匁
タンニン酸    1羽当0.5グラム
苦味チンキ    3%
とうがらし
蕃椒チンキ    2%
にんにく     10羽当5匁