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乾草の作り方

 夏の間は家畜の飼料として最も恵まれた青刈類や青草が十分あるので心配ないのですが,青草は非常に腐り易いもので長く貯蔵出来ませんから,どういう方法で貯蔵し,青草類の少い晩冬から早春にわたる期間の飼料を確保するかが問題ですが,これを乾かして水分含量を15%以下にすれば,容積,重量が少くなりそのまま放置しておいても変質しませんから運ぱんや貯蔵に便利です。従って生草の貯蔵法としては乾草はサイレージとともによい方法です。
 乾草のつくり方としては自然乾燥法と人工乾燥法の2通りがあります。

自然乾燥法

日乾法

 これは従来最も広く行われている天気まかせの自然乾燥で日光を利用し,また風をあてて乾草をつくるのですが,内地のような乾燥期間中に雨の多いところではこの方法による乾燥つくりはなかなか骨の折れる仕事です。
 乾燥は雨にあいますと草の養分の損失が大きいので十分天候に注意して,少くとも2−3日以上の晴天の続くのを見通してから,乾草つくりをはじめるようにすることが大切です。
 草を刈るのは晴天の日の午前中がよく,鎌かモーア(広い場所にあるものを大量に刈る場合)によって刈り取り,刈り取った草は地面にうすく拡げて十分日光にあて,よく風を通して乾かします。拡げてから3−4時間したらフォークで上下をよく反転して乾燥をし易くすることが必要です。
 このようにして夕方になったらフォーク(又は大量に広いところで行うにはレーキ)によって草を集めて円錐形に堆積し,ムシロ等で覆をして夜露や雨水が中に入るのを防ぎ,翌朝晴天であれば再び拡げて乾かします。この場合天候がよければ夜間堆積せずに拡げたまま放置しておいても乾草の収量や品質にはたいして影響しません。特にマメ科の草が多い時は,集めたり拡げたりする時に養分の多い葉が落ちて損失が大きくなりますから放置した方がよい場合もあります。翌日以後は乾き終る迄第一日と同じようなことをくり返すとよいのです。此の場合乾かす途中雨にあたりますと養分の損失が大きく,よい乾草が出ませんから,夜間と同じように堆積してムシロで覆うことです。
 乾草の出来上りに要する時間は,夏の天気のよい時では2−3日でよいのですが温度の低い時や天候の悪い時には長くかかります。また草の種類によってこの時間はちがいます。しかし必要以上に乾かしますと,色,香味が悪くなり出来上った乾草の価値が低くなってしまいます。

陰干し乾燥法

 これは樹陰や軒陰等の風通しのよい所に干架をつくり刈り取った草を順次束にして架け数日間放置して自然と乾燥させる方法で,これは日乾法に比べて手数がはぶけ,落葉による養分の損失が妨げます。この際注意することは醗酵によりカビが生じないようにすることです。
 この方法はマメ科の草を乾燥するのに使用される一つの方法です。

醗酵乾燥法

 生乾きの草を堆積して発熱する程度の醗酵を起させて乾草をつくる方法で,刈り取った草を一日位地面に拡げて乾かし,その後3−5m程度の高さの大きい堆積をつくり上部をムシロで覆って,かなり強い醗酵を起し温度が60−70°Cになってから晴天の日に堆積をくずしてうすく拡げて乾かすのです。また刈り取った草を前者より少しよく乾かしてからこれを2−2.5m程度の高さに堆積し,堆積の下方に高さ30−60pの三角架を入れて醗酵を軽く起させて温度が余り高くならないようにし,その上部に雨覆をして4−6日間放置し快晴の日に堆積をくずして地上にうすく拡げて乾かす半醗酵法があります。これらの方法は雨のための養分の損失が少くてすみますが,醗酵のための養分の損失があるのです。従って期待する程よい品を得ることは困難です。上手に出来上れば緑色を帯びますが,黒くなることが多いようです。
 要するにこの方法は雨の多い季節には比較的有効な方法です。

三角架堆積乾燥法

 この方法は,今迄述べた3つの方法のそれぞれの利点を取り入れた方法で自然乾燥法としては最も進んだもので,日光にもあてるが,主として風通しをよくして乾かす方法で,堆積の表面は風や日光で乾き,内部は自らの熱で醗酵して乾くのです。これは僅か3本の三角架を使用するだけで空気の流通をよくし,手数を少くし,作業は容易で一日の晴天で乾燥が可能であり,労力不足の場合便利な方法です。またマメ科の草やサツマイモ蔓等は地上に拡げて乾かす日乾法では,養分の多い葉の部分が落ちて損失が多きいですから,この方法でやりますと損失が少くてすみます。

その他の方法

 サツマイモの蔓やその他の皮で硬くて乾きにくいものを乾かすには,これを2p程度に短かく切り,ムシロ又はコンクリートの上にうすく拡げて早く乾燥する方法があります。

人工乾燥法

 自然乾燥法は雨にあいますと,よい乾燥が出来ないし,また天気のよい時でもかなりの時間がかかりますので,この間の養分の損失が多きいのでこれを乾燥機(通風乾燥機火力乾燥機)を使って短時間で乾かせば養分の損失も少く,雨の被害も受けませんから,よい乾草が出来上ります。欧米ではかなり広く行われているようですが,わが国では現在のところ試験の段階でまだ広く普及されておりません。