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エンシレージのつくり方

 草類を貯蔵する方法としては,さしあたり乾草かエンシレージを調製する手段が考えられますが,エンシレージは生草をそのままサイロに詰込んで乳酸醗酵を起させて,それによって比較的長期間の貯蔵に堪えさせる方法です。特に日本のような草類の収穫期に雨天日数が多くて質のよい乾草の出来にくいところでは,今後ますます応用されることでしょう。

エンシレージ調製の利点

(1)殆んど生草に近い多汁質の状態で貯蔵され給与することが出来ますから,冬季間の飼料として好ましく特に乳牛のために貴重なものです。
(2)調整があまり天候に左右されません。
(3)乾草に比べて貯蔵場所が約半分で足り,乾燥の貯蔵中の養分損失量が20−30%であるのに対して,エンシレージの場合20%です。
(4)乾草調整に比べて,労働が少く経済的な飼料です。
(5)各家畜の嗜好に適します。
   生草で好まないものでも,エンシレージにすれば喜んで食するものです。

エンシレージの材料

 水分の多い飼料や草類は大部分がエンシレージの材料になるので,貯蔵の問題からみても大変都合がよく,主に使われているものは次のようなものです。
(1)農場副産物 イモ蔓,落花生蔓,残桑葉
(2)野草 禾本科,マメ科,及び菊科野草
(3)飼料作物 青刈玉蜀黍,レンゲ,青刈大豆,青刈燕麦,青刈ライ麦,レープ
(4)その他 澱粉粕,豆腐粕,ビール粕,イモ類,蚕渣蚕糞

エンシレージのつくり方

 エンシレージの調製に当っては,さほど困難な条件は伴わないものであって,確実に調製されるか,されないかは,調製者の熱意に左右されるものです。ただより良い立派なエンシレージをつくるには,よい乳酸醗酵を起させることに心掛けることが,何よりのコツです。

材料の水分

 材料の水分が多過ぎますと養分の損失量が大きく,又腐敗の原因となり,逆に水分が少な過ぎますと滲出液が少いために,乳酸菌が十分な活動をしないばかりか材料中の空気を十分に追出して呉れないで勢い腐敗菌等の雑菌が入り込み,カビが生えたりして良いエンシレージが出来ません。
 適当な水分含量は70−75%とされていますから,禾本科の草類や青刈玉蜀黍はそのまま詰込んでよいわけです。レンゲ,サツマイモ蔓,根菜葉は85−90%ですから半−1日程度日乾にするか,稲ワラなど吸水性の飼料を約1割程度混ぜ合せるとよいのです。この混ぜ合せ方法は全体に混ぜこむことが飼料価値の平均化のために好都合ですが,それでは面倒になりますのでところどころに10p位の切ワラ層にして詰め込んで結構です。水分の少ない蚕沙,樹葉等にはジョウロ等で水分を補いながら詰め込むのもよいでしょう。

材料の切断

 植物は一般に刈取後水分40%位に乾燥するまで生活力があって,呼吸作用を行いますからこれに伴って相当量の養分も失われるので少しでも早くこの生活力を殺すため或いは踏込みを十分にするため,更に取出しの場合もつれのすることを防ぐために材料を適当な長さに切った方がよいでしょう。
 この切断する長さは,レンゲ,イモ蔓等のような軟かで多汁質なものは4寸内外,青刈玉蜀黍のような硬いものは1寸内外がよいのですか,軟かいものはカッター(動力カッターの場合)調節の都合もありますから幾分短くても,長くなっても,それ程神経質に考える必要はありません。
 切断するのが少い場合には,手押切りでも間に合いますが,多量の場合には,エンシレージカッターを使うのが便利です。

詰め込み方

 本詰め 本詰めをする4,5日前にサイロの内部をきれいに洗って乾燥して置きます。(この場合石灰水で洗うと更に清潔です)吹込み式のカッターを使う場合には,吹込ませつつでもよいのですが,切溜式の場合には,1回20貫匁程度(口径4,5尺サイロ)を投げ込んで平等にならし,その上を充分踏みつけます。この場合サイロ壁際は摩擦があるので沈下が不十分になり勝ですから特に念入りに踏込むよう心掛けなければなりません。踏込みに従事する人数はサイロの中に入れる限り多い方が踏込みが十分になりますから大変都合がよいのですが,事情が許さない場合は4尺サイロで3人位,5,6尺サイロで5人位でやむを得ません。
 サイロの口まで踏み込みが終りましたら,その上に筵を敷き板のフタをのせて重石をかけます。
 重石の1個の重さは取扱いの関係から3,4貫程度で,全体の重さは口徐に比べて割合い浅いサイロや材料の硬い場合は100貫−150貫,割合い深いサイロや軟かい材料の場合は80貫−100貫位が標準です。
 追詰め 本詰めを終って,3日位しますと4分の1か3分の1程度沈下しますから本詰めにならって補充することがサイロを十分に利用する上から必要です。追詰めをやらないためにエンシレージの出来上りが悪いということはありません。又この追詰めをさけるためにサイロの上部に補助枠を取付けて本詰め1回で終らせる方法があります。
 この追詰めの理からいっても材料と時間の都合で数回に分けて詰込んでも差支えないのですが,小型サイロの場合本詰めは1回で終ることが望ましいのです。
 その他 追詰めが終りましたら,空気にふれるのをさけるために筵の上に粘土か澱粉粕などを3寸程度のせることもあります。また調製は天候に左右されないとはいいますが材料が過湿になったり,作業上不便ですから広い屋内施設でない限り天候の良い日の方が好ましいのは当然です。

添加物

 水分含量が少く,質が硬くて滲出液の出にくい材料には0.2%程度の食塩を糖分の少ない材料の場合乳酸菌の繁殖を活発にするため0.5%程度の糖蜜を,或は不良菌の繁殖を防ぐため稀塩酸,稀硫酸,燐酸,乳酸の少量を添加することがあります。
 蛋白質の多いマメ科の草は割合糖分が少いが糖蜜は価格も高いので,青刈玉蜀黍のような糖分の多い草と混ぜて詰込めばよいでしょう。青刈玉蜀黍がエンシレージ材料の王座を占めているのも,反当生産量が多くて良いエンシレージが出来るためでしょう。

エンシレージの品質の見分け方

 材料を詰め込んでから40−50日してエンシレージが出来て,だんだん家畜に与えるのですが,この出来の良し悪しは分析によって飼料成分量や乳酸含量を調べたりする外,簡単な方法として次のような方法で見分けられます。
(1)色は淡い黄色か褐色に幾分緑味をしているのがよく暗黒色系統はよくありません。但しサツマイモ蔓の場合は普通黒色を帯びています。
(2)手ざわりはサラサラした感じのものがよく,ベトベトしたのはよくありません。
(3)においは軽い酸香がよく腐敗臭や強い酸臭,カビ臭味等はよくないのです。

エンシレージの出来上り量

 エンシレージの出来上り量は詰込み材料の当初の80−85%程度で,材料の種類によってもちがいますが1立方尺4−5貫位です。