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畜産ニュース

めん羊山羊の腰麻痺に特効薬
使用は簡単だが高価

 めん羊山羊の腰麻痺の予防治療薬としてスパトニンがこれまでのアンチモン剤やヒソ剤より使い方がかんたんで効果のあることがこのほどフラリヤ研究会(会長板垣四郎博士)から畜産局に報告されてきた。腰麻痺は7月下旬頃から発生期に入るがこれまでの治療薬は静脈注射又は皮下注射であり,薬そのものの中毒にかかる場合もあったが,スパトニンは薬を飲ませるだけでよく,しかもいくら与えても中毒がなく100%に近い効果をあげていると言われている。家畜衛生試験場がめん山羊300頭を使って行った長野県穂波村の野外試験では,対照区15%,ダビオール(アンチモン剤)を与えたもの4%,ソルビイル(ヒソ剤)を与えたもの2%の発病率に対してスパトニンを与えたものは1%であった。
 このスパトニンは東大菅沢教授指導の下に,田辺製薬において合成されたペラジン系の誘導体である。本剤は白色結晶又は結晶性の粉末で,酸味と苦味を呈し吸湿性強く,水,アルコールに易溶,クロロホルム,石油エーテルに難溶な,摂氏109−112度で溶融しつつ分解する物質である。
 スパトニン錠は澱粉を賦形剤として1錠中50mgのスパトニンを含有しているが,この1錠中1・ジエチルカルバミール・4・ミチルピペラジン,クエン酸塩0.05gを含有している。
 以上がスパトニンの大要であるが,値段は高値である。参考のため岡山県畜連で販売されている値段を示せば次のとおりである。
 20錠入  340円
 500錠入 7,500円