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完成近し岡山競馬場

花尾生

 昭和26年以来待望久しい新設岡山競馬場の建設工事も急速に進められ畳々たるあの三蟠火力発電所の石炭滓の山又山も飽なき人間の征服力によって坦々たる一望の平野と化し,更にこの上にスタンド,投票所,払戻所等々新営方式を取り入れた近代的建築が着々として昼夜の別なく進められつつある。

  新競馬場施設の概要

 位置 岡山市江並460番地
  敷地総面積           40,600坪
  収容人員約            7,000人
  走路幅員              23m
  馬場一周             1,000m
  内厩舎(第1期工事収容頭数)   160頭
  外厩舎収容頭数           70頭
  同  (分散のもの)        30頭
  投票所       1棟     150坪
  払戻所       1棟      60坪
  観覧席       1棟(第1期)300坪

  移転について

 さて原尾島の岡山競馬は,昭和8年岡山県愛馬倶楽部により設置せられたもので,その後岡山馬匹組合がこれを経営してきたが同23年競馬法の画期的な改正に伴い,同組合は解散し,その儘県に引継がれ今日まで運営に当って来た。
 この競馬場も設置当時から令既に20年の歳月を経過し,その間台風やら水害やらによる被害を受け建物の腐朽は正にその極に達し危険この上もなく市営競馬開催中(25年4月)スタンドの一部が落下し相当人員の負傷者さえ出したことがある。又厩舎においても同様老朽化し競馬の施行が出来ない状態となってきた。これ等施設の根本的な補修は新設に何等変らぬ多額の経費を要する結論が出た。
 一方馬券の売上成績は23年度が承継した当時1開催830万円であったのがその後控除率の引下げ,開催方法の改善即ち警備,放送スターチングの設置,決勝写真の採用等の実施によって漸次向上し,昭和26年には4千万円に成績の上昇となり,中国,四国のトップを示した。明朗公正競馬として好評を博しているが,この成績を維持し現下の逼迫せる財政に寄与し更にリクリエーションとして貢献していることは論を俟たないところである。
 現在の原尾島は,競馬場としては土地狭溢で且低湿腐朽しており,その施設が非能率的で不完全でもあり将来に期待できない状態である。のみならず土地が低湿なため特に厩面舎内に浸水することが多く非健康地なため厩舎が馬の伝染性貧血症に汚染し防疫の方途を講ずるもその徹底を期することが出来ない状態となっていた。そこで他に適地を求めて新鋭競馬場を建設するか将又根本的な改善をするか何れかを選ばねばならない事態に直面した。

  候補地の選定

 移転について今1つの問題として原尾島土地所有者との契約は,昭和24年12月で期間満了し引続き新契約を結ぶことが困難であり未解決の儘双方話合の上競馬を実施してきたが地主側から同用地返還の要求の申出もあり又26年6月岡山馬事振興会代表者から「岡山県競馬場移転すべし」との陳情ともなった。
 県は元岡山練兵場を第1候補地として第2候補地として岡南地区を選定しこれが調査を進めたが,練兵場は飛行機の滑走路が解除されていないのに加えて岡山総合グラウンドの計画が出来ていた。
 岡南地区は,倉敷レーヨン西側三興不動産株式会社所有地で面積約6万坪,平坦地で土質もよく地元岡南より誘致歓迎の声もあり,競馬場設置には正に好適地としての烙印をし,測量,土地所有者との交渉を進めるうち同地区は岡南開発の線があり,工場誘致の対象として岡山工業地区の第1に挙げており,この面より水が入り正面衝突の形となった。そこで第3の候補地として同じく岡南地区藤田興業の土地をあげて実地踏査を行ったがこれは地盤が極めて軟弱であり馬場をつくることが困難で又用地内田一部が留保地となっているし加えて距離的にも不便である等の条件が悪く,候補地として取り上げることが出来なかった。
 昭和27年7月2日突如第1候補の岡山練兵場滑走路が解除するとの朗報があり,競馬場が総合グランドの中に織り込んで設置出来るとの計画をたて交渉に乗り出したのであるがこの時図らずも岡山市江並中国配電三蟠発電所アス捨場を物色し得たので早速基礎的調査をしたところ面積約4万余坪岡山駅より約2里半,バス,船等の便があり,又場内より児島半島児島湾を望み風光極めて明眉,競馬場用地として最適のものであるとの結論が出たので委員会を開催し方針を決め,用地所有者三蟠火力発電所,中配本社との間で折衝を重ねたのである。
 中配は第1条件としてアス捨場の代替地の提供を受けられれば土地発展のため競馬場とするも差し支えないと協力的な話し合が進められ,代替地として市有地,四番川河口にある遊水地4万坪を提供することに市との間に話が纏まり,更に中配に了承を求め漸やくにして移転先が決定したのである。この間4番川漁業組合の問題,遊水地アスの『しがら止め』同排水ポンプ1基増設等中途破談さえ伝えられたが円満解決を見たわけである。

  建設

 整地工事は熊谷組により6月中旬着工し8月31日をもって完了し,引続き馬場の砂入れ及び入場道路の拡張工事にかかり9月末に完了する予定である。
 建設工事は安田建設がスタンド,投票所,払戻所,審判,入場門等を熊谷組は厩舎,検量所,事務所,倉庫,診察室,出馬投票,下見所等,第1期工事として建築の斧を振っている。スタンドを除いて9月28日に完成し直ちに10月3日から新設岡山競馬場開場式典競馬の開催の幕を開くわけである。7月初めから3ヵ月の突貫工事は昼夜を別たず拍車をかけられ進捗を見ている。やがて秋季競馬の鉄蹄の音が高らかに,躍動する駿馬の姿が観衆の目に映ずる日も近い。新装なる岡山競馬場に,面目一新した三蟠の競馬に御期待願いたい。