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今年の草地改良
彼岸前後が播種の適期

 本年の草地改良事業も強力に推進することになっておるが本年は特に指導奨励に重点を置くため準備をいそいでおり,去る9月10日に県指導地の指定が発表され72ヵ所70町歩が指定された。従来農村対象の奨励事業がと角流行的な傾向があり真の意義又は具体的な計画等なしに漠然と県の助成を受けるといった処があるように風聞しているが草地改良事業はその町村の立地条件に適した計画により其の地域の部落もその線に平行して実施せらるべきである。甚だしい町村では町村自体の計画もなく予算の裏付のない処があるが,草地改良は農業の基礎であり,計画的に長期にわたっての大きな事業であるから最初から充分検討することが肝要である。次に草地改良上特に注意を要する点を記述する。

一.河川敷の草地改良

 河川敷は従来から県土木部出張所河川関係と協議し,その許可により実施されていたのであるが今後においても河川関係の指示に従って実施することには変りなく,今般関係課の会合によって下のとおり実施する範囲がきめられたので間違のないよう注意が必要である。

河川敷の構造

 堤防の草地改良は高水敷のみ認められている。高水敷にしても従来より自生している草を全部除去して新らしい牧草を植えることはできないことになっている。但し従来高水敷に野菜その他の作物を作っている所は牧草に変えてもよい,何れにしても高水敷を現状より水害に対して弱くすることはゆるされない。以上は国,県管理の河川についてである。
(法適用河川,準用河川)町村管理の河川についてはこの限りではない。
 堤防その他の河川敷の採草については従来のとおりである。

二.草地改良の仕方

1.地ごしらえ

(1)自然の草を根際から刈取って草の勢力を弱めておく。(2−3回短期間に刈り取るとよい。)
(2)平地,斜面共に等間隔又は等高線に帯状に草の根を削り,地ごしらえをするのが一番よい方法である。
(3)直接播種する場合,苗の移植で行う場合,共に地ごしらえが最も肝要である。

2.石灰の施し方

(1)草地の酸度をしらべ矮正量(反当10−30貫)の消石灰を播種の7−10日前に改良する場所に播き土とよくまぜる。
(2)タンカルは消石灰の3割増による。施すのは前日か当日でよく,土とよくまぜることがよい。

3.肥料の施し方

(1)出来れば過燐酸石灰反当2−3貫硫安反当1−2貫撒いて,土とよくまぜ合わせる。
(2)窒素質肥料としては石灰窒素,燐酸質肥料としては熔成燐肥の方がよい。石灰窒素は少くとも播種7−10前に土とよくまぜ合わせる。消石灰,タンカル石灰窒素,熔成燐肥は一緒にまぜて施しても差支えない。
 黒ボク地帯では相当の酸性矮正の石灰を入れなくてはならない。(反当50貫以上),燐酸質肥料の効果はてきめんであるから熔成燐肥反当4−5貫入れる。窒素質肥料は石灰窒素反当2−3貫入れることが望ましい。燐酸は牧草の根どりと株張りをよくし,窒素は初期の生育をうながし,加里は種実の稔りをよくする。尚家畜尿3−4倍稀釈)を施肥することは極めて効果のあることで今後ますます実行することがのぞましい。

4.播種の時期

(1)県北の積雪寒冷地では8月中下旬より9月上旬までか,来春4月中旬−5月上旬がよい。
(2)県南の暖地では9月中旬−10月中がよい。播種の早い程年内の生育がよい。春播は自然の草に抑えられ易い。

5.播種の種類

(1)すじ播きの場合
 赤クローバー反当3−5合,アルサイクローバー又はラジノクローバー反当2合。オーチャードグラス反当3升がよい。ばら播きの場合は3割増のこと。クローバー類は苗又は匍匐茎を移植する方が経済的で効果的である。
(2)オーチャードグラスと赤クローバーの混播の場合は前者が2升後者は3合程度がよい。

6.種子のまき方

(1)荳科の牧草種子は小さく深い覆土をきらうから播く所は足でふみかためて播いてその上を足で軽く踏むか箒で軽くはく程度の覆土と沈圧でよい。
(2)禾本科牧草の種子は荳科牧草より覆土や沈圧を叮嚀にすることが大切である。レーキで軽く掻いて播き又レーキで軽く掻いて足できつく沈圧する。

7.その後の管理

(1)霜柱で根元が浮く所では麦踏の要領でふむ。灌漑のできる所は冬期灌漑することがよい。
(2)芽が出た時に畜尿を3−5倍にうすめたものを施すことは生産が挙ってよい。
(3)初めの中は草がおおいかぶさることがあるから,自然の草を刈取り野草をおさえるとよい。
(4)生育のあまりよくない所では刈らないで根ばかりをよくすることが大切である。
(5)刈り方が下手であると折角の牧草もなくなってしまうから刈る時は根元より2−3寸位残して刈ることが肝要である。
 要するに牧草の生育環境をつくり肥培管理を充分にすることである。

三.其他の事項

(1)草地改良の計画面積が大き過ぎるため実蹟の挙らない所が多いので重点的にモデルケースをつくるよう実施すること。
(2)種子の量も予算の範囲内に購入配付するため充分といい難く特に荳科牧草の種子は入手難の上に高価なためこの点留意の上播種せられたい。
(3)い草を乾燥さすため牧草を根元から刈取る地域があるが,これがために牧草が絶えて実蹟のあがらない所があるがこの地域の草地改良は再検討の上実施すること。