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巻頭言

県共を振りかえって

惣津律士

 9月18日から21日に亘る4日間,備中高梁で行われた第9回岡山県畜産共進会は各郡から選抜された和牛はもとより乳牛,馬,緬山羊,豚,鶏に至る種畜種禽を一堂に集めての久し振りの催しであっただけに,まさに本年初秋をかざる圧巻であった。
 特に10月上旬の全国和牛共進会及び中国連合畜産共進会への出陣を前にしての共進会であったため,出品者の熱意はもとより,各部の審査会に於ても真剣な論議がくりかえされ,会場には終始緊張の気が溢れ,畜産岡山の熱と意気はいやが上にも昂揚された。
 会場設備も上房畜連に依って早手廻しに完備され,各種盛り沢山の附帯事業が花々しく展開され20日には池田夫妻が来場されて,出品家畜家禽全部について詳細に見学せられるし,21日の褒賞授与式には三木知事が藤本部長と共ににこやかな顔を見せられて,入賞家畜を賞でられ,心からの謝辞を受賞者に送られた事は関係者に深い感銘を与えたものであった。
 4日間を通じての人出は無慮10万と称せられているが,これは畜産が時代の寵児として認識せられて来たとは言うものの,この共進会を通じての主催者はもとより協力団体,出品者の熱意ある努力がこの盛況を生んだものであって,私は心から感謝の言葉を申上げると共に,黙々として職責を完遂せられた審査員と事務関係者に深く御礼を申上げたいのである。
 出品家畜家禽に通じての講評は詳細に授賞目録中の審査報告に印刷してあり,広く御熟読を戴くことにしているが,種豚,種鶏についてはあまり見劣りのあった事は遺憾に堪えない所である。
 度々申上げている如く,家畜家禽全般を通じてのレベルが向上してこそ,畜産の円滑なる発展が期し得られるのであって,この点は今後の反省の具に供し度いものである。
 県共がすむと,いつもはほっとした気持になれるが,本年は大きい舞台を前にしているので,ぼやぼやしていられない。
 躍進あるのみである。各位の御健闘を祈って止まない。