ホーム岡山畜産便り > 復刻版 岡山畜産便り昭和28年10月号 > 畜産の祭典第9回岡山県畜産共進会 高梁町で盛大に開催

畜産の祭典
第9回 岡山県畜産共進会
高梁町で盛大に開催

 去る9月18日から21日まで4日間,上房郡高梁町家畜市場において和牛,乳牛,馬,豚,めん羊,山羊,鶏を一堂に集めた,第9回岡山県畜産共進会が盛大に開催された。
 今回の共進会は従来と趣を異にし,全家畜を一堂に集めた県下初の綜合共進会であり,10月に広島市で開催される中国6県及び全国和牛共進会出品家畜の第3次選抜も兼ねている。
 17日及び18日の午前中は秋雨に降られ一時天候もあやぶまれたが,18日午後から会期中晴天に恵まれ,予期以上の好成績を収め,盛会裡に幕をとじた。

日程

9月17日 出品
〃 18日 開会式
〃 19日 審査
〃 20日 入賞牛展示(午後)
〃 21日 〃    (午前)
     褒賞授与式

 第2日の19日は前日に引続き各出品家畜の個体審査と比較審査を行い,入賞家畜決定の準備が進められた。一方,協賛行事中の呼物のヘリコプターは午前11時半メッセージを投下万余の観衆が待機する高梁河原に着陸,大河共進会長からメッセージを飛行士に贈り,歓迎の祝意を表した。つづいて各種高等飛行,松山城の撮影などを行い,吉備,川上,阿哲から貸切バスで乗込んだ小,中学生や農家の皆さんからやんやのカッサイを博した。共進会場,町内は4万人の群象で埋り,町は共進会一色に塗りつぶされ盛況であった。

約10万の人出 共進会第3日
  池田氏夫妻迎え賑わう

 共進会顧問,池田隆政氏夫妻を迎えた共進会第3日は,秋晴れの好天気に恵まれて,備北4郡はもちろん真庭,浅口,邑久郡方面からも池田氏夫妻の歓迎と出品家畜の見物,協賛催しの参観に人出は10万を突破し,6会場とも人の波で埋り押すな押すなの大盛況であった。
 池田氏夫妻は10時50分県畜産課多田技師の案内により自動車で岡山を出発,12時20分大河畜産共進会長宅に到着,小憩の後,昼食を大河会長,戸田副会長,惣津審査委員長,小野高梁地方事務所長,三好上房地区署長,樋口高梁町議会議長,梅野助役,多田技師と会食,13時30分から農協婦人大会,農業展,美術展,学童作品展等協賛行事を観覧,高梁川対岸名勝方谷林一本松に登山,金岡日新高校長の説明で高梁町および臥牛山松山城などの沿革についてきき,15時から各会場の出品家畜を熱心に参観し,16時20分帰岡した。
 共進会の最後を飾る褒賞授与式を21日午前11時から高梁南小学校庭で,島村参議院議員,蜂谷県議会議長はじめ来賓多数出席の下に開会,審査長,惣津県畜産課長の出品和牛中には県の特色である角,顔が良好で品位に富み肢蹄堅牢である美点が備わっていないものが全般的に認められた。種牡牛の選定に当っては,その牛の本質である品位,育質などの遺伝的な基本要素を吟味し,県産牛の特質として,とくに骨味,肢勢の良好なものを選定するよう」と将来改良すべき点まで第1部和牛から第7部種鶏にわたる審査報告ののち,総裁三木県知事,大河会長から各部入賞者に農林省,県賞状をはじめ数々の賞状,優勝旗などが授与された。

審査報告

 第9回岡山県畜産共進会が9月18日より高梁町に於て開催されまして,私が審査長を拝命致し,審査員と共に皆様方の御出品の審査を拝見致したのでありますが,3日間に亘って行いました各部の審査も無事終了しましたので,その結果を御報告致します。

第1部 和牛の部

一.審査方針

 全国和牛登録協会黒毛和種審査標準により,特に岡山県産牛の特質をのばし,欠点を補うため将来次の点を改良の重点として審査を行いました。
 1.品位に富むこと(角,顔,体全体の輪郭鮮明なこと)
 2.資質のよいこと(皮膚,被毛,骨)
 3.体積に富むこと(体各部の発育が発育曲線の中以上のもの)
 4.乳徴のよいこと
 5.肢蹄のよいこと

二.出品区分

 出品郡市別に見ますと
 牝におきましては上房郡の13頭を筆頭に,吉備12,都倉11,川上9,阿哲8,後月,井原7,苫津6,勝田5,真庭,小田,笠岡,赤磐の各4,浅口,玉島の3,英田,久米各2,児島1,計94頭であります。
 牡におきましては阿哲13頭,上房2頭,後月1,都倉1計17頭であります。
 これを産地別に見ますと
 牝におきましては阿哲34頭を筆頭に川上15頭,真庭12頭,上房,苫津の各8,勝田6,後月4,久米3,吉備,英田各2,計94頭であり,牡におきましては阿哲15頭,上房1,後月,井原1でありました。

三.一般概況並びに細部所見

 先ず牡牛につきまして申上げますと,総数17頭で稍少数の感はありましたが,一般に発育良好で体積に富み品位,資質に良好のものが多かった事は,平素当事者各位の選定並に育成管理に充分な注意を払われた結果でありまして深く敬意を表するものであります。
 然しこれを細部に検討して見ますと,体積に乏しく発育不充分のもの及び後躯に難点のあるものを少数認め,尚この外に本県の特色であります角,顔が良好で品位に富み肢蹄堅牢である美点が備わっていないものが一部を除き通有的に認められました事は将来種畜選定上一段と注意を喚起しなければならない点であると思います。
 例えば顔の形状不良,鮮明を欠くもの,前肢の肢勢が八字型を呈するもの,蹄が小さく,偏平なもの等の諸点は将来特に留意を願いたいと存じます。
 次に牝牛について申し上げますと品位に於きましては一般に牝相に富み輪郭も亦鮮明でありますが体の緊り角顔の不鮮明なもの,肉付の不均等なものを散見しました。資質に於ては昨年に比し一般に向上しつつ有るのを認めたのでありますが被毛の粗剛なもの,骨緊りの足りないもの数頭を認めました。又体積特に発育は発育曲線に照し科学的に検討しました結果大半のものは概ね中以上の水準をオーバーして居る現況であり特に中躯(肋腹)の部分は最も良好であると認めましたが,更に一層早熟で早肥であることが望ましい次第であります。
 乳徴に於きましては一般に向上していることを認めましたが,特に乳頭の過小なるもの,配列の悪いもの,乳房の張り殊に乳房前部の張りの不良なものがあり,将来更に改善の必要性を痛感致される次第であります。
 肢蹄を検討致しますと大半のものは良好と認めましたが,中に骨緊りの足りないもの,飛節の角度,位置の不当なものが見られ,又蹄においては削蹄の失宜による蹄形不良なもの蹄質角度の不等なものがあり,将来一層研究改善の必要を痛感した次第であります。
 更に肩附の点については全般に肩附の緩いもの,肩端の開いているもの,キ申部の著しく厚いものが可成見られたようであります。又後躯殊に臍の位置の不等なもの,せん骨が高い等のため著しく斜尻を伴い尻の細いものを見受けたのであります。

四.短評

 次に上位入賞牛につき短評を試みると牡において
 14号=この牛は角の形状,頸に難点を認めますが体躯充実し資質(骨緊り,被毛,皮膚の状態)及び肢蹄等は出品牛中随一のものでありまして,亦体各部の形状においても欠点を認め難い所から本牛を首位としたのであります。
 9号は上体線及び後躯の形状に不満足の点を認めますが,体積に富み中躯の形状は誠に見事でありまして堂々たる牡相を有する点を掲げて之を第2位にしたのであります。
 次に牝牛につきまして上位にした30号と37号を比較した場合,何れも一長一短がありまして,其の差は僅少であります。
 即ち発育体積,資質,乳徴は何れも良好でありまして,黒毛和種としての体型資質を具備して居りますが,30号を37号より優位にしましたのは,体全般の均称品位に優れ著しい欠点を認めなかった為であります。

五.将来改良すべき主要点

 一.品位,資質につきましては相当改善のあとが認められますが,今尚,相当遺憾なものが認められますので,特に公益性の大きい種牡牛の選定に当っては,外形のみにとらわれず,その牛の本質であります品位,資質等の遺伝的な基本要素を充分吟味した上で選定されたいと思います。
 二.総体的に肢蹄につきまして近来関心がうすいのではないかと思われますが,本県産牛の特質として,特に骨味,肢勢の良好なものを選定するよう,御留意願います。
 牝牛について,今後改良すべき諸点について申述べますと,体全般の発育,堅実性,骨緊り肩附等を吟味し,更に資質の改善,堅牢なる肢蹄を護持すべく将来不断の努力を煩わしたいことを念願して止まない次第であります。

第2部 乳用種々牛

一.審査方針

 第2部乳用種々牛の審査は日本ホルスタイン種体格審査標準によりまして現状に就いて審査を致しました。

二.出品区分

 今回の出品は21点でありまして其の中ホルスタイン種18点,ホルスタイン系種3点で之を郡市別に区分しますと浅口郡3点,御津郡,邑久郡,都窪郡,小田郡,真庭郡,久米郡が各々2点,苫田郡,赤磐郡,勝田郡,英田郡,玉島市,津山市が各々1点であります。
 更に産地別に見ますと,県内産が15点,県外産が6点でありまして,県内産のものは浅口郡2点,御津郡,邑久郡,苫田郡,津山市が各々2点,上道郡,赤磐郡,勝田郡,久米郡,笠岡市,西大寺市が各々1点であります。
 県外産のものは北海道,静岡県が各々2点,兵庫県,新潟県が各々1点であります。
 尚系統別に見ますと第60カーネーション・ガヴァナー・インペリアルラット号の産犢が4頭,ロメオ・プレースレット・サープライド号が3頭,其の他であります。
 更に年令別に見ますと未経産牛13頭,経産牛8頭となっているのであります。

三.一般概況

 第2部の出品に付きましては共進会開催地の地理的条件から優良牛の出品に対しましては希望が持てなかったのでありますが,今回の出品を拝見致しますと,前回当地で開催されました時に比べて格段の進歩があり,特に近年酪農を始められた地区より相当優良な牛を出品されましたことは本県乳牛の全体的レベルが向上しているものと考え御同慶に堪えません。
 然しながら先進区と見做される所から出品のなかった事は,各種の事情があったことと考えますが,誠に遺憾とするところであります。
 今回の出品は経産牛と未経産牛に分けて審査致しましたので其の概評を申上げますと,先ず未経産牛は一般に体型・資質・発育共に良ろしく,特に出品点数の半数の7頭は何れも自家産であり,血統明確であることは非常に喜ばしいことであります。
 然しながら其の半面種付時期の遅過ぎるもの,或は肢蹄の管理の不十分なものが見受けられましたことは残念であります。
 次ぎに経産牛に就きましては県外産が極めて多く随って系統が不揃でありましたことは遺憾なことであります。
 一部のものを除き体積は豊かでありますが乳牛の生命であります乳器に故障や損徴がかなり見受けられました。

四.細部所見

 細部に就きまして特に気のつきました点を申上げますと,頭部の稍々重いもの,品位を欠ぐもの,胸部の狭いもの,胴の短かいもの,後躯特に尻部の悪いもの,臍の位置の低いもの,肢蹄の悪いもの等が散見されましたが,特に経産牛につきましては乳器の悪いものが多く,例えば左右乳脈の不揃い乳頭の附着方向,大きさ,形状等の好ましくないもの,又乳房では搾乳並に管理技術の失宜から来ます乳区の均称を欠いだもの,或は早老のものが見受けられました事は洵に遺憾とするところであります。

五.短評

 1等賞に擬賞しました未経産牛4号は体積豊かでありまして発育良好,体各部の均称甚だよろしく,特に背腰の強さ,肋腹の開帳,後躯の充実,泌乳器の状態よろしく而も強健でありまして飼養管理が極めて容易なもので,本県推奨の体型資質の規格を具備して居りました。
 次ぎに同じく1等賞に擬賞しました経産牛の24号は昭和21年生れの8才でありまして,既に5産を重ねて居りますが飼養管理が良ろしいため体型,均称,品位,資質共によろしく其の子孫に於て強力な遺伝力を有して居るものであります。
 2等賞一席に擬賞致しました未経産牛の5号の牛は日常の飼養管理,手入,護蹄,調教等極めてよろしく,美しい牛でありますが体格に於て幾分充実を欠き殊に背腰,後躯に於て其の難点が認められました。
 次ぎに同じく2等賞に擬賞しました23号牛は北海道産のホルスタイン系種でありまして,体積豊かで均称,資質共によろしく,特に乳静脈の発達は頗るよろしいが乳区の不揃い,肢蹄の保護に於て難点を見受けました。

六.将来改良上留意すべき点

 以上の点を綜合しまして今後の改良上注意すべき点を申上げますと次の様であります。
 1.種牡牛の選択を行うと共に優秀なる系統牛の保存に努めること。
 2.種付の適期を誤らない様にすること。
 3.育成技術特に濃厚飼料の多給を避け粗飼料の利用を工夫研究すること。
 4.肢蹄の管理に就ては一層の注意を払うこと。
 等であります。
 本県の乳用種々牛も酪農振興計画の樹立と共に急速に発展増加して参り,新しい地帯が出来ますことは洵に喜ばしいことではありますが,乳用牛の飼育には立地条件と相当の技術を要することでありまして,技術指導につきましては本年度から津山に酪農講習所も設置致しましたので今後この施設を大いに活用されまして本県酪農の進展を図られます様お願いを致す次第であります。

第3部 種馬

一.審査方針

 審査は中国農用役馬審査標準により実施いたしました。

二.出品区分

 出品頭数は阿哲郡2頭,真庭郡2頭,久米郡1頭,和気郡1頭の計6点でありますが,従来出品の多かった勝田,苫田両郡からの出品がなかったことを遺憾に思います。

三.一般概況

 出品馬は特に抜群のものがなく,一般に中国連合畜産共進会出品候補馬のみでありますから何れも良好で優劣の差が少く体躯は概ね均整がとれ,農用役馬標準体型に合致したものであり,胸囲率,管囲率共に標準を上廻っておりました。特に各馬共飼養管理宜しく,筋肉の発達も良好であります。しかしながらなかに運動不足のため肥り過ぎのものがありました。なお飛節の不鮮明のもの又飛節軟踵を有するものがかなりあり,歩様については運歩が軽快を欠ぐもの,又は短節なもの,或は内孤歩様のもの等が見受けられました。
 蹄については蹄叉が狭小で弾力に乏しいものがありましたが,これは護蹄の失宜によるものでありますから特に蹄叉を保護し,蹄踵狭窄をおこさないよう充分注意が必要であります。

四.短評

 次に上位入賞の馬について申上げますと,5号馬は出品馬中最も品位に富み悍威もあり,体躯の均整宜しく良好で,又胸深,肋張り共に宜しく特に飛節の発育が良好であります。難点としましては前脚において歩様が内孤であり,臀部の線がいく分不整で護蹄にいささか欠ける点があります。
 次に2号馬は体型良好,体高147,5糎,胸囲182糎管囲19糎で特に胸深く,肋の傾斜が良好であります。又後躯の発育極めて宜しく中国農用役馬の標準体型に合致し,蹄形,蹄質共に良好であります。しかしながらやや品位に乏しく頭から頸への移行が悪く,顎凹がせまく低き甲で,又肢勢が僅かに開帳姿勢であります。

五.将来改良のすべき点

 以上が審査の概要でありますが,馬の利用目的は使役でありますので,飼養管理に万全を期し,運動を充分励行し肢蹄のけんろうをはかることが大切であります。又一方性質温順で飼養管理の容易であることが望まれ,前躯の発育と共に特に後躯の発育が重要であります。以上申し述べました点に特に留意され,今後一層の工夫と努力を重ね優良馬の造成に精進されますよう切望いたします。

第4部 種緬羊

一.審査方針

 種緬羊の審査は日本緬羊登録協会の日本コリデール種緬羊登録規程により今日の現状をもって審査し,過去の経歴及び将来の予想等は考慮に入れずに行いました。而して体積,品位,毛質に特に重点を置いて行ったのであります。

二.出品区分

 今回の出品は邑久郡7点,倉敷市,西大寺市,真庭郡,小田郡各2点,岡山市,都窪郡,吉備郡各1点,計18点でありまして,これをその緬羊の産地別に見ますれば,邑久郡9点,倉敷市,小田郡,真庭郡各2点,岡山市,都窪郡,吉備郡各1点となっております。而して牝16頭,牡2頭でありまして明3才,2頭,明2才,16頭であります。

三.一般概況

 一般的に見て体積及び品位に富み,飼養管理の技術が向上し出品物が概ね揃って居りましたことは当業者各位の絶えざる御努力の賜でありまして,本県緬羊の発展を示すものと考え慶賀に堪えません。然し調教不充分のため,保定が困難であり,又肢蹄の不良なもの,後躯の淋しいものがありましたのは将来研究を要する点と存じます。

四.細部所見

 これを細部に亘って点検して見ますと,体重は牝において最高19貫200匁,最低14貫,体長は最高75糎半,最低65糎,毛長において最高11糎,最低7糎でありまして,羊毛の緊密度及びその状態は多様であります。而して頸の付着の不良なもの,凹背のもの,後躯の発育の不良なものつなぎの弱いもの,ヘヤーウールの多いもの等を散見致しました。

五.短評

 次に本日の審査の結果優位に擬賞致しましたものにつきまして,短評を試みて見たいと存じます。先ず11号の緬羊でありますが,これは明3才の牝でありまして邑久郡の出品であります。体積に富み後躯良好であり,毛質も亦優良であります。然し後躯のクリンプ稍々不明瞭であり多少茶色のマツ毛を有し前蹄の内側が稍々低くなって居り,なお僅かに凹背の感がありましたが総体的に見まして本日の出品中最も優良と認めましたので,これを最優位に擬賞致した次第であります。
 次に9号の緬羊でありますが,これは明3才の牝でありまして岡山市の出品であります。胴伸びが良好であり,クリンプも亦良好,羊毛の密度が佳良であります。然し稍々体積に乏しく,又僅かに頸皺がありまして前者と比較検討の結果これを2等の一席に擬賞致しました。

六.将来改良すべき点

 本県の緬羊は近年著しく発展しつつありますが,品質の改善には将来一層の努力を要するものがありますので,優良なる種牡緬羊の供用と運動の励行により体積が豊かで品位に富み後躯,充実し肢蹄強健でしかも毛質の良好な種緬羊の生産を期せられる様願いたいものであります。なおこれについては登録事業の普及徹底を図ることが最も重要と存じますのでこの制度の活用を望んでやみません。

第5部 種山羊

一.審査方針

 種山羊の審査は日本山羊登録協会の日本ザーネン種登録規程により行いました。而して種緬羊と同様現状をもって行い体積,品位,後躯の状態並びに乳器の発育に重点をおいて審査致しました。

二.出品区分

 今回の出品は久米郡7点,吉備郡4点,倉敷市3点,岡山市,赤磐郡,都窪郡各1点,計17点でありまして,何れもその郡で生産されたものであります。而して牝16頭,牡1頭でありまして,明2才10頭,明3才4頭,明4才1頭,明五才2頭であります。

三.一般概況

 一般的に体積,品位に富み,飼育管理技術の向上しておりますことは将来の実績に鑑み格段の進歩と認められますが,後躯淋しく肢蹄弱く乳頭の小なる点,又調教の不充分な点等は将来一層の研究を要するものと存じます。

四.細部所見

 これを細部に亘って点検して見ますと,体重は牝において最高13貫,最低8貫200匁,体長最高89糎,最低70糎であり,出品物が概ね揃って居りますが,肢蹄の弱いもの,下肋部の充実不充分なもの,乳房,乳頭,口,耳に斑点のあるものを散見致しました。

五.短評

 次に本日優位に擬賞致しましたものについて短評を試みますと,先ず第13号の種山羊でありますが,これは明3才の牝で久米郡の出品であります。胴伸びがあって体幅に富み,品位並びに乳器が良好であります。然し全身の毛色稲々鮮明を欠き前蹄のつなぎが弱く鼻,乳頭に多少の黒斑があること等が難点でありますが,本日の出品中総体的に見て最も優良と認めましたので,これを最優位に擬賞致した次第であります。
 次に第15号の種山羊でありますが,これは明3才の牝で前者同様久米郡の出品であります。尻部の状態よろしく乳脈よく発達し,全体的に品位がありますが稍々活力に乏しく,又体幅不足の感があり,乳房等に茶色の斑点が多数ありまして,前者と比較検討の結果2位に擬賞致しました。

六.将来の改良すべき点

 本県は一万を超える山羊を有して居りますが,その品質は一般に概して良好でありませんのでこれの改良については,将来一層の努力を要するものがありますが,これについては先進地より優良なる種牡山羊の導入と登録事業の普及活用により品質の改良を図ると共に飼育管理技術の向上,産乳の利用普及等に努めもって本県山羊の将来の発展を期せられる様切望致します。

第6部 種豚

 種豚の審査は日本種豚登録協会のヨークシャー種体格審査標準に準じ出品された今日の現状をもって審査致しました。出品頭数は牝4頭,牡2頭計6頭であり出品極めて尠く,又相当養豚の発達した郡からの出品が皆無でありましたことは洵に遺憾に存ずるところであります。然も出来物が極めて不揃いでありました。審査の結果は特に個別にここに申上げるまでもないのでありまして将来関係者の御協力によって養豚の改良を図ると共に共進会等にも振って御出品を御願い致したいのであります。

第7部 種鶏

一.審査方針

 今回出陳せられました種鶏の審査に当りましては日本種鶏協会で制定された家禽標準に準拠し実施しましたが,失格条項中実用目的には抵触しないと思われる翼羽,尾羽等の部位についての失格は特に著しいものでない限りは減点に止め,雌雄別に厳密な評点審査を実施し,雌雄の得点を合計し一番の得点として其の優劣を判定する事を審査の方針と致しました。

二.出品区分

 出品種鶏を種類別に見ますと,卵用種として単冠白色レグホーン種10番,兼用種として横斑プリマスロック種4番同じく名古屋種1番,合計15番でありまして,之を郡市別に見ますと岡山市8番,浅口郡3番,上房郡2番,倉敷市及び玉島市より各1番宛出品され,合計15番で何れも上地域において生産されたものであります。尚今期共進会は諸種の事情はありましたが,主要養鶏地帯の出品が意外に少なかった事は遺憾であります。今後共進会の意義等から考えまして一層の認識を要請して止みません。

三.一般概況

 一般概況を申上げますと実用鶏としての体型資質において充分でなく,又出品鶏の選択及び飼養管理の失宜により多数の欠点及び損傷が認められました之を性別に見ますと,雄におきましては体型の整一を欠き均称,体積が宜くなく粗野で品位に乏しいものが多数ありましたが,雌におきまして比較的に各部位の釣合良好で資質発育共によろしいものが相当見受けられました。

四.細部の所見

 更に細部につき申上げますと,雄は雌に比し著しく遜色が認められ,飼養管理の失宜に依り種鶏として最も重要視せねばならない体重が軽いばかりでなく,各部の移行も悪く特に胸部の充実を欠き且つ胸骨の彎曲したもの羽装不斉一のもの,翼羽及び尾羽の折損等幾多の欠点が認められたことは遺憾でありましたが,雌は単冠白色レグホーン種に於いては比較的品位に富み資質良好で各部の釣合も宜しく,胸部の充実背部の伸長等も良いものが多数ありましたが,一部胸骨の軽度に彎曲したもの,冠の発達不充分のもの,脚部に暗色斑点のあるもの等を見受けました。

五.短評

 次に優位に擬賞せられましたものにつき,比較検討致しますと,単冠白色レグホーン種については1等賞に擬賞せられた13号は雄において6号を並に7号のものに比し各部の釣合,活力及び腹部の充実の諸点において劣っておりますが,雌において胸部の充実,品位及び均称の点に於て相当秀れ,合計得点に於て僅かに優って居りました。
 兼用種に於て1等賞に擬賞せられたものは横斑プリマスロック種22号で2等賞に擬賞した23号名古屋種で両種に対する審査標準が若干相違のあることと其の優劣の差が僅少であった為に等級の判定に相当の困難がありましたが,雄に於ては,2等賞に擬賞された23号は体重について不十分でありましたが各部の釣合は比較的良好で特に背部,頸部,尾部に於て22号に優り,雌に於ては胴体部位並に頸部に於て相当劣り,合計得点に於て22号が極めて僅少の差を以て優位を占めました。

六.将来改良すべき点

 以上今回出品された種鶏は本県養鶏の全国的地位より見まして鶏の経済的価値に影響する所の大きい体躯の充実,体型の整一,並に均称資質等相当の遜色を認められましたから今後種鶏の選択並に飼養管理の改善により上の諸点を改良し,産卵性能の向上と相俟って本県養鶏の飛躍的発展に資さなければならないと認められます。
 以上審査の結果

第1部 和牛の部では
 1等賞4点,2等賞20点,3等賞23点,4等賞63点
第2部 乳用種牛の部では
 1等賞2点,2等賞4点,3等賞4点,4等賞11点
第3部 種馬の部では
 1等賞1点,2等賞2点,3等賞2点,4等賞1点
第4部 種緬羊の部では
 1等賞1点,2等賞2点,3等賞4点,4等賞11点
第5部 種山羊の部では
 1等賞1点,2等賞2点,3等賞5点,4等賞9点
第6部 種豚の部では
 1等賞2番,2等賞3番,3等賞5番,4等賞5番
 を選抜擬賞致しました。
 それぞれに対して褒賞の授与あらんことを申請致します。

昭和28年9月21日      
   第9回岡山県畜産共進会
   審査長 惣津律士    

告辞

 本日ここに第9回岡山県畜産共進会の褒賞授与式が挙行せられるにあたり,所懐の一端を述べる事は私の最も喜びとする所であります。
 御承知の如く農業の振興を図って食糧の増産確保に努め,国民の保健の向上に資する事は年と共に強く要請せられて居る所でありますが,その施策の中で畜産のもつ使命は極めて重要な事は申すまでもないのであります。
 随って本県に於ては国の方針に準じて嚢に畜産振興計画を樹立実施し,近くば特に酪農の振興施策を強力に押し進める事となりましたが,各位の御協力に依り着々その成果収めつつある事は御同慶に堪えない次第であります。
 畜産振興の方途として就中重要なる地位を占める種畜の改良については先輩各位の献身的努力に依り,和牛に於ては全国に冠たる名牛を生産するに至り,乳牛其の他の家畜家禽に於ても漸次向上の傾向が見受けられますが,農村の実態を仔細に検討するときに,更に能力が高く,資質優秀で,しかも飼料の利用性に富むものえの改良増殖に一段と研鑽の必要を感ずるものであります。
 今般の共進会は各位の日頃御丹誠にかかる家畜家禽の中で,優秀なるものを一堂に集め,畜産関係者はもとより広く一般人にその優劣を詳細に比較検討する絶好の機会を与えたものでありまして,誠に意義の深い事を痛感すると共に来るべき10月上旬に広島市で開催される全国和牛共進会及び中国連合畜産共進会への出陣を前にしての出品者各位の涙ぐましい御精励に対してはただただ感激の外はないのであります。
 各位は本県畜産のもつ重要性を更に強く認識せられて,層一層御精進せられ,名実共に明るい農村の実現に邁進せられん事を強く要望して私の告辞と致します。

  昭和28年9月21日     
    岡山県知事 三木行治

メッセージ

 本日岡山県畜産連合会,養鶏連合会,酪農協会,養豚連合会が高梁町で大畜産共進会を開催されるにあたり日ごろの御丹誠の結晶である和牛,乳牛,馬,めん羊,豚,にわとりなどを一堂に集められたこの盛況に対し毎日新聞社はここに深甚なる敬意と祝福の言葉を上空からお贈りいたします。この共進会の成果はやがて広島市で開かれる第1回全国和牛共進会ならびに第16回中国連合畜産共進会においてもみごとな成績をおさめ全国に畜産岡山の名を挙げ,さらにわが国畜産界の発展に大きな貢献を示されるであろうことを望んでやみません。

  昭和28年9月19日        
    毎日新聞社 スワン号より

岡山県畜産共進会殿

岡山県知事表彰畜産功労者

(順序不同)
苫田郡阿波村   岸本 重作
吉備郡総社町   佐野民三郎
阿哲郡上刑部村  佐藤  寛

優良家畜商表彰者
    =岡山県家畜商協会=


(順序不同)
久米郡大井町   森  太郎
和気郡伊里町   延原 星太
阿哲郡石蟹郷村  三輪 金蔵
苫田郡新加茂町  久永 文治
後月郡芳井町   早川 孟二
玉島市道口    木下孫一郎
川上郡成羽町   柳井 広道
邑久郡鹿忍町   出射 竹一
小田郡山田村   松岡 鎮馬
吉備郡真備町   木梨 利平
上房郡高梁町   犬間彦一郎
真庭郡落合町   荒木 五郎

1等賞授賞家畜名簿

       第1部 黒毛和種々牛
   牡の部
出品番号 種 類 名   号 生年月日 資格 血         統 産地 出 品 人
14 黒毛和種 第三重利
51犢阿373
26・10・18 高資 三光
本黒2085
まつみず
本黒6930
阿哲 阿哲郡神代村
  牧   護
9 黒毛和種 第三山根
52犢阿256
26・12・24 高資 第六清国
黒78
第二やまね
予岡11264
阿哲 阿哲郡神代村
 大怐@淳一
   牝の部
30 黒毛和種 こざくら 27・3・17 高資 西岩
黒918
みやひめ
予岡13158
阿哲 都窪郡三須村
  守安 完一
37 黒毛和種 なかまえ
52犢阿579
27・1・10 高資 第十二仙貫
黒358
第八たけひめ
黒17241
阿哲 吉備郡総社町  坪井 忠良
       第2部 乳用種々牛
出品番号 種 類 名   号 生年月日 資格 血         統 産地 出 品 人
4 ホルスタイン (登録申請中) 27・2・2 黒白 第六〇カーネーションカバナーインペリヤルラット
北血ほ866
オームスビーゴリヤSNSオクスプリング
血69844
御津 御津郡平津村  丹原 佐吉
24 ホルスタイン ジョハナガバナー高8866 21・4・19 黒白 ガヴァナールンドニキ ジョハナガヴァナールンドベル 北海道 英田郡美作町  市村  弘
       第3部 種   馬
出品番号 種 類 名   号 生年月日 性別 毛色 血         統 産地 出 品 人
5 中半血種 第六日進 25・3・24 栗毛 要 杉
アノ系
第五日進
中半血
阿哲 阿哲郡菅生村  上田 朝義
       第4部 緬   羊
出品番号 種 類 名   号 生年月日 性別   血         統 産地 出 品 人
11 日本コリデール ふじもり予オカ1 26・3・13 仔ヤカ280 仔ヤカ279 邑久 邑久郡邑久村  藤森二三夫
       第5部 種 山 羊
出品番号 種 類 名   号 生年月日 性別   血         統 産地 出 品 人
13 日本ザーネン やすこ 26・4・1 富 士
YGM8
たいこ
KB82
八久 久米郡倭文村  高本  覚
       第6部 種   豚
出品番号 種 類 名   号 生年月日 性別   血         統 産地 出 品 人
4 中ヨークシャー 27・8・15 上道 上道郡雄神村  片岡 音八
       第7部 種   鶏
出品番号 種 類 名   号 孵 化
年月日
性別   血         統 産地 出 品 人
13 単冠白色
レグホン
28−165
28−90
28・4・10
岡山 岡山市福富
福田種鶏場
  山上 幹一
22 単冠横斑
プリマスロック
200
199
28・5・1
岡山 岡山市平井
中国養鶏研究所
  入江 唯夫
       団体の部
   優勝 阿哲郡 岡山県畜産販売農業協同組合連合会優勝旗1旒
   優勝 阿哲郡 中国種馬登録協会岡山県支部優勝旗1旒