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畜産ニュース

卵から蛔虫
学会で拾った“畜産メモ”

 去る9月11日から13日まで岡山大学法文学部において第8回日本公衆衛生学会が開催された。4会場で201にわたる研究発表があったが,つぎの2つは公衆衛生学会第1日の研究発表から拾った“畜産のメモ”である。

鶏卵生食の危険について

 東北大公衆衛生 瀬木 三雄
         斎藤 俊二
 瀬木氏が本年4月東京に所用で出かけたさい朝食に生卵をかけたところ,中から長さ10pばかりの虫が出てきた。これは“鶏蛔虫”で,鶏の体内でかなり成長したものが卵のなかに迷入したものらしく,瀬木氏の話では日本では余り例がないが同氏の東北地方で3件ほど耳にしているという。この蛔虫は人間にはつかないが,肉眼でみえる虫がいるくらいだから生卵には他の細菌もいることが想像され,日本でも外国のように生卵は食べない方がよい。

栄養と安眠に関する実験

 神奈川県立栄食短大学長 田中静雄
 人間の起すいろいろの不快な事件は不眠症に伴う神経衰弱とヒステリーのためで,余り美食すぎても,栄養が不足しても,ともに不眠症になる。そこでこれを補うためには最も安価に入手できる卵のカラが最適で,1人が1日に半箇分の卵のカラを食べれば十分燐酸カルシウムの補給ができて,炭酸カルシウムとのバランスがとれる。卵のカラの食べ方はカラを3回位熱湯でゆでたのち,焼塩とノリ,ゴマなどともにくだいて食べるとよい。