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畜産ニュース

外国バター輸入の実情

 最近各新聞紙上にバター輸入のことについて事新しく掲載され,世情乳製品に対し,疑義を感じ又最近酪農の健実性を見出し欺業を推進している酪農家も将来を憂慮している向もあるが,これは次のような実情であり,国内の酪農への影響は殆んどないものと考えられる。
 バターは従来外国人日用品用の外貨枠で輸入されており,(昭和27年は駐留軍用と合せて年間約90万ポンド)本年4−9月間に輸入が認められたのは8−9万ドル(数量にして16−18万ポンド)である。
 本年10月より明年3月までの外貨予算においては右の枠は100万ドル(前期は400万ドル)に圧縮され,これの輸入公表が事務当局の都合上おくれ今日まで実施されていなかった。しかしたまたま乳製品に対する旺盛な需要と主食の供給事情等も加わって,バターの品不足を生じたため,農林,通商両省の協議の結果前期(4−9月)輸入を認めた程度の数量(約10万ドル分)を輸入することを決定した。
 以上の結論が新聞紙上にこと新しく掲載されたため,バター輸入に関する国の方針が変更されたかの如き印象を与えたかと思えるが,実情は以上の如く,従来の輸入の継続であって,国内の酪農への影響等はほとんど考えられない。
 なお右のとおり牛乳乳製品に対する需要は最近極めて旺盛であるので,この程度の輸入を行った上なお市場に品不足を生じ,消費者に迷惑をかける如き事態が起る場合には,バター等乳製品を別途計画的に輸入して需給の緩和を図るべきであるとの要望が強まることも予想されるので,これらの事態に対処するための措置についても目下極めて慎重に研究中であると畜産局では言っている。