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養鶏所得計算要領決る
収入・必要経費・減価価格等の計算方法
税務行政懇談会の収穫

 国税庁では所得税の適正を期するため昨年4月税務行政懇談会を設置し,畜産界より全畜連永松専務と日鶏近藤会長を委員に委嘱,数次の会合で畜産界の希望意見を聞き,同庁所得税課坂井農業所得係長の手もとで「畜産所得課税事務要領」なる課税基準案を作成中であったが,更にその内容を細部的に検討するため,農林省及び牛馬羊豚鶏の各種畜産団体をも加えてこの案の研究を行うこととなり,その第1次会合を10月5日,日鶏会議室で開催した。その後数回に亘って検討を重ねこの程漸く結論を得たので近く同庁より正式に全国税務当局に通達される見込である。
 「畜産所得課税事務要領」の内容は畜産所得の計算要領と標準作成要領とに分れ,青色申告の場合の計算方法,畜産所得見積標準の基準等を詳細に解説したもので,養鶏所得の計算方法も原則として畜産所得の計算方法と同様に取扱われるが,ただ鶏は短期間に成熟し常に新陳代謝を必要とするものであり,且つ飼育羽数も多数であること等により次の諸点については,他の一般大中家畜とは異なる取扱いをすることになっている。

一.収入金額の計算について

 収入金額は鶏卵,雛,成鶏,肉鶏等の売却,消費等による金額の外,採卵鶏,雄鶏等(廃鶏となったものを含む)所謂事業の用に供しているものと認められる鶏の売却,消費等に因る金額も計算するものとする。

二.必要経費の計算について

(一)種卵代,孵卵に要する経費,雌雄鑑別料等は,雛の取得の必要経費に計算する。
(二)採卵鶏,雄鶏等事業の用に現に供している成鶏についての経費のうち成鶏になった後の期間に係る分の金額は,これを支出した年の必要経費に計算する。
(三)採卵鶏,雄鶏等事業の用に供する目的を以て飼育する鶏についての成鶏になるまでの経費はこれをその鶏の必要経費に計算しない。
(注)この経費は当該採卵鶏,雄鶏(廃鶏になったものを含む)を売却又は消費等をなしたときの収入から差引かれる。若しこの場合に於て差引不足を生じたときは,その不足額は鶏卵等の収入から差引いて差支えない。
(四)初生雛を育成し中雛,成鶏(当初より自家で事業の用に供しないもの)又は肉鶏として販売又は消費した場合に於けるこれらのものに係る必要経費は初生雛の取得価格に,取得の時からこれ等を販売又は消費の時までに実際支出した金額又は消費した物の見積金額により計算する。
(注)この必要経費はこれ等の物を実際販売又は消費したときの収入から差引かれる。

三.減価価額の計算について

 採卵鶏,雄鶏等であって現に事業の用に供している鶏については減価の価額を計算しないものとする。

四.たな卸について

(一)年末におけるたな卸に当っては,他の一般畜産所得を計算する場合と同様年末に現存する自己が収穫した農産物である飼料,購入飼料,購入薬剤等の現物育成中の鶏等の外現に事業の用に供しているすべての成鶏についてもたな卸を行うものとする。
(二)育成中の雛について年末現在におけるたな卸を行う場合の当該雛の評価は当該雛について年末までに飼育に要した経費によるものとする。
(三)現に事業の用に供している成鶏についての年末現在のたな卸を行う場合の当該成鶏の評価は成鶏として購入したものについては,その価格により,自己が育成したものについては成鶏になるまでの必要経費の合計額によるものとする。